American Heart Association Scientific Sessions 2008


LDL-C正常でCRP上昇例に対するスタチンを用いた
積極的脂質低下療法で脳・心血管イベント減少:JUPITER試験
臨床試験にみるリスクマーカーの有用性
ENHANCE試験をどう読むか
LDL-C/HDL-C比は1次予防においても動脈硬化性イベントと関連
糖尿病患者の脂質管理はいまだ不十分
若年者と女性ではFraminghamリスクスコアによる評価に要注意
脂質低下そのものが脳卒中を減少させる:メタ回帰分析
NPC1L1遺伝子多型は動脈硬化危険因子である可能性
スタチンはfibroatheromaに富むプラークを安定化させる
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A randomized trial of rosuvastatin in the prevention of cardiovascular events among 17,802 apparently healthy men and women with elevated levels of C-Reactive protein (hsCRP): The JUPITER trial
P. Ridker氏, Brigham and Women's Hospital(米国)

LDL-C正常でCRP上昇例に対するスタチンを用いた
積極的脂質低下療法で脳・心血管イベント減少:JUPITER試験

■LDL−C平均値104mg/dLの1次予防患者が対象
 対象となったのは,脳・心血管イベント既往,また糖尿病を認めない50歳以上の男性と60歳以上の女性で,およそ9万例をスクリーニングした結果,「LDLコレステロール(LDL-C)<130mg/dL,かつ高感度C反応性タンパク(hsCRP)≧2mg/L」の17,802例が登録された。脂質低下薬服用例,190/100mmHg以上の高血圧例,炎症性疾患罹患例,肝障害・腎障害例は除外された。これら17,802例はロスバスタチン20mg/日群またはプラセボ群(それぞれ8,901例)に無作為化され,二重盲検法で追跡された。
 試験開始時の年齢66歳,LDL-C108mg/dL,HDLコレステロール(HDL-C)49mg/dL,トリグリセライド118mg/dL(いずれも中央値)であった。
 糖尿病例が除外されているため,空腹時血糖値94mg/dL,HbA1c5.7%,血圧134/80mmHg,BMI 28kg/m2(いずれも中央値)であった。メタボリックシンドロームは41.4%に認められた。
 試験開始1年後,ロスバスタチン群ではプラセボ群に比べLDL-Cが50%(47mg/dL),hsCRPは37%有意に低値(p<0.001)となっていた。HDL-Cは逆に,ロスバスタチン群で4%有意(p<0.001)に高かった。
 その結果,中央値1.9年間の追跡期間後,ロスバスタチン群では脳・心血管イベントのリスクがプラセボ群に比べ相対的に44%有意(p<0.00001)に低下していた。2年間に上記イベント1例の抑制に必要な治療数(NNT)は95例である。
 また心筋梗塞と脳卒中を個別に比較しても,ロスバスタチン群ではいずれも有意なリスクの減少(それぞれp<0.0002,p<0.002)が認められた。「hsCRP>2mg/dL」以外のリスクを有さない6,375例のみで検討しても,やはりロスバスタチン群では主要脳・心血管イベントは有意に減少(p=0.01)した。
 有害事象は両群間に有意差がなかったためRidker氏は「1次予防におけるhsCRPの扱いとスタチンの適応について,ガイドラインは見直しを検討すべきだ」と結論した。
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Satellite events Merck/Schering-Plough:
Evidence and inference: Examining surrogate markers in cardiovascular clinical trials

