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Mo-P1:83
Obesity, Adiponectin and the Prevalence of the Metabolic Syndrome among Japanese Men and Women in Japan and Hawaii: the INTERLIPID Study
Y. Nakamura氏,京都女子大学(京都)
BMIがアディポネクチンに有意な影響を与えている可能性
■BMI≧28kg/m2例ではアディポネクチンが低値に
比較対象としたのは,日本人259例(男性130例)とハワイ在住日系米人267例(男性136例)である。メタボリックシンドロームの定義は,「BMI>30kg/m2」,「HbA1c>5.6%」,「血圧>130/85mmHgまたは降圧薬服用」,「トリグリセリド(TG)≧150mg/dL」,「HDLコレステロール(HDL-C)<40mg/dL」のうち,3つ以上に該当することとした。これらの数値は1997年から翌年にかけ,日米間で標準化された方法で測定された。
まずメタボリックシンドロームの頻度を比較すると,日系米人男性では23.2%がメタボリックシンドロームに相当し,日本人男性の3.9%を有意に上回った(p<0.0001)。女性も同様に,日系米人では9.7%と,日本人女性の2.3%より有意に高頻度であった(p=0.012)。
アディポネクチン値は逆に,日本人男性8.1μg/mLに対し日系米人では6.7μg/mL,日本人女性12.9μg/mLに対し日系米人9.3μg/mLと,いずれも日本人で有意に高かった(p<0.0001)。ただしBMI≧28kg/m2で比較すると,男女とも,日米間でアディポネクチン値に有意差はみられなかった。
そこでアディポネクチン濃度の規定因子を,日本人・日系米人を合わせ,男女別に多変量解析をして求めたところ,男性ではBMIと飲酒量がアディポネクチン値と有意な負の相関を示し,HDL-C値が有意な正の相関を示していた。年齢,血圧など上記以外の因子で有意に相関するものはなかった。一方女性では,年齢,HDL-C,エネルギー摂取量がアディポネクチン値と正の相関を示し,BMI,居住地域(ハワイ在住),TG値が負の相関を示していた。
以上を踏まえてNakamura氏は,「日本人ではBMIがメタボリックシンドロームだけでなくアディポネクチン値に有意な影響を与えている」と結論した。
Tu-P9:341
The Atherosclerotic Burden, Assessed by Carotid Ultrasonography, in Low-Risk Patients with Dyslipidemia
L. Denti氏,University Hospital(イタリア)
低リスク高脂血症患者の35%以上に頸動脈プラーク
■プラーク陽性例に対してはより積極的な治療が必要
対象は,3カ月間以上の食事療法にもかかわらず「総コレステロール(TC)≧240mg/dL」,「トリグリセリド(TG)≧200mg/dL」の少なくとも一方に該当する連続193例である。
これら193例に頸動脈Bモードエコーを施行し,内膜中膜厚 1.4mm以上の場合に頸動脈プラーク陽性と判定した。
その結果,193例中73例(37.8%)に頸動脈プラーク陽性を認めた。多変量解析を行い,脂質代謝が頸動脈厚に及ぼす影響を除外したところ,加齢と収縮期血圧高値がそれぞれプラーク陽性の独立した予知因子であった。特に「58歳以上」,「収縮期血圧≧140mmHg」は血清脂質の高低に関係なく,頸動脈プラーク陽性のリスクを有意に増加させていた。
Denti氏は,「冠動脈イベントのリスクが比較的低いと考えられるこれらの患者群においても,40%近くが頸動脈プラークを有していたという事実を考慮すると,脂質代謝異常例に対してはクリニックでも頸動脈エコーを行い,プラーク陽性例に対してはより積極的治療を行うことが合理的であろう」とコメントした。
Th-W47:4 Physicians' and Patients' Perceptions: Barriers to Cholesterol Management in Clinical Practice
L. R. Erhardt氏,Lund University(スウェーデン)
