XV International Symposium on Atherosclerosis WILL Medical Congress Report


エゼチミブによるモデル動物の脂肪肝抑制とインスリン抵抗性の改善
プラバスタチンはCKDを認める高コレステロール血症の
イベントを抑制:MEGAスタディpost-hoc解析
エゼチミブ+スタチン併用をめぐる諸状況
大動脈弁狭窄重症例では脂質低下療法が奏効しない可能性:
SEAS試験post-hoc解析
メタボリックシンドロームという概念は有用か?
エゼチミブは動物モデルにおいてプラーク内コレステロール結晶を減少させる
エゼチミブと低用量スタチンの併用は
LDL-C低下作用が同等でもアポB/アポA1比をさらに改善
プラバスタチンとアトルバスタチンのLDL-C低下作用と
血管内皮機能改善作用は異なる
アトルバスタチン10mg/日へのエゼチミブ追加は
高用量アトルバスタチンを上回るLDL-Cコントロール
エゼチミブ併用によるLDL-C低下作用はBMI,
血糖値やhsCRPの高低にかかわらずスタチン単独よりも強力
低用量スタチンとエゼチミブの併用は高用量スタチンと同等のLDL-C低下作用
リピドミクスを用いたエゼチミブとスタチンの比較

エゼチミブの使用上の注意:糖尿病合併の患者さんにおいては,空腹時血糖の上昇が報告されており,慎重投与となっております。詳細は製品添付文書をご覧下さい。
この情報には一部,本邦未承認の情報が含まれます。また,記載されている薬剤の使用にあたっては,製品添付文書をご参照ください。



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Effect of inhibition of cholesterol absorption on liver steatosis and insulin resistance in zucker obese fatty rats
能村光紀氏,東京医科歯科大学

エゼチミブによるモデル動物の脂肪肝抑制と
インスリン抵抗性の改善

■肝線維化も抑制
 今回用いられたのは,8週齢の雄性Zucker肥満ラットである。エゼチミブ5mg/kg/日群と対照群に分け,高脂肪食を4週間負荷した。
 まず血清脂質を比較すると,対照群で観察されたLDLコレステロール(LDL-C)とVLDLコレステロール(VLDL-C),トリグリセライド(TG)はいずれも,エゼチミブ群で有意に低値となっていた(p<0.05)。さらにLDL-C内の分画を比較したところ,エゼチミブ群では小型の分画が有意に減少しており(p<0.05),small,dense LDLの増加が抑制されていると考えられた。
 次に肝細胞への影響を比較すると,対照群では有意に増加していた肝細胞内のコレステロールとTGが,エゼチミブ群では有意に抑制されていた(p<0.05)。また高脂肪食負荷前に比べ対照群では,線維化の指標であるsmooth muscle actinとTGF-βの発現が著明に増加していたが,エゼチミブ群では完全ではないもののその発現が抑制されていた。
 さらに,エゼチミブによるインスリン抵抗性への作用も検討された。まずグルコース負荷を行ったところ,エゼチミブ群の血糖値は30分後から2時間後にかけ対照群に比べて有意に低値を示した(p<0.01)。同様に,インスリン注入後の血糖値もエゼチミブ群で有意に低く(p<0.05),エゼチミブによりインスリン抵抗性が改善されたと考えられる。また,ピルベート負荷後の血糖値もエゼチミブ群で有意に低く(p<0.05),肝インスリン抵抗性の改善が示唆された。エゼチミブ群ではインスリン注入後の肝Aktリン酸化が有意に増加していたため,インスリン情報伝達系が改善されたと考えられた。
 以上の結果を踏まえ,「本モデルにおいてエゼチミブは,肝線維化とインスリン抵抗性を改善した。この結果より,メタボリックシンドロームにおけるエゼチミブの有用性が強く示唆される」と能村氏は結論した。
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30
The effect of pravastatin in the patients with chronic kidney disease combined with metabolic syndrome in primary prevention: A post hoc analysis of mega study
中村 治雄氏,財団法人三越厚生事業団