臨床試験にみるリスクマーカーの有用性

■LDL-Cが至適のマーカーだが,残存するリスクもある
 まずWeill Cornell Medical CollegeのA. Gotto氏は「脂質低下療法の効果判定マーカーとして,現状ではLDLコレステロール(LDL-C)が至適である」との説明を行った。スタチンを用いた14試験のメタ解析からは,LDL-Cが39mg/dL低下すれば冠動脈イベントが23%,全血管イベントも21%有意に減少(いずれもp<0.0001)することが明らかになっており,またRobinson氏らによるメタ回帰分析では,脂質低下の方法を問わず,LDL-C低下率と冠動脈疾患リスク減少率は回帰直線上に同様にプロットされた。現在では高リスク患者に対し「より積極的な」LDL-C低下治療を「より早期から」開始する有用性が確立しつつあり,「動脈硬化性イベント抑制作用を評価する代替マーカーとしてLDL-C低下に勝る指標はない」とGotto氏は結論した。
 University of MontrealのJ.C. Tardif氏は,画像診断について論じた。頸動脈内膜・中膜複合体厚(IMT)で得られるデータは,間違いなくリスク予知に有用ではあるが,治療効果の判定ツール(臨床イベントの代替マーカー)たるかはまだ確立していない。同様の指摘は血管内超音波法(IVUS)にも当てはまる。一例を挙げれば,高用量アトルバスタチンはプラバスタチンに比べ,冠動脈プラーク退縮作用が著明に強力であることがIVUSを用いたREVERSAL試験で示されたが,PROVE IT試験で確認された冠動脈イベント減少作用は,REVERSAL試験から期待されるほどではなかった。「治療効果を画像診断で評価した試験の結果は,その試験のデザイン・限界をよく見極め,他の試験の結果とつき合わせて解釈する必要がある」とTardif氏は注意を促した。
 Brigham and Women's HospitalのP. Ridker氏は,本学会で報告したJUPITER試験について解説した。JUPITER試験の詳細は別項の通りだが,Ridker氏はこの試験から得られた臨床家へのメッセージとして「脳・心血管イベント既往のない50歳以上の男女が,1)糖尿病を認める,2)LDL-Cが160mg/dLを超える,3)高感度C反応性タンパク(hsCRP)が2mg/Lを超える,のいずれかに相当したならば,スタチン治療を開始すべきである」と述べた。
 University of ChicagoのM. Davidson氏は,LDL-C目標値達成上の問題,およびLDL-C低下だけでは除去できないリスク(残存リスク)について触れた。冠動脈疾患が最大死因である米国では,LDL-C低下療法の必要性に対する認識は高い。にもかかわらず,スタチンの服用を中止する患者は少なくないのが実情である。代表的な例としては,自己判断でスタチン中止後に心筋梗塞を発症した元大統領B. Clinton氏が挙げられる。患者がスタチンの服用を中止する主たる理由は有害事象であると考えられ,服用者のおよそ33%が筋痛を,16%が脱力を経験しているとのデータが示された。またDavidson氏は,LDL-Cを薬物治療により67mg/dLまで低下させていたにもかかわらず,心筋梗塞で死亡したNBCのテレビキャスターT. Russert氏に言及し,「LDL-C低下は最も重要であるが,それだけで満足してはならない」と述べた。
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6158
Insights from the ezetimibe and simvastatin in hypercholesterolemia enhances atherosclerosis regression (ENHANCE) Trial
B. G. Brown氏,University of Washington(米国)

ENHANCE試験をどう読むか

■エゼチミブの有用性がスタチン前治療にマスクされている可能性
 ENHANCE試験は家族性高コレステロール血症患者の頸動脈肥厚に対する作用を,スタチン単独群とスタチン+エゼチミブ併用群で比較した無作為化二重盲検比較試験である。エゼチミブ併用群ではLDLコレステロール(LDL-C)が319mg/dLから140mg/dLまで低下したが,頸動脈内膜・中膜複合体厚(IMT)の進展抑制作用には,LDL-Cが194mg/dLまでしか低下しなかったスタチン単独群との比較において有意差は認められなかった。有意差がみられなかった一因としてBrown氏が指摘したのは「前治療」の存在である。ENHANCE試験では試験開始前から全例の81%と多くの患者がスタチンを服用していたため,「プラーク内の脂質」はすでに減少しており,更なる脂質低下療法によるプラークの退縮・安定化作用は検出しがたくなっているというのである。
 事実,脂質低下療法による頸動脈IMTの進展抑制・退縮作用を検討した臨床試験を比較すると,2001年に報告されたASAP試験では,シンバスタチン群でIMTは0.036mm進展したが,同用量を用いたENHANCE試験では0.0058mmの進展だけであった。同様に,ASAP試験ではIMTを0.031mm退縮させたアトルバスタチンも,2007年に報告されたRADIANCE-2研究では同用量ながらIMTは0.008mm進展している。
 臨床的にも,ENHANCE試験を1995年に報告されたWOSCOP研究と比較すると,対照群のLDL-Cはいずれも190mg/dL前後まで低下したが,脳・心血管イベント発生率はENHANCE試験では0.8%と,WOSCOP研究の3.1%に比べ低かった。Brown氏はこの結果を「試験前からのスタチン服用者が多かったENHANCE試験では,試験開始時には内皮機能障害が改善されている患者が多かったため」と解釈している。本試験を踏まえてBrown氏は「エゼチミブの有用性は,スタチン非服用者が相当数含まれると思われるIMPROVE-IT試験の結果を待ってから,判断されるべきである」と結論した。
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6282
Lowered LDL/HDL ratio with low-dose pravastatin associated with reduction of cardiovascular events in primary prevention: MEGA study post-hoc analysis
中村 治雄氏, 三越厚生事業団

