75th European Atherosclerosis Society Congress WILL Medical Congress Report


よりよい脂質管理:単一のアプローチか複数のアプローチか
高用量スタチンによる脳・心血管イベント抑制効果を示したが,安全性に懸念を残したTNT試験
高用量スタチンでは肝機能検査値異常が増加
個々の患者における絶対リスクの評価と管理が重要
なぜガイドラインは守られないか:実証的考察
スタチンへのコレステロール吸収阻害剤併用により2型糖尿病合併患者におけるhs-CRPが低下
現行のスタチン治療へのコレステロール吸収阻害剤追加投与によりhs-CRPはさらに低下
コレステロール吸収阻害剤は単独で血小板凝集抑制と抗酸化作用をもたらす
コレステロール吸収阻害剤とスタチン併用の優れたアポB/アポA-1比改善率
SEAS研究の試験デザインおよび患者背景
メタボリックシンドロームの基礎にある内臓脂肪
脳・心血管イベントの予測因子としてのメタボリックシンドローム
この情報には一部、本邦未承認の情報が含まれております。


Satellite Symposium
Better Lipid Management: Addressing Cholesterol Maximally Through Two Sources Versus Only One Source
J-L. Balligand, Alberico Catapano, David Cohen, John Kastelein, Terje Pedersen

よりよい脂質管理:単一のアプローチか複数のアプローチか

■ハイリスク患者における積極的なコレステロール低下療法は有用である
 University of Louvain(ベルギー)のJean-Luc Balligand氏は,ハイリスク患者における積極的なコレステロール低下療法の有用性を示すエビデンスを概説した。
 臨床的に,急性冠症候群(ACS)患者においてプラバスタチン40mg/日群とアトルバスタチン80mg/日群を比較したPROVE-IT試験では,LDLコレステロール(LDL-C)値が平均62mg/dLまで低下したアトルバスタチン群では,95mg/dLまでしか低下しなかったプラバスタチン群に比べ,心血管死亡・イベントが16%減少した。さらに慢性期の冠動脈疾患患者においても,アトルバスタチン10mg/日よりも80mg/日治療により脳・心血管イベントが相対的に22%有意に減少することが報告されている(TNT試験)。TNT試験を含むこれまでの二次予防試験をメタ解析すると,コレステロール低下療法により達成できたLDL-C値と冠動脈イベント発生率は正の相関を示していた。
 これらの試験から,ACS患者だけでなく慢性期の冠動脈疾患患者においても,LDL-Cは75mg/dL未満を目標に低下すべきだとBalligand氏は結論した。

■現行のコレステロール低下療法でのLDL-C値低下目標達成が不十分である原因
 ハイリスク患者における積極的なコレステロール低下療法の有用性は確立しているものの,臨床現場におけるLDL-C管理は不十分である。Universita degli Studi in Milano(イタリア)の Alberico Luigi Catapano氏がREALITY研究の結果として報告した。
 REALITY研究は一般医家を中心とした観察研究であり,欧州9カ国において冠動脈疾患患者およそ59,000名が登録されている。LDL-C値低下目標の達成率を調べると,50%を超えている英国を例外として,軒並み35%未満という結果だった。
 そこでスペインにおいてREALITY研究に参加している39施設,619例を対象にLDL-C目標値が達成されていない原因を探ったところ,以下のような医師側の考えが一因として浮かび上がった(括弧内はLDL-C目標値非達成相対リスクと95%信頼区間)。
 まず,「スタチン増量によるリスクの増加を危惧」(1.7:1.13 - 2.56),「LDL-C目標値より10〜20mg/dL高値でも十分である」(1.83:1.24 - 2.69)というものである。高用量スタチンに対する安全面の不安から,LDL-C管理目標値を甘めに設定している実態が見て取れる。しかし,LDL-C目標値未達成のファクターとしてさらに大きかったのが「現在のスタチンではLDL-C低下作用が不十分」(4.76:3.03 - 7.46)という要因だった。
 スタチン単独でLDL-Cをコントロールする限界を指摘し,Catapano氏は話を終えた。