プラバスタチンはCKDを認める高コレステロール血症の
イベントを抑制:MEGAスタディpost-hoc解析

■CKD,メタボリックシンドロームの有無で4群に分けて比較
 今回の解析対象はMEGAスタディ参加例のうち,腎機能とメタボリックシンドロームに関する情報が得られていた7,426例である。慢性腎臓病(CKD)のみ群(1,968例),メタボリックシンドロームのみ群(1,407例),CKD+メタボリックシンドローム群(1,112例)といずれも認めない正常群(2,939例)の4群に分けて比較した。CKDの定義は,日本版MDRD式による推算糸球体濾過率(GFR)が30〜60mL/分/1.73m2とした。
 背景因子を比較すると,メタボリックシンドローム群とCKD+メタボリックシンドローム群では他の群に比べて,HDLコレステロール(HDL-C)が有意に低く,トリグリセライド(TG),血圧(収縮期,拡張期とも)が有意に高かった(いずれもp<0.01)。
 これら4群でイベント発生リスクを比較すると,メタボリックシンドローム群とCKD+メタボリックシンドローム群では正常群に比べ冠動脈イベント,脳卒中,脳・心血管イベント(冠動脈イベント+脳卒中)のいずれもが有意に増加(それぞれp<0.05,Cox比例ハザードモデル)していた。一方,CKD群で正常群に比べて有意に増加(p<0.05,同)していたのは「脳・心血管イベント」のみであった。
 興味深いのは総死亡である。CKD群,メタボリックシンドローム群ではいずれも正常群と同等であったにもかかわらずCKD+メタボリックシンドローム群では他群に比べ2倍以上,有意に増加していた(p<0.05,同)。
 次にプラバスタチンによるイベント抑制作用だが,脳・心血管イベントの有意な減少が認められたのはCKD群(ハザード比:0.42,p=0.005,NNT:51)とCKD+メタボリックシンドローム群(ハザード比:0.50,p=0.02,NNT:32)でのみだった。内訳をみると,CKD群では冠動脈イベント,脳卒中のいずれもプラバスタチンにより有意に減少し(それぞれp=0.01,p=0.04,Cox比例ハザードモデル),CKD+メタボリックシンドローム群では脳卒中のみ有意なリスク低下(p=0.01,同)を認めた(以上すべて,年齢,性別と喫煙の有無で補正後)。なお,CKD+メタボリックシンドローム群では,プラバスタチン群における推算GFR増加率が対照群に比べ有意(p<0.01,t 検定)に大きかった。
 以上より「プラバスタチンはメタボリックシンドロームの有無を問わず,CKD患者の脳・心血管イベントを抑制する」と中村氏は結論した。
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1049,1050,1051
Clinical symposium VI : Combined inhibition of cholesterol synthesis and absorption

