IDF2006 19th World Diabetes Congress WILL Medical Congress Report


日本人ではアディポネクチンとインスリン抵抗性は相関せず
2型糖尿病患者の高脂血症合併率は非糖尿病患者の約2倍:米国調査
2型糖尿病患者の食後高血糖・高TG血症が頸動脈肥厚と相関
男性ではメタボリックシンドロームに加えアポB測定がリスク評価に有用
糖尿病ラットではコレステロールトランスポーター(NPC1L1)の発現が増加
コレステロール吸収阻害剤+低用量スタチン併用で高用量スタチン単独よりも
内皮機能が改善
ストロングスタチンへのコレステロール吸収阻害剤追加により,
メタボリックシンドローム患者のATP III目標値達成率は94%に
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P297
Adiponectin inversely correlates with triglyceride and high-sensitivity C-reactive protein but not with insulin or insulin resistance index in Japanese men
駒津光久氏,信州大学

日本人ではアディポネクチンとインスリン抵抗性は相関せず

■欧米に比べて低い肥満度を反映か
 166例の平均年齢は54.1歳,BMIは24.5kg/m2,腹部径は84.6cmであった。血圧平均値126/76mmHg,血糖値101mg/dL,HOMA-R指数1.71で,血清脂質を見ると,LDLコレステロール124mg/dL,TG142mg/dL,HDLコレステロール(HDL-C)55mg/dLとなっていた。このうちメタボリックシンドロームに相当していたのは25例(15%)であった。
 アディポネクチン濃度と有意に相関する因子を重回帰解析で求めたところ,TG(β=-0.215,p=0.0104)およびhsCRP(β=-0.229,p=0.0033)では有意な負の相関が認められたが,年齢,BMI,腹部径,空腹時血糖値,HOMA-R指数およびHDL-Cでは,有意な相関は認められなかった。
 また,hsCRPを従属因子として重回帰分析を行なったところ,アディポネクチン濃度は動脈硬化と有意に相関していたが,TGとは相関が認められなかった。このことから駒津氏らは,アディポネクチン濃度の低下が直接,炎症を促進し,TGを増加させており,TGの増加と炎症の間には相互作用はないものと考察した。
 駒津氏らはこの知見を踏まえ,「欧米人に比べて肥満度が低い日本人では,アディポネクチンはインスリン抵抗性の主たる決定因子ではないが,炎症の抑制およびTG低下を介して,早期の動脈硬化進展を抑制している可能性がある」と結論した。
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P299
How much are patients with type 2 diabetes more likely to have hyperlipidemia than patients without diabetes? A large US medical record review study
S. Martin氏,Lilly Research Laboratories(米国)

2型糖尿病患者の高脂血症合併率は非糖尿病患者の約2倍:
米国調査

■高脂血症の発生リスクは2.85倍
 今回解析の対象となった医療記録は,米国49州の20,000人を超える臨床家から1996〜2005年の間に提供されたものである。Martin氏らはこのデータベースより,2型糖尿病を有する全患者231,444例と,任意に選択した非糖尿病患者1,218,780例のデータを抽出し,患者カルテをチェックして高脂血症の合併率を比較した。  
 その結果,2型糖尿病患者群における高脂血症合併率は49.0%で,非糖尿病患者群の25.2%に比べて有意に高く60歳代が最も高かった。また2型糖尿病患者の高脂血症発生リスクは,非糖尿病患者の2.85倍(95%信頼区間:2.64 - 3.14)であった。高脂血症発生リスクは特に若年で著明に高く,非糖尿病患者に比べると10代ではおよそ12倍,20歳代で8倍強,30歳代で約5倍となっていた。また60歳以上の高齢者に限っても,非糖尿病患者に比べて2倍の発生リスクを有していることがわかった。
 これらの結果より,「2型糖尿病患者では非糖尿病患者に比べ高脂血症発生リスクは増加している」とMartin氏らは結論した。
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P1966
The association of postprandial dyslipidemia and carotid intimae-media thickness in people with diabetes
E. Khamseh氏,Iran University of Medical Sciences(イラン)