LDL-C/HDL-C比は1次予防においても動脈硬化性イベントと関連

■HDL-C高値例でイベントと関連
 LDLコレステロール(LDL-C)/HDLコレステロール(HDL-C)比が冠動脈イベントと関連していることはHelsinki Heart Studyにおいて示されている。しかし同試験は低HDL-C血症例を対象としており,比較的HDL-Cが高値である日本人にも外挿できるかは明らかでない。そこで中村氏はMEGA studyのデータベースを用い,LDL-C/HDL-C比とイベント発生率の関係を検討した。対象は脳・心血管イベント既往のない日本人高コレステロール血症患者7,832例で,試験開始時の平均年齢は58歳,68%が女性,LDL-C平均値は156mg/dL,HDL-Cは58mg/dLであった。
 その結果,LDL-C/HDL-C比の上昇に伴い冠動脈イベントのリスクが増加する傾向(p<0.01)が認められた。この傾向は試験開始時,治療中(治療期間中の平均値),いずれのLDL-C/HDL-C比でも認められた。また,試験開始時LDL-C/HDL-C比は脳卒中とは有意な関連が認められなかったが,治療中LDL-C/HDL-C比の上昇は冠動脈イベントと同様,脳卒中リスクの増大をもたらした(p<0.01)。総死亡も,治療中LDL-C/HDL-C比の上昇に従い増加する傾向(p<0.01)が認められた。また,治療中の脂質パラメーターでは,非HDL-C/HDL-C比,総コレステロール/HDL-C比の上昇により,LDL-C/HDL-C比と同じく,冠動脈イベント,脳卒中,総死亡リスクが増大していた(いずれもp<0.01)。
 次に,HDL-C高値群においてもLDL-C/HDL-C比がイベントと関連しているか検討したところ,「治療中HDL-C≧60mg/dL」であった3,398例において,LDL-C/HDL-C比の上昇は脳・心血管イベント増加と有意に関連していた(p=0.04)。なお,治療中HDL-Cが60mg/dL未満の群では,このような傾向はみられなかった。
 以上の結果を踏まえ,「日本人の高コレステロール血症患者においても治療によるLDL-C/HDL-C比の低下が,冠動脈イベント,ならびに脳卒中減少に有用である」と中村氏は結論した。
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1244
Lipid goals among patients with diabetes or the metabolic syndrome: The Lipid Treatment Assessment Project (L-TAP) 2
J. W. Jukema氏, Leiden University(オランダ)

糖尿病患者の脂質管理はいまだ不十分

■9カ国およそ1万例のデータを解析
 今回解析対象となったのは,横断的研究L-TAP(Lipid Treatment Assessment Project)2に登録されている9,926例である。L-TAP2では,2006年9月から翌年4月にかけ米国,カナダ,韓国など世界9カ国において,脂質低下療法を受けている20歳以上の患者で血清脂質を測定した。
 まず糖尿病合併の有無で2分して血清脂質を比較すると,糖尿病合併例では非糖尿病合併例に比べLDLコレステロール(LDL-C)(91mg/dL vs. 104mg/dL),総コレステロール(175mg/dL vs. 188mg/dL)とも,有意(p<0.0001)に低値ではあった。しかし,糖尿病合併例で米国脂質管理ガイドラインNCEP ATP IIIのLDL-C目標値(100mg/dL未満)を達成できていたのは67%,これは非糖尿病合併例の目標値達成率(75%)に比べ有意(p<0.0001)に低かった。さらに,冠動脈疾患患者のみで比較すると,糖尿病合併例でLDL-C<70mg/dLを達成できていたのは34%のみであった。なお,糖尿病合併例の82%はスタチンを服用していた(非糖尿病合併例は79%)。
 次に,メタボリックシンドローム合併患者における脂質管理が検討された。メタボリックシンドローム基準には米国NCEP ATP IIIを用いた。その結果メタボリックシンドローム例では,同ガイドラインの定めるLDL-C目標値達成率は69%,HDLコレステロール(HDL-C)目標値達成率が46%,トリグリセライド(TG)目標値(150mg/dL未満)達成率は33%という数字であった。なお,保有するメタボリックシンドローム因子数増大に従い,LDL-C目標値達成率の有意な減少(p<0.0001)も認められた。HDL-C,TGも同様で,メタボリックシンドローム因子増加に伴い目標値に収まる割合が有意に低下(p<0.001)した。
 以上より,「糖尿病やメタボリックシンドロームを合併した脂質異常症患者の脂質管理はいまだ十分ではない」とJukema氏は結論した。
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1296
Short-term versus lifetime risk for cardiovascular events
D. M. Lloyd-Jones氏, Northwestern University(米国)