エゼチミブ+スタチン併用をめぐる諸状況

■さらなる有用性が期待されるコレステロール吸収抑制療法
 まずBaylor College of Medicine(米国)のC. M. Ballantyne氏がエゼチミブ+スタチン併用の理論的根拠について述べた。併用が必要となる最大の理由は,「スタチン単独ではLDLコレステロール(LDL-C)管理目標値が達成できない」という点に尽きる。また,近年,ヒト頸動脈プラークにおけるアポB48の存在が報告されており,カイロミクロン・レムナントによる動脈硬化発症・進展の抑制にもエゼチミブは重要と考えられる。事実,Laval UniversityのTremblayらはエゼチミブ+シンバスタチン併用によりアポB48の減少を報告している。現在,オキシステロールと頸動脈プラークの相関をARICグループが横断的に検討中であり,その結果次第ではコレステロール吸収抑制の新たな有用性が示唆される可能性がある。また末梢動脈疾患においてエゼチミブ+ナイアシン+スタチン併用とスタチン単独を比較するELIMIT試験も進行中である。
 次いで登壇したWashington Hospital Center(米国)のW. J. Howard氏は糖尿病に対する積極的介入の必要性を示す一例として,SANDS(Stop Atherosclerosis in Native Diabetics Study)を紹介した。本試験は糖尿病を罹患した米国先住民を対象に,脂質・血圧に対する「積極介入」と「標準介入」の有用性を頸動脈内膜・中膜複合体厚(IMT)への影響で評価した試験である。積極介入群はLDL-C管理目標値:70mg/dL,非HDLコレステロール(HDL-C)管理目標値:100mg/dLと設定されていた。結果,積極介入群のLDL-C値は72mg/dL,非HDL-C値は102mg/dLまで低下した。また収縮期血圧は管理目標値115mmHgのところ,117mmHgまで低下した。その結果,積極介入群における頸動脈IMTは標準介入群に比べ有意に改善されていた(p<0.001)。なお,積極介入群ではこのLDL-C値を達成するため31%が,スタチンに加えエゼチミブを併用していた。以上より「糖尿病患者においても,LDL-C,非HDL-C,血圧という古典的な危険因子に対する介入が重要である点はもっと理解されるべきだ」とHoward氏は強調した。
 エゼチミブに関する新データを提示したのは,Brigham and Women's Hospital(米国)のE. Braunwald氏である。まず,大規模試験SHARP(Study of Heart And Renal Protection)の中間データが明らかにされた。本試験は透析を含む腎不全患者に対する積極的脂質低下療法の有用性を検討しているが,試験開始1年後における安全性に関する中間解析が事前に定められている。その結果,筋障害と肝障害発現はプラセボ群,シンバスタチン単独群,エゼチミブ+シンバスタチン併用群間で差はみられなかった。本試験は来年7月に終了し,解析が始まる予定だという。また,もう1つの進行中の大規模試験,IMPROVE-ITでは急性冠症候群患者を対象に,シンバスタチン単独とエゼチミブ+シンバスタチン併用による脳・心血管イベント抑制作用を比較するもので,18,000例を目標に登録を進めているが,先頃,すでに登録が終了している10,000例の背景因子が報告された。それによれば,患者の平均LDL-C値は97mg/dLで,内訳は,すでに脂質低下薬を服用している患者では80mg/dL,非服用者で104mg/dLであった。
 2008年に報告されたSEAS(Simvastatin and Ezetimibe in Aortic Stenosis)試験において,エゼチミブの安全性に疑問が投げかけられたのは記憶に新しい。同試験では,プラセボ群に比べ,エゼチミブ+スタチン併用群で発がんが有意に増加していたが(7.5% vs. 11.1%,p=0.01,フィッシャーの直接確率検定),これは偶然であるとBraunwald氏は断ずる。より大規模なSHARPとIMPROVE-ITを,試験とは関係のない外部の研究者が解析したところ,発がんの増加は認められなかったためである。またLDL-C正常例に対するロスバスタチンによる積極的LDL-C低下療法の有用性を示したJUPITER(Justification for the Use of Statins in Prevention: an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin)試験では,積極的脂質低下群でプラセボ群と発がんが同等であった。以上より「積極的脂質低下療法ががんを増加させると考えるべきではない」とBraunwald氏は述べた。
 最後に,座長であるTufts University(米国)のE. J. Schaefer氏はスタチン併用によるコレステロール合成・吸収の変化について述べた。スタチンはコレステロール合成を抑制するためコレステロール吸収を亢進させる可能性がある。これについて同氏によるSTELLAR研究のサブグループ解析が示された。ロスバスタチン40mg/日あるいはアトルバスタチン80mg/日を6週間投与した135例における成績では,コレステロール吸収のメーカーであるカンペステロールが総コレステロール中に占める割合は,ロスバスタチンで52%,アトルバスタチンでは72%増加していた。これまでの知見も勘案すると,スタチンのコレステロール低下作用が強力であるほど,カンペステロールの割合は増加することから,「冠動脈イベント高リスク例に対しては,スタチンとエゼチミブの併用が好ましい」とSchaefer氏は結論した。
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Consistency between lipid lowering and ischemic cardiovascular event reduction in the simvastatin and ezetimibe in aortic stenosis (SEAS) study
I. Holme氏,Oslo University Hospital(ノルウェー)