■コレステロールの吸収と合成を同時に阻害する"Dual Inhibition"こそ最適なストラテジー
 Brigham and Women's Hospital(米国)のDavid E. Cohen氏は,LDL-C低下における"Dual Inhibition"の重要性を解説した。
 同氏によれば,肝臓が1日に合成するコレステロールは2g,摂食によるコレステロールは西洋型の食事であっても1日に0.4gである。しかしこれら2.4gのコレステロール中,糞中に排泄されるのは50%のみで,残り50%は空腸・回腸で再吸収され肝臓に戻る。
 エゼチミブはこの腸におけるコレステロール吸収を抑制し,その結果として肝臓におけるVLDL合成が減少し,LDL-Cが減少する。その際,代償として起こる肝臓におけるコレステロール合成増加を抑制するためにスタチンを併用することでさらに効果的にコレステロールの低下が得られる。
 「コレステロールの吸収と合成を同時に阻害する"Dual Inhibition"こそ,LDL-C低下に最適なストラテジーである」とCohen氏は結んだ。

■スタチン単独に代わる新たな脂質低下療法「エゼチミブ+スタチン」
 次に登場したAcademic Medical Center(オランダ)のJohn J.P. Kastelein氏は冒頭,スタチン単独ではなくエゼチミブとの併用が必要となる理由として「スタチン6%の法則」を紹介した。「スタチンを倍量に増量してもLDL-C低下率は6%しか増強されず,増量を重ねるに従いLDL-C低下作用がプラトーに近づく」という法則である。このようなスタチンによるLDL-C低下作用の限界を克服するために,エゼチミブ併用が有用であるという。
 エゼチミブ+スタチンによる良好なLDL-C低下作用は多くの試験で示されているが,Kastelein氏は「LDL-Cを50%減少させる重要性」を指摘した。REVERSAL試験の結果,LDL-C値が50%低下すれば,プラーク進展が抑制されることが明らかになっているためである。
 これだけのLDL-C低下を達成するために,アトルバスタチンでは80mg/日という高用量が必要となるが,エゼチミブでは10mg/日をシンバスタチン20mg/日と併用するのみで達成できる。
 「エゼチミブ+スタチンはスタチン単独にかわるLDL-C低下療法となる」とKastelein氏は結論した。

■エゼチミブによる予後への影響を検討した様々な大規模試験が現在進行中
 シンポジウムの最後を飾ったUniversity of Oslo(ノルウェー)のTerje Pedersen氏は,現在進行中のエゼチミブ大規模試験を紹介した。家族性高コレステロール血症の頸動脈肥厚退縮をエゼチミブ・シンバスタチン併用とアトルバスタチン単独で比較するENHANCE(Ezetimibe and simvastatiN in Hypercholesterolemia enhANces atherosClerosis rEgression)試験,エゼチミブ・シンバスタチン併用が腎機能に及ぼす影響を検討するSHARP(Study of Heart And Renal Protection),大動脈狭窄症に対するエゼチミブ・シンバスタチン併用の有用性をプラセボ対照で検討するSEAS(Simvastatin + Ezetimibe in Aortic Stenosis)試験,さらにACS患者においてエゼチミブ・シンバスタチン併用とシンバスタチン単剤を比較するIMPROVE-IT(IMProved Reduction of Outcomes: Vytorin Efficacy International Trial)などである。
 「これらの大規模試験の結果により,エゼチミブの臨床的有用性はいっそう確かなものになる」とPedersen氏は結んだ。
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W16
Treating to new targets: Anatomy of a Clinical trial
TNT Steering Committee and Investigators Jim Shepherd

