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Management of dyslipidemia remains inadequate in Europe in 2006-2007 ─ European study CEPHEUS (Centralised pan-European survey on the undertreatment of hypercholesterolemia)
E. Tocque Le Gousse氏,AstraZeneca(フランス)
フランスにおける欧州ガイドラインの
LDL-C目標値達成率は半分以下
■薬剤選択に一因か
CEPHEUS(Centralised pan-European survey on the under treatment of hypercholesterolemia)調査は欧州8カ国の共同横断調査研究である。今回解析対象とした患者は,フランスにおいて脂質低下薬を3カ月以上服用し,最終用量に到達してから6週間以上経過している高コレステロール血症患者1,966例である。平均年齢は62.7歳,女性44.3%,平均BMI27.6kg/m2で,合併症は糖尿病17.1%,高血圧59.1%,冠動脈疾患18.4%,脳血管障害,末梢動脈障害がそれぞれ4.1%,11.6%認められた。
脂質低下薬服用期間は平均5.5年,単独薬剤による治療は90.4%で,その内訳はスタチン84.9%,フィブラート13.7%であった。また多剤併用例は3.4%であった(不明分を除く)。スタチンの平均服用用量はロスバスタチン8.4mg/日,アトルバスタチン18.2mg/日,シンバスタチン23.2mg/日などであった。
第3回ヨーロッパ特別委員会によるLDLコレステロール(LDL-C)管理ガイドライン (TJETF)の規準(1次予防:115mg/dL未満,2次予防・糖尿病合併患者:100mg/dL未満)を用いてLDL-C目標値への達成率を検討したところ,1次予防,2次予防ともに40.9%にとどまっており,いずれも14,478例のCEPHEUS調査全体の成績(1次予防:55.6%,2次予防:55.9%)に比べて極めて低かった。
「フランスにおけるLDL-C管理は不十分である」とLe Gousse氏は結論し,その要因として,CEPHEUS調査全体に比べ,1)フィブラート単独の多用(13.7% vs. 5.9%),2)フランスにおけるTJETF参照率の低さ(17.9% vs. 45.5%)などが影響していた可能性を指摘した。
On the forefront of cholesterol management: Inhibiting cholesterol absorption and production educational symposium
コレステロール管理の最前戦:コレステロールの吸収と合成
Glasgow Royal Infirmary(英国)のA. Brady氏はまず,英国では高リスク(心血管疾患既往ないしは糖尿病)患者のLDLコレステロール(LDL-C)目標値は77mg/dL(2.0mmol/dL)とされていることを示し,この値のクリアのしかたについて考察した。
欧州における大規模調査EuroASPIRE IIIのデータでは,総コレステロールが目標値(192.5mg/dL [5mmol/dL] )まで低下していた冠動脈疾患患者は57.3%のみであった。Brady氏はこの原因を「ドクターが『スタチン6%の法則』をよく知らないからだ」と説明する。スタチンは倍量に増量しても追加で得られるLDL-C低下作用は一般的に6%しか増強されず,開始量の4倍まで増量しても開始量で得られたLDL-C低下率は12%上積みされるだけとなる。これが「スタチン6%の法則」だが,広く知られていないためLDL-Cコントロール不良例に対しスタチン増量で対処するドクターが多いと指摘する。
スタチンでLDL-C目標値が達成されない場合,現在最も有用なのはエゼチミブの併用である。コレステロール管理による心血管イベント抑制の費用対効果は,降圧など他のリスクファクター管理よりも遥かに大きいため,厳格なLDL-C管理の積極的な実施が長い目で見れば経済性の高い選択であるとBrady氏は強調した。
続いてBrady氏はUniversity of Amsterdam(オランダ)のJ. Kastelein氏と「糖尿病患者における積極的LDL-C低下療法の意義」についてディベートした。
Kastelein氏は「心血管イベント抑制の観点からは,糖尿病患者でもLDL-C低下療法が最も重要である」との立場を取った。糖尿病合併脂質異常症患者に対するLDL-C低下療法の有用性は多くの臨床試験で証明されており,さらに糖尿病患者における心血管リスク軽減の70%以上が脂質低下療法によるとの解析もあるためである。また実地臨床ではLDL-Cがコントロールされている糖尿病患者はまだ少ないため,改善の余地は大きい。「したがって糖尿病患者でも,まずLDL-Cを各種ガイドラインが推奨する目標値まで低下させるよう心がけるべきである」とKastelein氏は主張した。