コレステロール値の管理はなぜ不良なのか
■高コレステロール血症患者は病態に対する認識が乏しい
欧州の開業医を対象にした調査(REACT研究)では,90%がコレステロール管理のガイドラインに従うと回答している。しかし「どのガイドラインに従うか」を見ると,国によるガイドライン56%に対し,「自らの施設のガイドライン」という回答も59%あった。
また医師の9割以上は「自分の患者は冠動脈危険因子を知っている」と認識しているが,患者側で「高コレステロール血症が冠動脈リスクである」ことを知っていたのは51%だった。逆に「高コレステロール血症が何のリスクか」を問うと,「心疾患」との回答が58%,「心臓発作」と答えた患者が29%だった。さらに患者の4分の3は「健康なコレステロール値」を知らず,83%はそもそも自分のコレステロール値も知らなかった。
この背景にはドクターと患者のコミュニケーションギャップがある。開業医の94%が「目標コレステロール値について説明した」と回答したのに対し,患者側で「説明された」と認識していたのは47%のみだった。
同様の知見は,高コレステロール血症と診断された1,858例を対象とした"From The Heart Study"でも得られており,高コレステロール血症患者は病態に対する認識が乏しいという結果であった。
まず高コレステロール血症患者の4分の3は,高コレステロール血症が「心臓発作」のリスクと認識しておらず,うち約半数の患者は自らのコレステロール値を知らなかった。治療目標値に至っては7割近くの患者が認識していなかった。また4割の患者は「悪玉コレステロール(またはLDLコレステロール)」,「善玉コレステロール(またはHDLコレステロール)」について聞いたことがなかった。
また,自らのコレステロール値が目標値に達しているのを知っていたのは4割に満たなかったが,それにもかかわらず8割の患者は,自らが受けている高コレステロール血症治療に満足していた。
以上を踏まえErhardt氏は,「医師は患者に対する脂質代謝異常の危険性の教育をより熱心に行い,患者が病態をより深刻にとらえ,生活習慣改善の推進と薬物治療コンプライアンスの改善を進んで行うようにすべきである」とまとめた。
Th-P15:16
High Intestinal Cholesterol Absorption Associated with Primary Hypercholesterolemia Non-related to Defective LDL Receptor
A. L. García-Otín氏,Instituto Aragonés de Ciencias de la Aalud (I+Cs)(スペイン)
LDLレセプターに異常のない原発性高コレステロール血症患者ではコレステロール吸収が有意に増加
■NRRHの発症にはコレステロールの吸収亢進が関与している可能性
Gracía-Otín氏は,FH群(31例),NRRH群(21例),対照群(健常者45例)の間で,コレステロールの合成量と吸収量を比較した。総コレステロール値はそれぞれ,363mg/dL,302mg/dL,180mg/dL,LDLコレステロール値は280mg/dL,215mg/dL,113mg/dLであった。
合成マーカーにはラノステロールとラソステロール,吸収マーカーにはカンペステロール,シトステロール,スティグマステロールを用いた。
その結果,FH群とNRRH群間にコレステロール合成量の差はみられなかったが,両群ともに対照群より有意に低値であった(p<0.05)。一方,腸管からのコレステロール吸収は,FH群では健常者と同等であったが,NRRH群では健常者に比べて有意に増加していた(p<0.05)。
以上の成績についてGracía-Otín氏は,「より多数での確認が必要」としながらも,「その遺伝子的要因は不明であるが,NRRHの発症には腸管におけるコレステロール吸収の亢進が関与している可能性がある」と指摘した。
Tu-W20:7 The Relationship Between Baseline Risk Factors and the Incidence of CHD among Japanese -New Findings from the MEGA Study
石川俊次氏,ソニー健康開発センター(東京)
日本人における冠危険因子の解明:MEGA study