大動脈弁狭窄重症例では脂質低下療法が奏効しない可能性:
SEAS試験post-hoc解析

■大動脈最高血流速度の三分位で比較
 SEAS(Simvastatin and Ezetimibe in Aortic Stenosis)試験は,大動脈弁狭窄患者の脳・心血管イベントに対するエゼチミブ+シンバスタチン併用の有用性を検討したプラセボ対照試験である。すでに報告されている通り,二次エンドポイントである虚血性の脳・心血管イベントに限定すれば,エゼチミブ+シンバスタチン併用群で有意な減少が認められた(ハザード比:0.78,p=0.024)。本post-hoc解析では,大動脈弁狭窄の重症度により,脂質低下療法による虚血性イベント抑制作用が異なるかが検討された。
 対象は,試験開始時の大動脈最高血流速度(peak transaortic jet velocity:JV),ならびに試験開始時と1年後の血清脂質プロファイルが明らかで,試験開始後1年間に虚血性の脳・心血管イベントを来たさなかった1,570例である。試験開始時のJV三分位数で分け,比較した。
 試験開始時,および試験開始1年後において,3群間に平均年齢,LDLコレステロール(LDL-C),非HDLコレステロールなどに差はみられなかった。
 検討の結果,JV最高群では,脂質低下療法の虚血性脳・心血管イベントに対する抑制作用は認められなかった。1例としてLDL-Cを挙げると,1標準偏差減少による虚血性脳・心血管イベントの相対リスクは,JV最低群では0.51(95%信頼区間:0.33 - 0.77),中間群で0.65(95%信頼区間:0.45 - 0.96)と,いずれも有意に低下していたが,JV最高群では7%の減少傾向を認めるのみであった(95%信頼区間:0.70 - 1.24)。なおJV最低群と中間群におけるLDL-C低下度とイベント減少率は,CTT(Cholesterol Treatment Trialists’ [CTT] Collaborators)によるメタ解析の結果とよく一致していた。
 以上の結果より「大動脈弁狭窄重症例では,脂質代謝異常は虚血性脳・心血管イベントリスクと相関していない可能性がある。さらにエゼチミブとシンバスタチン併用は,スタチン単独療法と同様に有用である」とHolme氏は結論した。
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123
Is the concept of metabolic syndrome helpful?
N. J. Stone氏,Northwestern University(米国)

メタボリックシンドロームという概念は有用か?

■生活習慣改善の重要性を強調するために有用
 メタボリックシンドロームという概念が有用なのはまず,「そのような状態は医学的に問題がある」旨を一言で患者に伝えられる点である。また,腹部肥満,高トリグリセライド(TG)血症,低HDLコレステロール血症,軽度の血圧上昇,軽度の血糖値上昇といった,高LDLコレステロール(LDL-C)血症以外の動脈硬化惹起・促進因子を包括できる点も重要である。
 Framingham研究からも明らかなように,LDL-C値が同一でも,これらメタボリックシンドロームの構成要素や耐糖能異常を伴う例では脳・心血管イベントリスクは増加しており,介入はLDL-C値の正常化がすべてではない。よって,上記のような様々な異常を,腹部肥満の解消で解決できると患者に説明しうる点でも,メタボリックシンドロームという概念は優れており,「生活習慣を修正すれば薬の数を減らせるという説明は,患者にとって大きなインセンティブになる」とStone氏は述べた。
 介入の中心は,食事改善,運動および体重減少である。これらの有用性は,糖尿病の発症抑制というかたちでFinnish Diabetes Prevention StudyやDiabetes Prevention Programによって示されている。
 また,生活習慣を患者に指導する際に,重要となるのは自己達成感の改善であるという。そのためには「現在の食生活に関する患者の自己評価」,「過去にもっとよい食生活を行っていた時期はなかったか」,「何が妨げとなって,身体活動が低下しているのか」などを聞き出し,生活習慣をうまくやり通すという自信がもてるように努める必要がある。
 以上を踏まえ,「薬剤を服用して安心してしまっている患者に対して生活習慣改善の大事さを伝えるためにも,メタボリックシンドロームは重要な概念である」とStone氏は述べた。
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P156
Cholesterol lowering inhibits crystal formation associated with plaque disruption, thrombosis and inflammation
G. S. Abela氏,Michigan State University(米国)