若年者と女性ではFraminghamリスクスコアによる評価に要注意

■10年間発生リスクは5%でも生涯発生リスクは50%近くになる例も
 Lloyd-Jones氏は,米国脂質管理ガイドラインNCEP ATP IIIが採用しているFraminghamリスクスコアの問題点をいくつか指摘し,なかでも最も強調したのは「若年者と女性に対しては有用ではない」という点である。
 例えば,45歳の男性が非喫煙者であれば,総コレステロールが240mg/dL,収縮期血圧が150mmHgであってもHDLコレステロール(HDL-C)が極端に低くない限り,今後10年間の冠動脈イベント発生リスクは5%である。女性であれば55歳であってもリスクはさらに低く評価される。「10年間の発生リスクが仮に5%であれば,100人中5人には100%の可能性で冠動脈イベントが発生することになるが,Framinghamリスクスコアでは,その5%のグループを探知できない」とLloyd-Jones氏はその問題点を指摘する。
 そこで同氏が提唱するのが「10年間発生リスク」に代わり「生涯発生リスク」を用いたリスク判定である。50歳時の「血圧」と「総コレステロール」を4段階に分け,それに「喫煙」「糖尿病」のリスクファクターを加味し,「至適」「非至適」「上昇」「危険因子×1」「危険因子×2」の5群に分けると,心血管イベントの生涯発生リスクが大きく異なることを同氏は報告している [Circulation 2006; 113: 791] 。45歳時で検討しても同様の結果が得られたという。
 このようなリスク評価を行うと,Framinghamリスクスコアと次のような差が生じる。例えば,男性45歳,総コレステロール:230mg/dL,HDL-C:40mg/dL,収縮期血圧:135mmHg(降圧薬非服用),喫煙習慣と糖尿病なしという例であれば,Framinghamリスクスコアでは「10年間の冠動脈イベント発生リスク:5%」と算出される。一方,生涯の冠動脈イベント発生リスクは42%,脳心血管イベント発生リスクは46%と算出される。
 以上の検討を踏まえて「生涯発生リスクを算出することにより,10年間発生リスクでは判別できない高リスク患者を特定できる」とLloyd-Jones氏は結論した。
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2632
Stroke protection is largely related to cholesterol-lowering in lipid-lowering intervention trials: A meta-analysis and meta-regression
R. De Caterina氏,‘G. d'Annunzio’ University(イタリア)

脂質低下そのものが脳卒中を減少させる:メタ回帰分析

■総コレステロール1%低下で脳卒中は0.9%減少
 今回解析対象となったのは,2007年1月までに論文化され,「脂質低下療法群」を有し,脳卒中発生率を評価した無作為化比較対照試験である。登録数100例以下,追跡期間6カ月未満,またクロスオーバー試験は除外されている。その結果,69試験,176,974例が解析対象となり,平均追跡期間3.5年間で,627,117例・年という規模になった。
 まず,脂質低下療法群における脳卒中発生相対リスクを求めると,対照群に比べ全脳卒中は有意に14%減少していた(相対リスク:0.86,95%信頼区間:0.81〜0.91,p<0.001)。致死性脳卒中についてはリスクの減少がみられなかったが(相対リスク:0.98,95%信頼区間:0.85〜1.13),非致死性脳卒中についてはリスクの減少がみられた(相対リスク:0.82,95%信頼区間:0.75〜0.90)。脂質低下療法群における全脳卒中の減少は,「リスクの高低」,「治療前コレステロール値の高低」にかかわらず認められたという。
 次に,メタ回帰分析を行い「コレステロール減少率」と「全脳卒中相対リスク(対数値)」の関係をみたところ,スタチンを用いた試験だけでなく,フィブラートやその他の脂質低下療法を検討した試験結果も,回帰直線で同様に示せることが明らかになった。その結果,総コレステロール8%の低下により,全脳卒中は8.5%の低下が予想され,コレステロール低下率が10%,20%,30%と増加するに従い,全脳卒中減少率も9.0%,15.1%,20.7%へと,ほぼ正比例の形で増大する計算となった。
 以上の解析結果から「脳卒中抑制においても,コレステロールは低いほど良いことが明らかになった」とDe Caterina氏は述べ,「脳卒中抑制において,スタチンによる『多面的作用』が奏効しているとは言いがたい」と結論した。
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1923
NPC1L1 genotype is related with cholesterol absorption from intestine
前田 朝美氏, 帝京大学