2型糖尿病患者の食後高血糖・高TG血症が頸動脈肥厚と相関

■食後高TG血症が動脈硬化のリスクのひとつ
 本検討の対象となったのは2型糖尿病28例,ならびに年齢・性別をマッチさせた健常者22例である。これら被験者における頸動脈壁の内膜・中膜複合体(IMT)厚を測定し,その規定因子を探った。
 IMT厚は糖尿病患者でより高値であった(0.96±0.29mm vs 0.75±0.17mm)。さらに多変量解析の結果,「空腹時血糖値」,「空腹時コレステロール値」に加え,「食後血糖値」と「食後トリグリセリド(TG)値」,および「高血圧」がIMT厚の規定因子であることが明らかになった。
 この結果を踏まえKhamseh氏らは,「食後高血糖と高TG血症は2型糖尿病患者において,早期動脈硬化病変の独立した危険因子である可能性もある」と結論した。
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P2104
Does a measurement of apoB add to the cardiovascular risk of the metabolic syndrome?
A. L. Dennis氏,University of Oxford(イギリス)

男性ではメタボリックシンドロームに加えアポB測定が
リスク評価に有用

■男女とも高アポB血症合併によりリスクは有意に増加
 Dennis氏らは2型糖尿病および心血管疾患を認めない979例(30〜50歳)のデータをOxford Biobankから抽出し,国際糖尿病学会(IDF)規準でメタボリックシンドロームとなる患者を洗い出した。また,メタボリックシンドロームと判定された患者のパーセンタイル(男性:16.7,女性:14.7)を閾値として,高アポB血症患者も特定した。その後,これら患者の10年間心血管イベントリスクをフラミンガム・リスク・スコアで算出し,高アポB血症がメタボリックシンドローム患者の心血管リスクに及ぼす影響を検討した。
 メタボリックシンドロームの頻度は女性14.7%,男性16.7%であった。またメタボリックシンドロームのみを認める患者に比べ,高アポB血症を併せ持つ患者では10年間心血管イベントリスクが,男性では1.4倍(5.7% vs 8.0%,p=0.02),女性では2.1倍(1.6% vs 3.4%,p=0.004)それぞれ有意に増加していた。ただし,絶対リスクからみると,男性に比べて女性は低リスクであると指摘した。
 これらの結果からDeniss氏らは,「特に男性では,メタボリックシンドロームの診断に加えアポBの測定が心血管リスクの評価に有用である可能性がある」と結論した。
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P789
Diabetic dyslipidaemia is associated with alteration in genes affecting cholesterol absorption, excretion and postprandial lipoprotein assembly. A study in streptozotosin diabetic rats
G. H. Tomkin氏,Trinity College Dublin(アイルランド)

糖尿病ラットではコレステロールトランスポーター(NPC1L1)の
発現が増加

■糖尿病性脂質代謝異常の一因である可能性
 Tomkin氏らはストレプトゾトシン糖尿病ラット(n=8)と対照(n=10)において,小腸ならびに肝臓におけるNPC1L1,ABC(ATP-binding cassette)Gファミリー,HMG-CoA,ミクロゾームトリグリセリド転移蛋白(MTP)のmRNAを比較した。
 その結果,肝臓ではNPC1L1,HMG-CoAおよびMTPの発現が有意に増加し,一方,ABCG5およびG8はいずれも有意に減少していた。小腸でも同様の変化が見られたが,HMG-CoAの発現については増加傾向にとどまった。
 また,糖尿病ラットおよび対照を合わせた検討では,小腸NPC1L1 mRNA量とカイロミクロン含有コレステロールの間に,また肝NPC1L1 mRNA量とVLDL含有コレステロールの間に正の相関が認められた。カイロミクロン含有コレステロールは,小腸と肝臓のいずれにおいてもMTP mRNA発現量と正の相関を示した。
 これらの結果からTomkin氏らは,糖尿病患者においては,NPC1L1とMTPの発現増加と,コレステロール腸管吸収を抑制するABCG5およびG8の発現減少が,カイロミクロンやVLDLへのコレステロール取り込みを増加させている可能性を指摘した。
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P303
Effect of high dose simvastatin vs. combination of ezetimibe and low dose simvastatin on endothelial function in people with type 2 diabetes and coronary artery disease
M. Settegren氏,Karolinska Institutet(スウェーデン)