高用量スタチンによる脳・心血管イベント抑制効果を示したが,安全性に懸念を残したTNT試験

■80mg/日群では薬物関連有害事象の発現,「有害事象による服薬中止」率が有意に高い
 TNT試験では,LDL-C 130〜250mg/dLの冠動脈疾患患者15,464例にアトルバスタチン10mg/日をオープンラベルで8週間服用させ,主としてLDLコレステロール(LDL-C)値が130mg/dL未満まで低下しなかった例を除いた10,001例(平均年齢61歳)をLDL-C目標値「100mg/dL(アトルバスタチン10mg/日)群」(5,006例)と「75mg/dL(同80mg/日)群」に無作為割り付けし,二重盲検法にて追跡した。追跡期間中央値は4.9年間,追跡期間中のLDL-C値は,80mg/日群で77mg/dL,10mg/日群で101mg/dLであった。
 その結果,一次エンドポイントである「主要脳・心血管イベント(冠動脈死,非致死性・非PCI関連心筋梗塞,蘇生できた心停止,全脳卒中」は,80mg/日群で10mg/日群に比し22%減少した (8.7% vs 10.9%, p<0.001)。また,「全冠動脈イベント」も相対的に21%,「脳・心血管イベント」は19%,80mg/日群で有意(p<0.001)に減少していた。
 安全性に関し,筋障害の発現は両群で同等だったが,「薬剤関連全有害事象」は80mg/日群および10mg/日群において8.1% vs 5.8%(p<0.001),「有害事象による服薬中止」もそれぞれ7.2% vs 5.3%(p<0.001)と,80mg/日群において有意に多かった。
 さらに「AST/ALTの上昇(正常値3倍を超す)」も,10mg/日群に比べ80mg/日群では有意に多かった(1.2% vs 0.17%,p<0.001)。
 最後にShepherd氏は,4S,LIPIDやHPSなど過去の二次予防試験の成績とTNT試験を並べて示し,「到達LDL-C値が低くなるほど,冠動脈イベントの絶対リスクは低くなる」と述べ,より積極的なLDL-C低下療法の重要性を説いた。有害事象発現を増やすことなくアトルバスタチン80mg/日を上回るLDL-C低下作用をどのように得るのかが,今後の課題となった形である。
 なお,アトルバスタチン10mg/日オープンラベル服用後に除外された5,461例の除外理由の内訳を問う質問がフロアから出されたが,Shepherd氏は明言を避けた。
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P221
Comparative Safety of Atorvastatin 80 mg Versus 10 mg Derived From Analysis of 49 Completed Trials
Pfizer Global Pharmaceutical Connie Newman

高用量スタチンでは肝機能検査値異常が増加

■正常値3倍を超えるALT/ASTの上昇が80mg/日群で増加したが,安全性は同等
 Newman氏らは1992年から2004年9月までに終了した49件の臨床試験に参加した14,236例のデータを用い,アトルバスタチン10mg/日,80mg/日の有害事象発現頻度をプラセボと比較した。
 その結果,「薬剤関連有害事象」の発現が最も多かったのはアトルバスタチン80mg/日群(4,798例)で14.6%,次いで同10mg/日群(7,258例)の13.5%,プラセボ群(2,180例)の12.4%だった。ただし,「薬剤関連有害事象による脱落」は10mg/日群(7,258例)が最多で2.4%,80mg/日群(4,798例)は1.8%,プラセボ群(2,180例)では1.2%だった。
 有害事象を種類別に比較すると,まず「全ての筋痛」は10mg/日群2.3%,80mg/日群2.7%,プラセボ群1.2%,「薬剤関連」と判断された筋痛はそれぞれ,1.4%,1.5%,0.7%となった。一方,「クレアチニンキナーゼ(CK)正常上限値10倍超の増加」が持続して認められたのは,10mg/日群とプラセボ群では0%,80mg/日群でも0.06%のみであった。
 「アルブミン尿と血尿の発現」はおおむね1.0%以下でまれであったが,「ALT/AST正常値3倍超の上昇」は,持続上昇例が10mg/日群の0.1%に対し80mg/日群では0.6%と高値を示し(プラセボ群は0.2%),一過性の上昇まで含めると10mg/日群0.6%に対し,80mg/日群では3.3%と5倍以上の高値を認めた(プラセボ群0.6%)。
 これらの結果よりNewman氏らは,「ALT/ASTが若干上昇する点を除き,アトルバスタチン80mg/日の安全性は10mg/日と同等である」と結論している。ただし,本解析には,アトルバスタチン80mg/日群(2,099例)において「ALT正常値3倍超の上昇」,「筋痛あるいはCK上昇による脱落」をそれぞれ3.3%ずつ認めたPROVE-ITの成績は含まれていない。
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MTE5
Treating Risk Factor or Risk?
Malmö University Hospital Leif Erhardt