NPC1L1遺伝子多型は動脈硬化危険因子である可能性

■ハプロタイプによりコレステロール吸収に差
 エゼチミブが阻害するNPC1L1には6種類のハプロタイプがあり,ハプロタイプ2と呼ばれる「1735C-25342A-27677T」を持つ例では,エゼチミブによるLDLコレステロール(LDL-C)低下作用の減弱が報告されている。カナダ人を対象にした検討ではハプロタイプ2/2の頻度は0.366であった。そこで前田氏が健康な日本人142名の協力を得て,ハプロタイプ2/2の頻度を検討したところ,カナダ人と同等の0.350であった。ハプロタイプ2/X(2以外)の頻度も,日本人は0.454でカナダ人の0.505と差はみられなかった。ただし,カナダ人と異なり,日本人では「25342A/C」,「27677T/C」の頻度がいずれも0.03と極めて低く,ハプロタイプ2の出現を規定しているのは主として「1735C/G」の有無であった。
 次に,ハプロタイプ「2/2+2/X」と「X/X」例の間で脂質代謝の違いを検討したところ,「X/X」群(22例)ではコレステロール吸収マーカーであるカンペステロールの血中濃度が「2/2+2/X」群(88例)に比べ有意に増加(p=0.036)し,同じく吸収マーカーであるシトステロールも「X/X」群では増加傾向を示していた。
 先述の通り,日本人においてハプロタイプ2の出現頻度を主に決定しているのは「1735C>G」の多型なので,「1735C/C+C/G」と「1735/GG」の間で同様の比較を行った。その結果,「G/G」群(22例)では「C/C+C/G」群(91例)に比べ,「カンペステロール」,「カンペステロール+シトステロール」ともに血中濃度は有意(それぞれp=0.033,p=0.049)に高く,コレステロール吸収の亢進が示唆された。
 「日本における食生活の欧米化を考慮すると,NPC1L1の1735X/X型は動脈硬化性疾患危険因子の1つであるかもしれない」と前田氏は結論した。
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2542
Effect of fluvastatin on progression of coronary fibroatheroma evaluated by intravascular ultrasound virtual histology TM
那須 賢哉氏, 豊橋ハートセンター

スタチンはfibroatheromaに富むプラークを安定化させる

■安定狭心症患者をVH IVUSで評価
 対象となったのは安定狭心症の70例。脂質異常症例は全例フルバスタチン(60mg/日)群に割り付け,血清脂質正常例はフルバスタチン群または対照群に無作為化し,追跡開始時と12カ月後に,血管内超音波法(IVUS)によるプラークの超音波組織性状解析(VH)所見を比較した。フルバスタチン群(35例)と対照群(35例)の間に,年齢,性別や冠動脈疾患既往,喫煙や糖尿病合併率に有意差はみられなかった。
 12カ月後,フルバスタチン群のLDLコレステロール(LDL-C)は100.5mg/dLで,対照群の120.4mg/dLに比べ有意(p=0.008)に低かった。高感度C反応性タンパクも同様で,対照群の0.09mg/dLに比べ0.04mg/dLとフルバスタチン群で有意(p=0.001)に低値となっていた。
 その結果,対照群では進展が進んでいたプラーク内のfibro-fatty領域が,フルバスタチン群では逆に退縮していた(群間差:p<0.0001)。necrotic coreも同様(p=0.004),dense calcium領域の進展もフルバスタチン群で有意に抑制されていた(p=0.03)。一方,fibrous領域は両群間とも増加した結果,差はみられなかった。
 次に,fibroatheroma病変のみを対象に同様の検討を行った。fibroatheromaはプラークにおけるnecrotic core領域が20%を超え,かつ中膜とプラークが血管内径の40%を超える病変と定義し,線維性被膜の有無は問わなかった。
 その結果,フルバスタチン群ではfibro-fatty領域が対照群に比べ有意に退縮(p=0.005)し,またnecrotic coreならびにdense calciumだけでなくfibrous領域の進展も有意に抑制(それぞれp=0.006,p=0.01,p=0.009)された。さらに試験開始時には両群間に差のみられなかったリモデリング・インデックス(1.13)が,対照群では1.20へ増加したのに対しフルバスタチン群では1.14にとどまっていた(群間差:p=0.03)。
 以上の結果より「フルバスタチン投与1年でプラークは安定化したと考えられた」と那須氏は結論した。
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