Brady氏も基本的にこの考えに反対ではない。ただしSteno-2試験で多面的介入の有用性が証明されていることや,スタチンに忍容でないためLDL-Cを目標値まで低下させられない患者も存在するとして注意を呼びかけた。
Università degli Studi di Milano (イタリア)のA. Catapano氏はスタチン併用薬としてのエゼチミブについて述べた。
エゼチミブは小腸のNPC1L1タンパクの作用阻害を介してコレステロール吸収を抑制する。スタチン単独ではコレステロール合成が抑制される結果,腸管からの吸収が増加するため,エゼチミブの追加が有用性を発揮する。エゼチミブとスタチンとの間に薬物相互作用が報告されていない点も併用には有利な点である。
エゼチミブ+スタチンによるLDL-C低下作用の増強は,多くの臨床試験で確認されており,その1つにEASE試験がある。スタチン単独で米国脂質管理ガイドラインNCEP ATP IIIのLDL-C管理目標値に到達しない患者を,スタチン継続のままプラセボ群とエゼチミブ10mg/日群に無作為化した二重盲検試験である。エゼチミブ追加群では,低リスク群のみならずLDL-C管理目標値が低く設定されている高リスク患者でもおおむね25%のLDL-C低下効果が観察された。また,ストロングスタチンであるロスバスタチン10mg/日よりもシンバスタチン20mg/日+エゼチミブ10mg/日併用によるLDL-C低下効果が大きいという二重盲検試験も報告されている(51.5% vs. 15.8%,p≦0.001)。
以上の成績から,「エゼチミブはコレステロール吸収を特異的に阻害する。効率的なLDL-C低下のためにはコレステロール合成だけでなく吸収も同時に阻害するのがよい」とCatapano氏は総括した。
最後に再びJ. Kastelein氏が登壇し,エゼチミブを用いた現在進行中の臨床試験について解説した。
今後,発表が最も早いのはSEAS(Simvastatin and Ezetimibe in Aortic Stenosis)試験で,今年11月の米国心臓協会(AHA)学術集会での報告が予定されている。本試験では大動脈弁狭窄を有する患者において,シンバスタチン+エゼチミブ併用の心血管イベント抑制作用がプラセボと比較され,1,873例が登録されている。
SHARP(Study of Heart And Renal Protection)では,慢性腎臓病患者における血管イベント抑制作用が検討される。対象は保存期腎不全患者約6,000例と透析患者約3,000例である。プラセボ群とエゼチミブ+シンバスタチン併用群で比較され,2011年の米国心臓病学会(ACC)学術集会で報告されると考えられている。
そして最も注目されているのがIMPROVE-IT(IMProved Reduction of Outcomes: Vitron Efficacy International Trial)試験である。この試験では急性冠症候群発生後亜急性期の18,000例を,シンバスタチン単独群とシンバスタチン+エゼチミブ群に無作為化し,最低2.5年間追跡する。当初の登録予定数は10,000例であったが,安全性データ監視委員会が安全性のためにデータを(盲検下で)チェックしたところ,1次評価項目である心血管イベントの発生数が試験設計時よりかなり低かったため,検出力が維持されるよう登録数が18,000例に増やされた。その結果,終了予定も当初の2010年から2012年に変更となった。
Kastelein氏は「エゼチミブによる心血管イベント抑制作用の有無はこれら28,000例以上のデータを見るまでは結論できない」と述べ,講演を終えた。
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Patients attaining European guidelines LDL-C goal (< 2 mmol/L) in 3 studies evaluating switch to ezetimibe/simvastatin versus statin dose doubling
P. Brudi氏,Merck Schering-Plough(米国)
「スタチン倍量」よりも「スタチン+エゼチミブ併用」への変更で
LDL-Cの目標値達成率が改善
■高リスク患者でLDL-C管理目標値80mg/dL未満を44%達成
今回報告されたのは3つの無作為化試験の後付け解析の結果である。初回用量のスタチンのみでは LDLコレステロール(LDL-C)が十分に低下しなかった患者を「スタチンの倍量」への増量と「シンバスタチン+エゼチミブ10mg/日の併用」に分け,英国のガイドラインにおける高リスク患者のLDL-C目標値である「80mg/dL未満」の達成率を比較した。