■高血圧・糖尿病合併例におけるイベントリスクは6.21倍に増加
石川氏らは,試験開始時の危険因子の保有状況と試験期間中の冠動脈イベントとの関係を検討した。
単変量解析の結果,脂質以外では,男性,加齢,糖尿病,高血圧,喫煙,飲酒がリスクを有意に増加させていた。脂質に関しては「HDL-C低値」と「トリグリセリド(TG)高値」が有意なリスクであったが,意外なことに,総コレステロール(TC),LDLコレステロール(LDL-C)値は有意なリスクとはなっていなかった。
次に,性別,年齢,糖尿病,高血圧,HDL-C値,LDL-C値,TG値,Lp(a)値,飲酒,喫煙,高脂血症治療歴について多変量解析を実施した。解析の結果,男性,高齢,糖尿病,低HDL-C血症,高血圧,喫煙が,冠動脈イベントを増加させる有力な危険因子であることが明らかになり,プラバスタチンの服用はリスクを減少させる有意な因子であった(ハザード比:0.70,p=0.04)。
各危険因子の重みでは,男性が女性の2.28倍, 65歳以上では55歳未満に比べ2.33倍,HDL-C 値40mg/dL未満では60mg/dL以上に比べ2.33倍,高血圧も糖尿病もない例に比べ,高血圧例では2.87倍,糖尿病例では4.63倍,高血圧・糖尿病合併例では6.21倍増加していた。喫煙によるリスク増加は1.46倍であった。
プラバスタチンはこれらのリスクの有無にかかわらず,いずれのサブグループにおいても冠動脈イベント抑制傾向が認められた。
以上の結果を踏まえ石川氏は,「軽度〜中等度の高コレステロール血症を呈する日本人において,冠動脈イベント危険因子は欧米と若干異なるが,食事療法に加えプラバスタチンを用いた治療を行うことにより冠動脈イベントは減少した」とまとめた。
We-P11:49
Safety and Efficacy of Long-Term (Up to 24 Months) Ezetimibe (EZE) Therapy in Hypercholesterolemic Patients
E. Veltri氏,Schering-Plough Research Institute(米国)
コレステロール吸収阻害剤の長期の有効性および安全性を確認
■エゼチミブによるLDL-C低下作用は24カ月間維持された
本解析の対象となったのは,エゼチミブ10mg/日とプラセボを比較する無作為化二重盲検試験の被験者である。12週間の試験終了後,試験に参加した全例にオープンラベルによるエゼチミブ10mg/日の服用を推奨し,1,719例中1,624例が服用した。
二重盲検試験開始時の平均LDLコレステロール(LDL-C)は4.3mmol/L(166.4mg/dL),HDLコレステロール(HDL-C)は1.3mmol/L(50.3mg/dL),トリグリセリド(TG)は1.9mmol/L(168.3mg/dL)であった。
平均年齢は58歳で,65歳未満が68.3%を占めていた。男女比は51:49で,31.9%が高血圧を合併し,5.2%は糖尿病を合併していた。冠動脈疾患合併率は6.5%であった。
まず安全性の検討において,エゼチミブ服薬開始3カ月間の副作用発現率は13.5%であり,二重盲検試験時のプラセボ群15.5%に比べ増加は認められなかった。さらにエゼミチブ群の副作用発現率数は,その後減少傾向を示し,服薬開始21カ月から24カ月間での副作用発現率は2.3%であった。24カ月間のエゼチミブ治療中,肝機能検査値やCKなどの臨床検査値異常の発現率についても,プラセボ群と同等であった。
一方,脂質改善作用には減弱を認めず,LDL-C値はエゼチミブ服薬開始3カ月後から24カ月後まで約18%の低下率が維持された。また,TGおよびHDL-C値の改善作用についても,経時的減弱は認められなかった。
Veltri氏は「エゼチミブ治療は24カ月間良好な忍容性および脂質改善作用を示した」と結論した。高用量スタチンによるLDL-C低下作用に経時的減弱が報告されていることを考えるならば,エゼチミブ治療による24カ月間の安定したLDL-C低下作用は極めて重要であると考えられる。
Tu-P16:270
Efficacy and Safety of Rosuvastatin Plus Ezetimibe in High-Risk Patients: Results from the EXPLORER Study