エゼチミブは動物モデルにおいて
プラーク内コレステロール結晶を減少させる

■「結晶によるプラーク表面貫通」が著明に減少
 本試験が前提としているのは,急性冠症候群患者や脳梗塞患者の責任病変にコレステロールの結晶が存在するという報告である。これまでに,プラーク線維性被膜に対するコレステロール結晶による物理的損傷が報告されている。そこで今回は,コレステロール低下療法が結晶化にどのような影響を与えるかが検討された。
 ニュージーランド白ウサギの大動脈に内皮バルーン傷害による動脈硬化病変を作成後,エゼチミブ1mg/kg/日群(9例)と対照群(8例)に分けた。6カ月間高コレステロール食を負荷した後,ヒスタミンおよびRussell viper venom静注によりプラークを破綻させ,病変を観察した。
 その結果,エゼチミブ群では対照群に比べ,総コレステロール値が有意に低く,血管壁内のコレステロールも有意に少なかった(それぞれp=0.0001,p=0.0002)。さらにエゼチミブ群では,プラーク面積が有意に狭く,血栓領域も有意に小さかった(それぞれp=0.001,p=0.02)。
 走査型電子顕微鏡で観察したところ,対照群ではプラーク全面にコレステロール結晶による貫通が観察された。一方,エゼチミブ群ではコレステロール結晶はほとんど認められなかった。また血栓領域のコレステロール結晶の数は,対照群に比べエゼチミブ群で有意に少なかった(p=0.005)。なお,対照群ではC反応性タンパクとMMP-9の血中濃度が,エゼチミブ群に比べ有意に高かった。
 以上の結果より,「エゼチミブによりプラーク内コレステロールが減少したことで,コレステロール結晶の減少と炎症の抑制がもたらされ,その結果,プラーク破綻の抑制作用が示唆される」とAbela氏は考察した。
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P390
Effects of different statins on apo B/A1 ratio, glucose metabolism, and inflammation at doses lowering LDL-C equivalently
S-H. Lee氏,Yonsei University College of Medicine(韓国)

