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Markers of cholesterol absorption and synthesis in individuals without and with CHD events during treatment with pravastatin: Insights from the prospective study of pravastatin in the elderly at risk (PROSPER) trial
N.R. Matthan, Tufts University(米国)
スタチン治療下におけるコレステロール吸収増加は
予後増悪の一因子である可能性
■イベント発生群ではスタチンによるLDL-C低下に伴いコレステロール吸収が増加
PROSPERは,高齢者におけるスタチンの心血管イベント抑制効果を証明した大規模試験である。プラバスタチン群ではLDLコレステロール(LDL-C)が対照群に比べ34%低下し,心血管イベントも相対的に15%有意に減少した。しかし,プラバスタチン群でも408例に心血管イベントが生じていたのも事実である。
そこでMatthan氏は,プラバスタチン群において冠動脈疾患死または非致死的心筋梗塞を発生したイベント発生群223例,およびそれらと年齢,性別,試験開始時のリスクを合わせた対照群257例で症例・対照研究を行った。比較したのはコレステロール合成と吸収マーカーの推移である。合成マーカーとしてはデスモステロールとラソステロール,吸収マーカーにはカンペステロールとシトステロールを用いた。
試験開始時の総コレステロール,LDL-C,HDLコレステロール(HDL-C),トリグリセリドはイベント発生群,対照群間に差はなかった。検討の結果,両群とも合成マーカーは著明に低下し,吸収マーカーが上昇していたが,変化率に両群で差はみられなかった。ただし,イベント発生群でのみ,LDL-C低下に伴う吸収マーカーの上昇が認められた(LDL-Cとの相関係数はカンペステロール:−0.16,シトステロール:−0.19,p<0.01)。
以上の成績より,「冠動脈イベントを来す患者では,スタチン投与下でもコレステロール吸収増加によりスタチンによる脂質改善作用への代償が生じている」とMatthan氏は述べ,このような代償機転の有無が,スタチン治療によるイベント抑制作用に差をもたらしている可能性を指摘した。
1913
Ezetimibe effectively prevents atherosclerotic plaque formation as demonstrated by high field MRI
K. Graf, Deutsches Herzzentrum(ドイツ)
エゼチミブによるプラーク形成抑制を高磁場MRIで確認
■エゼチミブによる血管内腔面積の変化は大動脈基部,弓部とも認められた
本検討では,高脂肪食を負荷したアポE欠損マウス(n=10)をエゼチミブ群(5μg/kg/日)と対照群に分け(いずれもn=5),15カ月育成後,高磁場MRIによるプラーク所見と組織標本を比較した。プラークは大動脈基部と弓部で検討した。
その結果,エゼチミブ群では対照群に比べ,血管総面積に対する内腔面積の増加が,大動脈基部,弓部のいずれにおいても観察された。これらの結果を定量化し,組織標本で定量化した結果と比較したところ,両者はよく一致しており,これは弓部大動脈における検討でも同様であった。MRIによる評価と標本評価のばらつきをBland-Altman plotでも検討したが,極めて良好な相関が認められた。
そこで大動脈基部において「血管壁厚」,「血管壁面積」と「血管内腔/血管面積比」にエゼチミブが及ぼす影響をMRIで検討したところ,いずれも対照マウスに比べエゼチミブ群で有意に改善されていた。組織標本で比較しても同様の結果となった。
Graf氏は「高磁場MRIは薬物治療によるプラーク退縮を観察する大きな武器になり得る」と結論した。
Statin myopathy as a metabolic disorder of fat metabolism
P.S. Phillips, Scripps Mercy Hospital(米国)
脂質低下療法による筋障害発現の一般的機序と
スタチンに固有の機序
■脂質低下薬による筋障害に共通する機序あり
従来の生化学的研究は,脂質低下薬による筋障害例での脂質酸化の低下を示唆している。実際に,酸化障害を来している筋組織所見とスタチン筋障害の組織所見は非常に類似している。Phillips氏らが,スタチンによりクレアチニンの上昇を伴わず横紋筋融解を来した患者らより採取した120以上の筋生検サンプルを調べたところ,ミトコンドリアの機能不全,すなわちβ酸化の障害が認められたという。
この酸化障害の臨床的指標となるのが呼吸交換比(RER)である。スタチンによる筋障害を認めた例では対照に比べ,RERが有意に高値となっていたことが報告されている。
この機序を介する筋障害はあらゆる脂質低下薬で起こりうる。これまでの報告では,スタチンで筋障害を来した17例で検討するとフィブラート,ナイアシンやエゼチミブでも筋障害を来す例が多い。あるいはスタチンで筋障害の症状があった患者の95%は他の脂質低下薬にも不忍容であることなどが報告されている。
一方,スタチン固有の筋障害の機序としてスタチン惹起性のAtrogin-1過剰発現がある。スタチン以外の薬剤による筋痛では増加を認めないAtrogin-1が,スタチンにより障害を来した筋細胞では有意に増加していた。また,Atrogin-1をノックアウトすると,スタチンによる筋障害は認められなかった。