C. Ballantyne氏,Baylor College of Medicine(米国)
コレステロール吸収阻害剤の併用により高リスク例におけるLDL-C目標達成率が2倍以上に:EXPLORER study
■エゼチミブの併用投与によりLDL-C目標値達成率は有意に改善
EXPLORER studyの対象は,LDL-C値:4.1〜6.5mmol/L(160〜250mg/dL),トリグリセリド(TG)値<4.52mmol/L(<400mg/dL)で冠動脈疾患既往,臨床的に明らかな動脈硬化病変,あるいは冠動脈疾患相当リスクを有する18歳以上の469例である。ロスバスタチン40mg/日+エゼチミブ10mg/日併用群(239例)とロスバスタチン40mg/日単独群(230例)に無作為化された。試験開始時の血清脂質は,LDL-C値190mg/dL,TG値186mg/dL,HDLコレステロール値(HDL-C)50mg/dLであった。
6週後の「LDL-C値<100mg/dL」達成率は,ロスバスタチン単独群79.1%に対しエゼチミブ併用群では94.0%で有意に高値であった(p<0.001)。「LDL-C値<70mg/dL」を目標値とした場合でも同様で,エゼチミブ併用群における達成率は79.6%と,ロスバスタチン単独群の35.0%に比べ2倍以上高値であった(p<0.001)。2003年欧州心臓病学会(ESC)ガイドライン目標値(リスクに応じ,115mg/dL未満,あるいは100mg/dL未満)の達成率もエゼチミブ併用群で有意に良好であり(p<0.001),ロスバスタチン単独群の74.3%に対し93.6%であった。
また,LDL-C低下率で比較しても同様に,エゼチミブ併用群では69.8%の低下率であったがロスバスタチン単独群では57.1%にとどまった(p<0.001)。TG低下率も,エゼチミブ併用群35.4%で,ロスバスタチン単独群の25.1%を有意に上回っていた(p<0.001)。
脂質改善作用にはこのように大きな差が見られたが,有害事象発現率はエゼチミブ併用群31.5%,ロスバスタチン単独群33.5%と同等であり,エゼチミブの併用によりいかなる有害事象の増加も認められなかった。
以上の結果からBallantyne氏は,「ロスバスタチン単独も有用であるが,エゼチミブ追加併用によりLDL-C目標値達成率はさらに改善され,高リスク例における新たな治療選択肢として期待される」と結論した。
Tu-P16:274
Co-Administration of Ezetimibe and Simvastatin in Acute Myocardial Infarction
O. S. Descamps氏,Centre Hospitalier Jolimont & Lobbes(ベルギー)
心筋梗塞急性期におけるコレステロール吸収阻害剤の併用効果
■7日間で50%以上がLDL-C<70mg/dLを達成
検討対象となったのは,脂質低下療法を受けていない,心筋梗塞を来たした発生12時間以内の60例で,シンバスタチン40mg/日単独群,同用量のシンバスタチン+エゼチミブ10mg/日(エゼチミブ併用群)群,対照群(脂質低下療法なし)に20例ずつ無作為化され,7日間追跡された。
試験開始時のLDL-C値は,シンバスタチン単独群145mg/dL,エゼチミブ併用群146mg/dL,対照群133mg/dLであった。
まずLDL-Cの推移を見ると,エゼチミブ併用群では服薬開始2日後より有意な低下を認めたが,シンバスタチン単独群が有意な低下を示したのは4日目以降だった。試験終了時(7日後),エゼチミブ併用群における平均LDL-C値は51%(74mg/dL)低下し,シンバスタチン単独群の25%(36mg/dL)よりも低値となった。対照群のLDL-Cは有意な変化を示さなかった。心筋梗塞急性期にLDL-Cが低下しないという知見は,昨年の米国心臓協会(AHA)学術集会で報告されたAVERTのサブ解析と軌を一にする。
さらに「LDL-C<70mg/dL」達成率も,エゼチミブ併用群では服薬開始4日後には45%に達したが,シンバスタチン単独群では5%,試験終了時においても55%と10%でエゼチミブ併用群において著明に高率であった 。なおトリグリセリド(TG)値に関しては,シンバスタチン群では服用前後で有意差はみられなかったが,エゼチミブ併用群では有意に17%(48mg/dL)低下していた。さらに興味深いことには,対照群ではTGが4日後より有意な増加を示し,試験終了時には45%(40mg/dL)有意に増加していた。