エゼチミブと低用量スタチンの併用は
LDL-C低下作用が同等でもアポB/アポA1比をさらに改善

■アトルバスタチン5mgとエゼチミブ5mgを併用
 本研究の対象は,4週間の食事療法にもかかわらずLDLコレステロール(LDL-C)値が130mg/dL以上であった74例で,トリグリセライド(TG)値が400mg/dL以上の患者は除外された。これら74例をアトルバスタチン20mg/日群(26例),ロスバスタチン10mg/日群(25例)とエゼチミブ5mg/日+低用量アトルバスタチン5mg/日併用群(23例)に割付け,8週間追跡した。
 試験開始時の背景因子は,3群間で有意差を認めなかった。平均LDL-C値はアトルバスタチン群164mg/dL,ロスバスタチン群163mg/dL,エゼチミブ併用群166mg/dLで有意差はみられず,HDLコレステロール(HDL-C)値,非HDL-C値も同様に3群間で有意差はなかった。アポB/アポA1比も,アトルバスタチン群0.82,ロスバスタチン群0.82,エゼチミブ併用群0.84と同等であった。
 8週間後,LDL-C値の低下はアトルバスタチン群47±12mg/dL,ロスバスタチン群50±13mg/dL,エゼチミブ併用群52±7mg/dLと,エゼチミブ併用群で最も大きかったが有意差には至らなかった。このようにLDL-C値低下作用には有意差がなかったにもかかわらず,アポB/アポA1比の低下率はアトルバスタチン群の40%に対し,エゼチミブ併用群では49%と有意に大きかった。また,糖代謝指標の変動には,3群間で有意差はみられなかった。
 以上の結果を踏まえ,「エゼチミブと低用量スタチンの併用は,高用量のスタチン単独と同等のLDL-C値低下作用ながら,アポB/アポA1比という動脈硬化惹起的な脂質代謝異常の是正において,より強力な作用を発揮したことから,エゼチミブには単にLDL-C値を低下させるにとどまらない脂質改善作用が示唆される」とLee氏は結論した。
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P392
Differences in vascular response and renal function following moderate of aggressive lipid lowering therapy in hypercholesterolemic patients with cardiovascular diseases
鬼柳尚氏,順天堂大学

プラバスタチンとアトルバスタチンのLDL-C低下作用と
血管内皮機能改善作用は異なる

■血管内皮機能の改善はプラバスタチン群のみ
 対象となったのは,冠動脈・頸動脈の少なくとも一方に病変が認められるがスタチンを服用していない連続38例である。冠動脈病変は冠動脈造影またはマルチスライスCT,頸動脈病変はBモードエコーにて評価した。家族性高コレステロール血症やLDLコレステロール(LDL-C)値100mg/dL未満,直近6カ月に急性冠症候群ないし虚血性脳血管障害発症,あるいは心不全,腎不全を認める例は除外されている。これら38例を乱数表でプラバスタチン群(21例),またはアトルバスタチン群(17例)に割付け,6カ月間追跡した。用量はいずれも10mg/日から開始し,LDL-C値が100mg/dL未満とならない場合20mg/日に増量した。
 割付け時,アスピリンとチクロピジン服用例がプラバスタチン群で有意に多い(p<0.01)のを除き,血清脂質など背景因子に有意差はなかった。
 6カ月後,LDL-Cは両群とも試験開始時に比べ有意に低下(いずれもp<0.01)したが,アトルバスタチン群(83mg/dL)でより低値となっていた(p<0.001,vs. プラバスタチン群:101mg/dL)。HDLコレステロール(HDL-C)到達値(アトルバスタチン群:52mg/dL,プラバスタチン群:48mg/dL),トリグリセライド(TG)到達値(アトルバスタチン群:104mg/dL,プラバスタチン群:188mg/dL),高感度C反応性タンパク(hsCRP)濃度到達値(アトルバスタチン群:0.174mg/dL,プラバスタチン群:0.118mg/dL)に有意差はみられなかった。推算GFRはプラバスタチン群でのみ改善傾向を示した(p=0.08)。
 血管内皮機能を比較すると,反応性充血と血流依存性血管拡張反応(FDR)はいずれも,プラバスタチン群でのみ有意に改善していた(p=0.01)。FDR改善度はLDL-C,血糖値,TG,hsCRPの変化量とは相関していなかった。またプラバスタチン群でのみ,FDR改善度は推算GFRと有意な相関を示していた。
 以上の結果より,「腎機能改善には脂質低下よりも血管内皮機能改善のほうが重要である可能性がある」と鬼柳氏は考察した。
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P773
Efficacy of ezetimibe added to atorvastatin vs. uptitration of atorvastatin in the elderly
F. J. Zieve氏,McGuire VA Medical Center(米国)