まず,動脈硬化または冠動脈疾患を有する患者427例を対象とした試験では,アトルバスタチン10mg/日による治療からシンバスタチン20mg/日+エゼチミブ10mg/日併用へ変更した群のLDL-C目標値達成率は44.2%でアトルバスタチン20mg/日(単独倍量)群の13.3%よりも有意(p≦0.001)に高かった。
同様に,2型糖尿病患者640例を対象とした試験では,アトルバスタチン10mg/日による治療からエゼチミブ10mg/日+シンバスタチン20mg/日または40mg/日併用群の6週間後のLDL-C目標値達成率はそれぞれ78.7%,72.2%であり,ともにアトルバスタチン単独20mg/日(40.4%)より有意(p≦0.001)に高かった。
また,冠動脈イベントによる入院歴を有する403例における検討では,初回投与量のスタチンの倍量への増量群でのLDL-C目標値達成率41.7%に比べ,シンバスタチン40mg/日+エゼチミブ10mg/日併用への変更群では70.1%と,有意(p≦0.001)に高かった。
以上の結果より,「高リスク患者でLDL-C<80mg/dLを達成するにはスタチン増量よりもエゼチミブ併用のほうが有効である」とBrudi氏は結論した。
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Lipid-altering efficacy of ezetimibe/simvastatin 10/40mg compared to doubling statin dose in patients admitted to the hospital for recent coronary event
P. Brudi氏,Merck Schering-Plough(米国)
冠動脈イベント入院患者で「スタチン倍量」よりも
「スタチン+エゼチミブ」への切り替えが有用
■LDL-C 70mg/dL未満への到達率は60%
対象となったのは冠動脈イベントで入院後スタチンを6週間以上服用する18歳以上の424例。ただし,2倍に増量が可能な用量のスタチンが投与されている患者に限定された。試験開始時のLDLコレステロール(LDL-C)は90mg/dL強であった。
これらの患者を,LDL<70mg/dLまで低下させるべく,スタチンを2倍に増やす「スタチン倍量」群(211例)とシンバスタチン40mg/日+エゼチミブ10mg/日の「エゼチミブ併用」群(213例)に無作為化し,12週間投薬した。
その結果,試験終了時までのLDL-C低下率は「スタチン倍量」群では4%であったが,「エゼチミブ併用」群では27%と,有意に大きかった(p≦0.001)。エゼチミブ併用群におけるLDL-C低下は,性別,年齢や試験開始時のLDL-C値,BMIの高低や,スタチンの種類,用量にかかわらず認められた。「LDL-C<70mg/dL」の達成率も「エゼチミブ併用群」では60%と「スタチン倍量」群(31%)に比べて有意に高かった(p≦0.001)。
非HDLコレステロールやアポB濃度も同様で,「スタチン倍量」群に比べ「エゼチミブ併用」群の低下度が有意に高かった(p≦0.001)。
一方,有害事象の発現は「スタチン倍量」群と「エゼチミブ併用」群の間に有意差を認めなかった。
以上の結果を踏まえてBrudi氏は「冠動脈イベントによる入院例に対しシンバスタチン+エゼチミブ併用はスタチン倍量への増量よりも脂質代謝改善作用は大きく,安全性は同等である」と結論した。
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Efficacy and safety of ezetimibe and ezetimibe+statin in young and elderly patient populations
J.G. Robinson氏,University of Iowa(米国)
エゼチミブは高齢者において有効かつ安全である
■高齢者においてエゼチミブは効果的かつ安全に使用可能
Robinson氏らが今回Pooled解析した16の無作為化試験はいずれも,プラセボ群,エゼチミブ単独群,スタチン単独群,スタチン+エゼチミブ併用群における脂質改善効果および安全性を検討したものである。
各群におけるLDLコレステロール(LDL-C)の変化率を比較したところ,プラセボ群とエゼチミブ単独群の差は-19.68% (p<0.001),スタチン単独とエゼチミブ併用群の差は-17.23% (p<0.001)であり,いずれも年齢による効果の差はなかった。また全体を「65歳未満」(8,824例),「65〜74歳」(3,311例),「75歳以上」(1,147例)の3つの年齢群に分けて,それぞれの年齢におけるLDL-C低下率を比較したところ,スタチン単独群とスタチン+エゼチミブ併用群のLDL-C低下率の差は「65歳未満:17%」,「65〜74歳:18%」,「75歳以上:17%」であり,年齢による差はなかった。「LDL-C<100mg/dL」の達成率も,「65歳未満:68.3%」,「65〜74歳:78.2%」,「75歳以上:76.9%」と年齢による著明な差はみられなかった。統計的に検定しても,LDL-Cを含めた脂質代謝に対するエゼチミブの改善作用に,年齢による有意な影響はみられなかった。