また,安全性に関しては,3群間に有意差はなかった。
Descamps氏は「心筋梗塞急性期にスタチンとエゼチミブを併用することにより,7日間で50%以上がLDL-C<70mg/dLを達成できた」と結論するとともに,対照群における知見に触れ「心筋梗塞によるLDL-C低下は観察されなかったが,TGが増加した」と驚きを隠さなかった。
Th-P16:293
Effect of Ezetimibe Monotheraly on Lipidemic Profile, Fibrinogen and C-Reactive Protein Levels in Patients with Primary Dyslipidemia
H. Paschalidou氏,Hippocration Hospital(ギリシャ)
コレステロール吸収阻害剤によるLDL-C低下を超える作用
■エゼチミブ単剤でフィブリノーゲンとCRP濃度が低下
対象となった30例は「総コレステロール(TC)>240mg/dL」あるいは「LDL-C>160mg/dL」で「糖尿病」,「冠動脈疾患」を有さず「BMI>30kg/m2」に相当しない原発性高コレステロール血症例で,脂質低下療法歴を有する例は除外された。試験開始時のTCは266mg/dL,LDL-Cは182mg/dLであった。
これら30例にエゼチミブ10mg/日を3カ月間服用させたところ,TCは12.3%有意に低下し235mg/dLへ(p=0.005),LDL-Cも13.6%低下し158mg/dLへ低下していた(p=0.002)。またトリグリセリド(TG)も15.6%有意に低下し(P=0.006),apoA濃度は11.7%の有意な増加を認めた(p=0.032)。
興味深いのは脂質代謝以外のパラメータである。まずフィブリノーゲンが13.4%有意に低下し(p=0.043),またC反応性タンパク(CRP)値にも9.04%の低下が認められた。
以上の成績についてPaschalidou氏は「エゼチミブ単剤でコレステロール吸収阻害によりフィブリノーゲンとCRP濃度が低下した点」を評価し,より大規模・長期間の臨床試験でこれら多面的作用の臨床的有用性を確認する必要を強調した。
Mo-S7
Helping to Set a New Standard in Cholesterol Management: Treating 2 Sources of Cholesterol
厳格な脂質管理におけるコレステロール吸収阻害剤の有用性
■積極的脂質低下療法においてエゼチミブは有望な併用薬である
C. Cortese氏,University of Rome(イタリア)
Cortese氏は積極的LDLコレステロール(LDL-C)低下療法の有用性を示すエビデンスを整理し,そのような治療におけるエゼチミブの有用性を示した。LDL-C低下による冠動脈イベント減少は4S試験以来多くの試験で確認されているが,近年,2次予防における積極的LDL-C低下療法,すなわち100mg/dLを大きく下回る値まで低下させた場合の有用性について関心が集まっている。これに関しては,冠動脈イベント急性期における有用性がPROVE-ITで確認され,次いで慢性期における有用性もTNT,IDEALにより証明された。これらのエビデンスに基づき,米国脂質管理ガイドラインであるNCEP ATP IIIは「冠動脈疾患,あるいは同等のリスク」を持つ患者におけるLDL-C目標値として「70mg/dL」もあり得るという立場に変わった。「LDL-C<70mg/dL」という目標を達成するには高用量スタチンだけでなく,スタチンと他剤の併用も必要となる。エゼチミブは,例えばシンバスタチン80mg/日との併用により61%というLDL-C減少率を得られることが報告されており,有望な併用薬である。
■現在の治療では,より強力な治療は行われず6割が目標未達
D. A. Wood氏,Imperial College(UK)