個々の患者における絶対リスクの評価と管理が重要

■低リスク患者に対しても適切な治療が重要
 高脂血症や高血圧など各疾患ガイドラインではリスクファクターの管理が主とされているが,Erhardt氏は,とくに患者ごとの冠動脈イベント,あるいは脳・心血管イベントの絶対リスク評価の重要性を強調している。そのような評価により,治療すべき高リスク例が特定でき,また患者サイドの治療へのコンプライアンス改善が期待できるとともに,どの程度の介入が必要かも明らかにすることができる。
 欧州では現在,SCOREプロジェクトのデータより算出された脳・心血管リスクスコアを用いて,個々の患者の絶対リスクを算出しているが,10年以内の脳・心血管イベント死亡リスクが20%を超える高リスク例は全体の7.5%,10〜20%未満でも15%しか存在しないと考えられている。しかし,脳・心血管イベントは必ずしも高リスク群のみで発生する訳ではなく,発生率は低いものの低リスク患者は数が多いため,イベント発生数は相当な数になる。したがって,低リスク患者に対しても,適切な治療を行うことが重要だとErhardt氏は述べた。
 患者の絶対リスクを考慮するもう一つの利点は,単一のリスクファクターのみを治療して満足してしまう恐れが低い点である。例えば,高リスク患者ではLDLコレステロールを100mg/dL未満まで低下させるだけでなく,血圧も140/90mmHg未満まで管理する必要があるとされる。近年話題となっているPolyPillの概念が示すように,血清脂質,血圧,血小板活性などへの同時介入によるイベント抑制作用は極めて大きいと考えられており,絶対リスクに応じてこのような多面的治療を選択しなくてはならない。
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MTE5
Cardiovascular risk and primary care
University of Birmingham Richard Hobbs

なぜガイドラインは守られないか:実証的考察

■1年半後には約半数が治療を放棄しているという実態を踏まえて
 英国に限らず,欧州では一般的に高血圧,高コレステロール血症ともに,コントロール率は低い。大規模調査EUROASPIREによれば,欧州における冠動脈疾患患者においてこの2疾患のコントロール率がもっとも悪く,見逃せない状態だとHobbs氏は指摘する。
 いずれもガイドラインが存在するのに,なぜガイドライン遵守率が低いのか。高脂血症ガイドラインに関し,同氏は医師側の原因として,1)コレステロール検査の積極性が足りない,2)ガイドラインの拠り所となっているエビデンスに疑いを持っている,3)ガイドラインが多すぎる,またガイドラインが定める手順が複雑すぎる,4)ガイドラインに従うと手間が増える──の4点を挙げた。これらはいずれも,オランダにおける調査の結果,明らかになった要因である。 
 一方,患者側の要因としては,1)冠動脈疾患が死因の第一位だと知らない,2)自らは低リスクだと(根拠なく)信じている──と指摘できるという。さらに高コレステロール血症が冠動脈疾患のリスクであると知っているのは,一般住民の半数にすぎないとのデータもある。このような背景のもと,高コレステロール血症と高血圧では薬物治療を開始しても,1年後にはおよそ3分の1,1年半後には約半数が治療を放棄しているという実態がある。
 Hobbs氏は,1)一般住民だけでなく医師にもさらに啓蒙活動を行い,理解を深める,2)薬物治療にあたってはなるべく処方を単純化する,3)ガイドラインを単純・統一化することを解決策として提示した。
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P376
Addition of Ezetimibe to the treatment of type 2 diabetic patients with hyperlipidaemia, uncontrolled with statin treatment
Hosp Dr. Negrin Francisco J. Martinez-Martin