コレステロール吸収阻害剤+低用量スタチン併用で
高用量スタチン単独よりも内皮機能が改善

■脂質代謝への作用に差はないが,抗炎症作用に差が出る可能性
 2型糖尿病合併の冠動脈疾患患者39例のうち,19例をエゼチミブ併用群(エゼチミブ10mg/日+シンバスタチン10mg/日),20例を高用量スタチン群(シンバスタチン80mg/日)に無作為割付けし,6週間服用前後の血管内皮機能を比較した。その結果,前腕動脈の血流依存性血管拡張反応は,エゼチミブ併用群では試験前の4.2%から5.6%へと有意に改善されたが(p=0.02),高用量スタチン群では改善傾向にとどまった(4.1%→4.8%,p=0.2)。
 一方,脂質代謝改善作用は両群で同等であった。すなわち,試験開始時に3.0mmol/L(116mg/dL)であったLDLコレステロールは,エゼチミブ併用群では1.7 mmol/L(66mg/dL),高用量スタチン群では1.5 mmol/L(58mg/dL)までいずれも有意に低下した(p<0.001)。HDLコレステロールには両群とも有意な変化はなかった。
 ただし炎症マーカーの変化には差があり,エゼチミブ併用群でのみ,有意な減少が見られた。まずC反応性蛋白(CRP)は,エゼチミブ併用群では5.2mg/Lから4.1mg/Lへと有意に減少したのに対し(p<0.01),高用量スタチン群では4.2mg/Lから3.2mg/Lへ減少はしたものの有意とはならなかった(p=0.09)。IL-6も同様で,エゼチミブ併用群では有意な減少(10pg/mL→7.5pg/mL,p<0.05)を認めたが,高用量スタチン群では減少傾向にとどまった(26pg/mL→23pg/mL,p=0.2)。TNF-αに関しては,エゼチミブ併用群では有意に低下していたのに対し(8pg/mL→6pg/mL,p<0.05),高用量スタチン群では増加傾向が示された(6pg/mL→12pg/mL,p=0.5)。
 これらの結果よりSettergren氏らは,「糖代謝異常を伴う冠動脈疾患患者では,高用量スタチン単独よりもエゼチミブと低用量スタチン併用のほうが有用である可能性がある」と結論した。
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P804
Efficacy of rosuvastatin 40 mg alone or in combination with ezetimibe 10 mg in patients with the metabolic syndrome: results from a subgroup of the EXPLORER Study
C. M. Ballantyne氏,Baylor College of Medicine(米国)

ストロングスタチンへのコレステロール吸収阻害剤追加により,
メタボリックシンドローム患者のATP III目標値達成率は94%に

■メタボリックシンドローム合併の有無にかかわらずエゼチミブの併用で目標達成率増加
 本解析の基となったEXPLORER試験は,冠動脈疾患高リスク(20%超)患者を対象に,「ロスバスタチン40mg/日単独群」(230例)と「ロスバスタチン40mg/日にエゼチミブ10mg/日を追加する併用群」(239例)を比較した6週間のオープンラベル多施設無作為化試験である。
 試験開始時の平均年齢は63.3歳,LDL-C平均値は4.91mmol/L(190mg/dL)で,75%(350例)がメタボリックシンドロームに相当していた。今回報告されたのは,試験開始時のメタボリックシンドロームの有無別に検討した後解析の結果である。
 米国ATP IIIのLDL-C目標値達成率でみると,メタボリックシンドロームの有無とは無関係に,エゼチミブ併用によりLDL-C目標値達成率は上昇した(メタボリックシンドローム合併例:80.1% vs 93.7%,非合併例:75.9% vs 96.4%)。また,欧州ガイドラインで検討しても同様に,エゼチミブ併用によるLDL-C目標値達成率の増加(74.3% vs 93.6%)が認められた。
 LDL-C低下率,トリグリセリド低下率,non-HDLコレステロール低下率の比較でも,メタボリックシンドローム合併の有無を問わず,エゼチミブ併用群ではロスバスタチン単独群よりも高値となっていた。またHDLコレステロール増加率も,エゼチミブ併用群でより高値であった。
 「ロスバスタチン40mg/日は有効な治療であるが,エゼチミブの追加により有効性はさらに増す」とBallantyne氏らは結論した。
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