アトルバスタチン10mg/日へのエゼチミブ追加は
高用量アトルバスタチンを上回るLDL-Cコントロール

■相対的に広い患者層が対象
 対象は65歳以上の男女で,冠動脈イベント発症リスクが高い1,053例である。動脈硬化性疾患の有無,LDLコレステロール(LDL-C)値は問わなかった。これら患者をアトルバスタチン20mg/日単独群(527例),ないしはエゼチミブ10mg/日+アトルバスタチン10mg/日群(526例)に無作為化し,二重盲検法で12週間追跡した。試験開始6週間後以降,アトルバスタチンは40mg/日まで増量可能とした。
 試験開始時の背景因子は,平均年齢71.2歳,31%がBMI 30kg/m2以上であった。動脈硬化性疾患は86.7%に認められ,半数以上がメタボリックシンドロームを合併していた。LDL-C値では,全例にアトルバスタチン10mg/日を投与した4週間の導入期間終了時,「70mg/dL以上100mg/dL未満」が約46%,「100mg/dL以上130mg/dL未満」は約40%,「130mg/dL以上」が約14%だった。
 試験終了時,LDL-Cの低下率はエゼチミブ併用群でアトルバスタチン単独群に比べ有意(p=0.001,ANCOVA)に大きく,またLDL-C<70mg/dL達成率も,アトルバスタチン単独群の32.2%に対し,エゼチミブ併用群では43.6%と有意に高値であった(p<0.001,ロジスティック回帰分析)。「(動脈硬化性疾患の有無により)LDL-C<70mg/dLまたは<100mg/dL」達成率で比較しても同様で,アトルバスタチン単独群の39.3%に比べ,エゼチミブ併用群では49.4%と有意に高値であった(p<0.001,同)。有害事象の発現は両群に有意差はなく,有害事象による脱落にも有意差はなかった。
 以上より,「エゼチミブ10mg/日を併用すれば,アトルバスタチン10mg/日でも高用量の同剤を上回るLDL-C低下作用が得られる」とZieve氏は総括した。
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P948
Ezetimibe plus atorvastatin versus atorvastatin up-titration in moderately high CHD risk or high CHD risk patients: Effects of baseline body mass index, fasting blood sugar and hs-CRP
H. E. Bays氏,Louisville Metabolic and Atherosclerosis Research Center(米国)

エゼチミブ併用によるLDL-C低下作用はBMI,
血糖値やhsCRPの高低にかかわらずスタチン単独よりも強力

■スタチン倍量 vs. エゼチミブ併用を比較
 本解析は2つの無作為化二重盲検試験TEMPOとEZ-PATHのpost-hoc解析である。試験開始時のBMI,空腹時血糖値,高感度C反応性タンパク(hsCRP)濃度が,薬物療法の有用性に及ぼす影響を検討した。
 いずれの試験も対象は,試験開始前6週間のスタチンおよびエゼチミブ服用歴はなく,冠動脈疾患発症リスクを有するがLDLコレステロール(LDL-C)のコントロールが不十分な患者である。
 まず中等度リスク患者を対象にしたTEMPO試験では,アトルバスタチン20mg/日を全例に投与する導入期間後,エゼチミブ10mg/日併用群と,そのままアトルバスタチンを40mg/日に増量する単独群に無作為化した。対象をBMI(30kg/m2の上下),空腹時血糖値(100mg/dL上下)で二分,あるいはhsCRP(1mg/L未満,1〜3mg/L,3mg/dL超」で三分し,エゼチミブ併用群(97例)とアトルバスタチン単独群(98例)のLDL-C低下作用を比較した。その結果,サブグループによらず一貫して,エゼチミブ併用におけるLDL-C低下度はアトルバスタチン単独群に比べ有意に大きかった(ANCOVA)。
 糖尿病を含む高リスク患者を対象としたEZ-PATH試験では,アトルバスタチン40mg/日を投与する導入期間後,エゼチミブ10mg/日を追加する併用群(97例)とアトルバスタチンを80mg/日に増量する単独群(98例)で比較した。本試験でもBMI,空腹時血糖値,hsCRP濃度別にLDL-C低下作用を比較したところ,いずれのサブグループにおいてもエゼチミブ併用によるLDL-C低下度はアトルバスタチン単独群に比べて有意に大きかった(同)。
 いずれの試験も有害事象発現率,ならびに有害事象による脱落率に両群間で差はなかった。
 以上の検討を踏まえ,「冠動脈イベント発症リスクが高い患者において,エゼチミブ併用の有用性は患者背景を問わず認められた」とBays氏は結論した。
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P968
Quarter and half dose of rosuvastatin plus ezetimibe ameriolated LDL-cholesterol, other lipid parameters and high sensitive CRP compared with regular dose rosuvastatin alone
佐久間一郎氏,北光記念クリニック