スタチンへのコレステロール吸収阻害剤併用により2型糖尿病合併患者におけるhs-CRPが低下

■スタチン単独によるコントロール不十分例でエゼチミブ併用は有効かつ安全
 Martinez-Martin氏らが対象としたのは,外来を受診しておりスタチン服用にも関わらずLDL-C値が116mg/dL(3m mol/L:欧州糖尿病学会基準)未満に低下していない2型糖尿病合併高コレステロール血症患者43例である。参加承諾が得られ,かつ服薬コンプライアンスの良好だった38例において3〜4か月後の血清脂質およびhsCRPを服用前と比較した。
 その結果,LDL-Cは156.7mg/dLから102.6mg/dLへと有意(p<0.01)に34.5%減少し,68.4%の患者においてLDL-C目標値(<116mg/dL)を達成できた。
 また,トリグリセライドも同様に16.3%有意(p=0.01)に減少した。一方,HDLコレステロール(HDL-C)はエゼチミブ併用により4.6%有意(p=0.03)に増加した。さらにhs-CRPもエゼチミブ併用後,17.9%有意(p=0.002)に減少した。この効果はスタチンの種類・用量とは関連していなかった。
 エゼチミブ併用の忍容性は良好で,患者からの有害事象報告はなく,また臨床上重要なクレアチニンキナーゼ増加,AST/ALT増加も認められなかった。
 Martinez-Martin氏らは「実地臨床の場でこのような成績が得られた」点を強調し,「スタチン単独でLDL-Cをコントロールできない2型糖尿病患者において,エゼチミブ併用は非常に有効かつ安全である」と結論した。
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P537
An Analysis of C-Reactive Protein and the Efficacy of Ezetimibe Added to Statin Therapy: An EASE Substudy
University of Rochester Thomas Pearson

現行のスタチン治療へのコレステロール吸収阻害剤追加投与によりhs-CRPはさらに低下

■エゼチミブ追加によりhs-CRP前値に関わらずさらなるhs-CRP低下が得られる
 EASE試験はスタチン単独治療を受けているが米国脂質ガイドラインNCEP ATP IIIのLDL-C目標値が達成できていない3,030例を,治療継続中のスタチンに加え,エゼチミブ10mg/日(2,020例)またはプラセボ(1,010例)に無作為割り付け後,6週間追跡した二重盲検試験である。今回の解析は,試験開始と終了時の血液サンプルが得られた,エゼチミブ群1,656例とプラセボ群823例を対象とした。
 その結果,プラセボ群では試験開始時,試験終了時のCRP濃度は2.5,2.6mg/Lと変化はなかったが,エゼチミブ群では2.4mg/Lから2.0mg/Lへと12.3%低下しており,両群間には有意な差が認められた(p<0.001)。
 さらに試験開始時のhs-CRPレベルを「1.0mg/L未満」,「1.0〜3.0mg/L」,「3.0mg/L超」の3グループに分けて比較したところ,いずれのグループにおいてもエゼチミブ群におけるhs-CRP改善率はプラセボ群を有意に上回っていた。エゼチミブによるhs-CRP改善作用は,試験開始時のhs-CRP値に影響を受けなかった。
 「現在進行中のスタチン治療にエゼチミブを追加すれば,hs-CRPレベルに関わらず,さらなるhs-CRP低下が得られる」とPearson氏は結論した。
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P432
Effect of Ezetimibe on Platelet Aggregation and LDL Tendency to Peroxidation
Sieff Hospital Osamah Hussein

コレステロール吸収阻害剤は単独で血小板凝集抑制と抗酸化作用をもたらす

■エゼチミブは単独で血小板凝集を抑制しLDL酸化を抑制
 本研究の対象は,LDLコレステロール(LDL-C)が130mg/dLを超え,トリグリセライドが400mg/dL未満の冠動脈疾患を認めない16例である。3か月間のエゼチミブ服用前後で,LDL-C値,血小板凝集とLDL易酸化性が比較された。
 その結果,LDL-Cは,201mg/dLから168mg/dLへ有意(p=0.002)に16%減少した。
 次に血小板凝集を,コラーゲン刺激時最大凝集率を健常成人を対象として比較したところ,エゼチミブ服用前後では最大凝集率が83±15%から60±36%へと,28%の有意(p=0.04)な低下を示した。
 LDL易酸化性は,銅イオン添加から共役ジエン生成開始までの時間(lag time)で評価した。Lag timeはエゼチミブ服用前の144±18分から服用後195±16分に有意(p<0.001)に延長されていた。
 「エゼチミブは単独で,LDL-Cを低下させるのみならず,血小板凝集およびLDLの酸化を抑制する」とHussein氏らは結論している。特に糖尿病患者では動脈硬化病変を認めなくとも血小板凝集の増加と抗酸化作用の低下が報告されている [Vericel E et al. Diabetes 2004; 53: 1046] 点などを考慮すると,エゼチミブはこれらの患者に有益と考えられる。
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P176
Evaluation of Ezetimibe/Simvastatin Versus Atorvastatin on Atherogenic Ratios of Non-HDL-C/HDL-C and Apo B/Apo A-1
Baylor College of Medicine Christie M Ballantyne