有害事象の発現も同様で,エゼチミブ投与により有意な増加を認めた年齢群はなかった。有害事象による服薬中止も,年齢を問わず,プラセボとエゼチミブ単独群,スタチン単独群とエゼチミブ併用群で同等であった。
以上の結果より「エゼチミブ投与の安全性は年齢の高低を問わずプラセボあるいはスタチン単独と同等で,エゼチミブ投与によるLDL-C低下効果は年齢とは無関係に観察された」とRobinson氏は結論した。
※一般に高齢者では生理機能が低下しているため,副作用の発現には注意すること。
684
The effects of high dose pravastatin and low dose pravastatin and ezetimibe combination therapy on lipid, glucose metabolism and inflammation
N. Dagli氏,Firat University(トルコ)
抗炎症作用は高用量スタチンよりも低用量スタチン+エゼチミブで強力
■hsCRPはエゼチミブ併用群でより低下
本検討では原発性高コレステロール血症100例をプラバスタチン40mg/日群(50例)とプラバスタチン10mg/日+エゼチミブ10mg/日併用群(50例)に割付けた。
その結果LDLコレステロール(LDL-C)は,プラバスタチン40mg/日群で165.7±29.7mg/dLから133.4±26.6mg/dLへ有意(p=0.02)に低下し,エゼチミブ併用群でも158.1±47.5mg/dLから116.9±26.4mg/dLへと有意(p=0.001)に低下した。両群とも良好な効果を示したが,LDL-C低下度はエゼチミブ併用群のほうが有意に大きかった(p=0.003)。トリグリセリドも両群ともに,有意な低下が認められたが,低下度はエゼチミブ併用群で有意に大きかった(p=0.05)。HDLコレステロールは両群とも有意な変化を認めなかった。
高感度C反応性タンパク(hsCRP)濃度は,プラバスタチン40mg/日群では6.69±6.11mg/Lから3.02±1.07mg/Lへと(p=0.01)54.9%の低下率であったのに対し,エゼチミブ併用群の低下率は57.9%(6.36±2.06mg/Lから2.68±1.79mg/L,p=0.001)と,スタチン単独群に比べて有意に大きく(p=0.04),エゼチミブ併用群でより強力な抗炎症作用が認められた。
以上の結果から,「高用量プラバスタチンに比べ低用量プラバスタチン+エゼチミブ併用は,LDL-C低下作用だけでなく抗炎症作用も強力である」とDagli氏は結論した。
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Diagnosis of familiar combined hyperlipidemia by small dense LDL-cholesterol
伊藤康樹氏,デンカ生研株式会社
FCHLの診断にはsmall, dense LDL-Cの測定が有用
■sd LDL-Cを分離させる試薬を使用 本研究の対象は,脂質代謝異常を認めない1,205例とLDLコレステロール(LDL-C)≧140mg/dL,トリグリセリド≧150mg/dLの少なくとも一方を満たす脂質異常症患者281例および家族性混合型脂質異常症(FCHL)患者64例である。空腹時血糖値≧126mg/dLを示す糖尿病の合併例と脂質低下薬服用例,またアキレス腱に黄色腫を認める患者は除外されている。
これら1,486例のデータを用い,FCHLの診断規準として「small, dense LDLコレステロール(sd LDL-C)≧50mg/dL」,「アポB≧120mg/dL」,「アポB/LDL−C比≧1.0」,「LDLサイズ<25.5nm」のいずれが最も適しているかを比較した。sd LDL-Cの測定には,デンカ生研が開発した試薬を用いsd LDLを含む分画を分離後,分画中のHDLコレステロールを分離した後sdLDL-Cを測定した。
その結果,sd LDL-C値によるFCHL診断の感度,特異度は,それぞれ67.2%,59.4%で,感度ではアポB値(79.7%)に,特異度ではアポB/LDL-C比(95.9%)に劣るが,正判別率(陽性一致+陰性一致/全例)は81.5%で最も高く(アポB値:64.7%,LDLサイズ:71.9%,アポB/LDL-C比:76.2%),診断指標として最も有用であることが示された。
この結果を踏まえ,「FCHL診断のスクリーニングにおいて,sd LDL-Cの測定は有用である」と伊藤氏は結論した。
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