Wood氏は,現状のLDL-C低下療法の不十分さを指摘した。欧州における大規模実態調査EUROSPIRE IIの成績では,冠動脈疾患例の61%が脂質低下薬を処方されていたにもかかわらず,58%が総コレステロール5mmol/L(194mg/dL)以上であった。また欧州10カ国で行った実態調査REALITY研究では,脂質低下療法が必要な例のおよそ6〜9割はスタチンで治療を開始されるが,その後より強力な治療(増量・切り替え等)への変更が行われていたのは16%のみで,その結果,およそ6割の患者ではコレステロール目標値が達成されず放置されていた。脂質目標値を達成できていた例では,実際に心血管イベントリスクが有意に減少していたため,「厳格な脂質管理は火急の要である」とWood氏は締めくくった。
■エゼチミブの併用はLDL-C低下作用の相加的増強をもたらす
A. L. Catapano氏,University of Milan(イタリア)
エゼチミブは,主として腸管に発現しコレステロール吸収に関与するNPC1L1(Niemann-Pick C1 Like1)に働くコレステロール吸収阻害剤である。NPC1L1は,コレステロールトランスポーターと考えられ,エゼチミブはその働きを選択的に阻害する。動物における検討では,エゼチミブ投与ラットにおけるコレステロール吸収率はNPC1L1ノックアウト(KO)マウスと同等で,またKOマウスにエゼチミブを投与しても吸収率はそれ以上変化しなかった。
エゼチミブの代謝にシトクロームP450(CYP)の関与は認められないため,CYPを介した薬物相互作用は理論的に生じ得ず,これまでの検討では,アトルバスタチン,ロスバスタチンシンバスタチン,プラバスタチン,フルバスタチンとの間に重大な相互作用は見いだされていない。ヒトにおいて,エゼチミブはコレステロール吸収をプラセボに比べ54%抑制し,血中LDL-Cを服用前に比べ20.4%有意に低下させた。血中コレステロール濃度は,腸管からの吸収量と肝における合成量で決定されるため,合成阻害剤であるスタチンと吸収阻害剤エゼチミブの併用は,LDL-C低下作用の相加的増強をもたらすものと考えられる。実際,エゼチミブとシンバスタチン20mgの併用によりLDL-Cの51%低下という相加効果が認められた。
■スタチン+エゼチミブ併用によるLDL-C低下作用増強のエビデンス
D. Harats氏,Tel Aviv University(イスラエル)
スタチン単独でNCEP ATP IIIのLDL-C目標値を達成できなかった3,030例を,「スタチン+プラセボ」群と「スタチン+エゼチミブ10mg/日」群に無作為に割り付け比較したEASE試験では,リスクの高低を問わず,エゼチミブ併用群のLDL-C目標値達成率は70〜90%とスタチン単独群と比較して有意に高い達成率を示し,なおかつ安全性は同等であった。冠動脈疾患例を対象に「アトルバスタチン+プラセボ」群と「アトルバスタチン+エゼチミブ10mg/日」群を比較した試験も同様に,アトルバスタチン単独では22%であったLDL-C目標値達成率がエゼチミブ併用では81%と有意に高値であった。糖尿病例を対象に「エゼチミブ+シンバスタチン併用」と「アトルバスタチン」を比較したVYVAサブスタディでも同様に「エゼチミブ+シンバスタチン併用」により有意に高いLDL-C低下効果を示し,non-HDLコレステロール低下率も有意に大きかった。
■エゼチミブによる現在進行中の動脈硬化性疾患発症抑制試験
T. R. Pedersen氏,Ullevål University Hospital(デンマーク)
現在,エゼチミブが臨床転帰に及ぼす影響を検討する試験としてENHANCE,SHARP,SEAS,IMPROVE-ITなどが進行中である。
ENHANCEでは,エゼチミブ+シンバスタチン併用と同用量シンバスタチン単独間で頸動脈肥厚抑制効果が比較されるが,早ければ来年の米国心臓病学会(ACC)で報告予定とされている。SEASでは,大動脈狭窄症例に対して,エゼチミブ+シンバスタチン併用による心血管イベント抑制作用がプラセボとの比較において検討される。SHARPでは,慢性腎疾患あるいは透析導入例において,エゼチミブ+シンバスタチン併用が心血管イベントに与える影響についてプラセボ対照で検討される。
IMPROVE-ITでは,急性冠症候群(ACS)例においてエゼチミブ+シンバスタチン(40mg/日)併用とシンバスタチン(40mg/日)単剤の有効性が比較検討される。2010年には結果が明らかになる見通しである。
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