コレステロール吸収阻害剤スタチン併用の優れたアポB/アポA-1比改善率

■エゼチミブ・シンバスタチン併用で動脈硬化性の血清脂質の改善が示唆された
 VYVA試験では,LDLコレステロール(LDL-C)値130mg/dL以上の1,902例をエゼチミブ・シンバスタチン合剤10〜80mg/日またはアトルバスタチン10〜80mg/日に無作為割り付けし,6週間,二重盲検法にて追跡した。
 今回の解析では,アポB/アポA-1比ならびに非HDL-C/HDL-C比,またメタボリックシンドロームの血清脂質改善マーカーとされている非HDL-Cへの影響が比較された。比較はエゼチミブ/シンバスタチン合剤とアトルバスタチンで,スタチンの同用量間(10mg,20mg,40mg,80mg/日)で行われた。 
 その結果,アポB/アポA-1比は,いずれの用量においてもエゼチミブ・シンバスタチン群の改善率がアトルバスタチン群よりも有意に大きく,全用量を平均するとエゼチミブ・シンバスタチン群では46.0%の低下を認めたが,アトルバスタチン群の低下は38.7%に留まった(p<0.001)。
 非HDL-C/HDL-C比も同様で,いずれの用量においてもエゼチミブ・シンバスタチン群における改善率がアトルバスタチン群を有意に上回った。全用量平均値では,エゼチミブ・シンバスタチン群の改善率が52.0%だったのに対し,アトルバスタチン群では43.8%だった(p<0.001)。また,非HDL-Cの低下率も同様だった。
 さらに試験開始時のトリグリセライド(TG)値200mg/dL未満と200mg/dL以上に分けて検討したところ,試験開始時のTG値に関わらず,エゼチミブ・シンバスタチン群における上記有用性が認められた。
 「エゼチミブとシンバスタチン併用により,抗動脈硬化性の血清脂質を効果的に改善することが示唆された」とBallantyne氏らは結論した。
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P565
Design and Baseline Characteristics of the SEAS Study
Aker University Anne B. Rossebe

SEAS研究の試験デザインおよび患者背景

■大動脈狭窄症に対するコレステロール低下療法の有用性を検討
 SEAS研究の患者導入基準は以下の通り。総コレステロールが232mg/dL(6mmol/L)以下あるいは参加国のガイドラインにおいて脂質低下療法の対象とならない値で,かつトリグリセライド133mg/dL(1.5mmol/L)以下。年齢は45歳以上,85歳以下。無症候性ながらエコー法により,軽度〜中等度の大動脈弁狭窄(ドプラエコー法にて大動脈弁弁口部最大血流速が2.5〜4.0m/秒)が認められる。ALT/ASTが正常上限値1.5倍以内というものである。
 エゼチミブ10mg/日+シンバスタチン40mg/日併用による脳・心血管複合イベントへの影響をプラセボと4年にわたり比較する。
 欧州7カ国,173施設で登録された1,873例の背景因子を見ると,平均年齢は68±10歳。70歳代が38.2%で最も多く,60歳代の31.3%が続く。50歳代は17.7%で80歳以上は8.7%。男女比は女性が38.7%と若干少なかった。
 血清脂質は,総コレステロールが222±39mg/dL,LDLコレステロール139±36mg/dL,HDLコレステロールは58±17mg/dL,トリグリセライドが126±62mg/dLだった。平均血圧は144.8±20.3/82.0±10.3mmHgで,収縮期高血圧が認められた。平均BMIは26.9±4.3kg/m2であった。
 リスクファクターでは,50.6%が高血圧合併,27.9%に冠動脈疾患家族歴があった。現在喫煙しているのは19.1%,44.9%は全く喫煙歴がなかった。
 大動脈狭窄症に対する脂質低下療法には確固たるエビデンスが存在しないためSEAS研究の結果は臨床的に大きなインパクトを与えるだろうとRossebe氏らは予想している。結果報告は2008年の予定。
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PL2
Obesity, glucose intolerance and CHD Risk
Quebec Heart Institute Jean-Pierre Despres