低用量スタチンとエゼチミブの併用は高用量スタチンと
同等のLDL-C低下作用

■日本人虚血性心疾患患者で検討
 今回対象となったのは,虚血性心疾患・糖尿病の少なくとも一方を有し,さらに1つ以上の危険因子を認め,ロスバスタチン10mg/日を3カ月以上服用していた284例である。これら患者をロスバスタチン2.5mg/日+エゼチミブ10mg/日併用群(158例,平均年齢:69.4±11.9歳)とロスバスタチン5mg/日+エゼチミブ10mg/日併用群(126例,平均年齢:69.5±12.5歳)に割り付け,さらに3カ月以上追跡した後に,脂質代謝などをロスバスタチン単独服用時と比較した。
 その結果,ロスバスタチン2.5mg/日+エゼチミブ併用群ではLDLコレステロール(LDL-C)値が73.7mg/dLから63.6mg/dLへ,また非HDLコレステロール(HDL-C)値も102.6mg/dLから92.6mg/dLへ有意に低下した(いずれもp<0.0001,対応のあるt検定)。さらに高感度C反応性タンパク(hsCRP)濃度も有意に低下した(1.27mg/Lから1.09mg/dL,p<0.05,同)。
 同様にロスバスタチン5mg/日+エゼチミブ併用に変更した群でも,LDL-C値は74.3mg/dLから55.9mg/dL,非HDL-C値は102.5mg/dLから84.8mg/dL,hsCRP濃度も1.34mg/Lから1.01mg/Lへ有意に減少した(それぞれp<0.0001,p<0.0001,p<0.01,同)。
 以上の結果より「低用量ロスバスタチンであってもエゼチミブを併用すると,ロスバスタチン単独10mg/日と同等以上の脂質代謝改善作用とhsCRP減少作用が認められた。より高リスクの患者ではロスバスタチン10mg/日とエゼチミブの併用も有用と考えられる」と佐久間氏は結論した。
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P1164
Ezetimibe results in increased HDL lipid content
K. Ekroos氏,Zora Biosciences Oy(フィンランド)

リピドミクスを用いたエゼチミブとスタチンの比較

■VLDL,LDL分画とHDL分画で作用に差異
 検討対象とされたのはエゼチミブ10mg/日群,シンバスタチン40mg/日群,両者併用群(各群24例)の3群に割付けられた72例の血漿サンプルである。これらを用い,Zora社が開発したショットガン・リピドミクスを行い,血清脂質の詳細な検討を行った。
 その結果,シンバスタチン群ではVLDLとLDL分画における脂質増加と,HDL分画における「脂質/アポタンパク」比の減少が観察された。一方,エゼチミブ群では逆に,VLDL,LDL分画の脂質が減少し,HDL分画における「脂質/アポタンパク」比が減少した。
 以上の結果より,「表面的に脂質代謝に同様の変化をもたらすエゼチミブとスタチンであるが,より詳細に検討すると,特にHDL分画における脂質含有量に対してはまったく逆の作用を有していた」とEkroos氏は総括し,HDLによるコレステロール逆転送系への影響に薬剤間で差がある可能性を示唆した。
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