メタボリックシンドロームの基礎にある内臓脂肪

■腹部肥満と高トリグリセライド血症管理が重要
 MetSyn患者の多くで肥満が見られる。これまで肥満度の指標としてBMIが多用されてきたが,腹部肥満を指標とすべきだとDespres氏は主張する。これは内臓脂肪増加が,高インスリン血症,アポB蛋白含有リポ蛋白増加,さらにsmall dense LDL増加をもたらすことが明らかになっているためで,これら3要素は,互いに重複すると冠動脈疾患リスクを相乗的に増加させることは同氏らが行ったQuebec Cardiovascular研究でも明らかにされている。さらに内臓脂肪はIL-6やTNF-αなど炎症性サイトカインの分泌を高めるため,炎症と動脈硬化性疾患を結びつける「Missing Link」である可能性すらあるという。また脂肪細胞由来のサイトカインの一つ,アディポネクチンは,抗動脈硬化,抗糖尿病的に作用するが,内臓脂肪増加に従い分泌が低下することはよく知られている。
 また,同氏は高トリグリセリド血症管理の重要性についても言及した。ケベック市都市部の男性185例を調べたところ,ウエスト周りが90cm未満でTGが177mg/dL(2.0m mol/L)未満では,高インスリン血症,アポB上昇,small dense LDL増加の3つを認められたのは10%未満だったが,ウエスト周り90cm以上でTGが177mg/dL以上では80%以上に認められた。
 これらのことから同氏は,高インスリン血症が脳・心血管イベントを増加させるのは,高インスリン血症自体の作用ではなく,それがMetSynの存在を示唆するマーカーだからだと考えている。
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EASD/EAS
The metabolic syndrome as a predictor of cardiovascular diseases
University of Kuopio Hanna-Maaria Lakka

脳・心血管イベントの予測因子としてのメタボリックシンドローム

■MetSynの発症抑制に積極的な生活習慣改善が重要
 MetSynは多様な要素で構成されており,また定義が必ずしも統一されていないが,Lakka氏らの検討では「インスリン抵抗性に関する因子」が重要だという。具体的にはインスリンおよび糖代謝の軽度な異常と,軽度の高トリグリセライド・低HDLコレステロール血症,高血圧,肥満である。同氏らが,脳・心血管疾患と糖尿病を認めない中年男性を追跡したKuopio Ischemic Heart Disease Risk Factor(KIHD)研究において,MetSynに高インスリン血症か空腹時高血糖を要件とするWHO定義と,必須としない米国NCEP ATP III定義によるイベント予測を比較した結果,ATP III定義は,総死亡ならびに脳・心血管死亡の予測においてWHO定義に劣る傾向があった。
 また,糖尿病家族歴のある人がWHO定義によるMetSynを有すると,脳・心血管死亡リスクが1.81倍,有意に増加すること(Botnia研究),さらに2型糖尿病を発症しているMetSyn患者では非発症MetSyn患者に比べ,心筋梗塞の有意な増加が認められている(Bruneck研究)ことも報告された。Lakka氏はMetSyn患者において「2型糖尿病発症予防」も重要であるとする。
 また2型糖尿病予防に関してはDPS(Finish Diabetes Prevention Study)やDPP(Diabetes Prevention Program)研究により積極的生活習慣改善による耐糖能異常患者の2型糖尿病発症予防が示されているが,さらにDPP研究では,積極的生活習慣改善によるMetSyn発症抑制(3年間で41%発症抑制)がメトフォルミン(同17%)よりも強力であったことが報告された。以上のことからLakka氏は,MetSyn患者の早期発見・治療と予防が重要であると結論した。
 このほか同セッションでは,IDF (International Diabetes Federation)によるMetSyn定義コンセンサス会議(2004年)の報告,MetSynにおけるインスリン抵抗性の基礎には腹部肥満があるとするレビュー,2型糖尿病発症予知因子に関する研究などが報告された。
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