Phillips氏はこれらを示し,「基本的に脂質低下薬による筋障害は脂質酸化異常に基づくものであり,さらにスタチン固有の機序も示唆された」とまとめた。
529/B62
Long-term efficacy and safety profile of ezetimibe 10 mg in the treatment of patients with homozygous sitosterolemia: A multi-center, open-label, 2-year extension study
T. Musliner, Merck & Co., Inc.(米国)
エゼチミブはホモ接合体性シトステロール血症に対しても
長期間有効
■シトステロール血症21例を2年間追跡 本検討の対象となったのは,ホモ接合体性シトステロール血症(5mg/dL超)の21例。平均年齢は35.7歳と若く,13例が女性だった。以前より7例がスタチン,8例がレジンを服用していたが,これらは継続のままエゼチミブ10mg/日を2年間投与した。
その結果,試験開始時に20.9mg/dLだったシトステロール濃度は43.9%と著明かつ有意な低下を示し(95%信頼区間:35.6〜52.2),また同じく植物ステロールであるカンペステロールも50.8%有意に低下した(95%信頼区間:42.7〜58.8)。
エゼチミブ投与開始後のシトステロール濃度の推移をみると,1年後までには最大限の低下作用が得られ,その効果は2年間にわたり維持されていた。この推移はカンペステロールでも同様であった。
サブグループの比較では,エゼチミブによる低下作用は性差,レジンやスタチン併用,投与開始時のシトステロール濃度の高低などにも影響されず,幅広い効果が示された。
忍容性は良好で,薬剤関連有害事象による脱落は1例のみであった。
以上の成績についてMusliner氏は,「2年間のエゼチミブ服用は安全性と忍容性に優れ,また植物ステロール低下作用は1年間で最大化し,その後も維持された」と報告を結んだ。
2173/C184
Effect of high-dose atorvastatin on changes in renal function: A secondary analysis of the stroke prevention by aggressive reduction of cholesterol levels (SPARCL) trial
V.M. Campese, University of Southern California(米国)
高用量アトルバスタチンの腎機能への影響:SPARCL試験後解析
■試験開始時CKDのeGFRの悪化を抑制
SPARCL試験は,冠動脈疾患を認めない脳血管障害既往例においてアトルバスタチン80mg/日の脳血管障害再発抑制作用を検討した無作為化試験である。重度腎機能低下あるいはネフローゼ症候群の患者は除外されている。
SPARCLでは試験開始時から毎年1回,血中クレアチニン値と血糖値を測定した。そこで本検討では,MDRD式で求めた推定糸球体濾過率(eGFR)の推移を検討した。
その結果,アトルバスタチンは試験開始時の腎機能にかかわらず,改善作用を示すことが明らかになった。試験開始時から終了時にかけてのeGFRの変化をみると,腎機能「正常」,「慢性腎疾患(CKD)」いずれにおいてもアトルバスタチン群では対照群に比べ改善率が有意に高かった。なお本解析ではeGFR「60mL/分/1.73m2未満」をCKD,「60mL/分/1.73m2以上」を正常としており,腎機能データが揃っていた4,719例中,33.9%(1,600例)がCKDに相当していた。
試験開始時の糖代謝別の検討でも同様に,試験開始時「メタボリックシンドローム」,「糖尿病」,耐糖能「正常」の3群に分けてeGFRの変化を比較したところ,アトルバスタチンは対照に比べ「正常」と「メタボリックシンドローム」ではeGFRを有意に改善,「糖尿病」では悪化を有意に抑制していた。
安全性も「CKD」群と「正常」群で同様であった。
「後解析ながら,高用量アトルバスタチンには腎保護作用が示唆された」とCampese氏は結論していた。
823
Inhibition of cholesterol absorption with ezetimibe promotes macrophages to feces reverse cholesterol transport in mice
F. Briand, University of Pennsylvania(米国)
エゼチミブによるコレステロール逆転送系の活性化
■エゼチミブによるCETP活性増加がHDLによるコレステロール逆転送を
促進している可能性
本検討において,野生型マウスにエゼチミブを2週間投与後,標識したマクロファージ細胞株を腹腔内投与したところ,血中の標識濃度は対照マウスと同等であったが,糞中への標識排泄は有意(p<0.01)に121%増加していた。この成績により,マクロファージからのコレステロール引き抜きに対するエゼチミブの促進作用が確認された。
次に,この逆転送へのHDLの関与をみるため,2群のマウスにそれぞれ標識したHDLを投与し,48時間後の血中と糞中における濃度を検討したところ,エゼチミブ投与群と対照群間に差は認められなかった。小腸,肝臓における吸収も比較したが,同様に両群で差はみられなかった。
HDLに対するエゼチミブの直接作用は認められなかったため,次に野生型マウスにヒトコレステロール・エステル転送タンパク(CETP)を発現させ,標識マクロファージを投与したところ,血中の標識濃度はエゼチミブ群と対照群に差はみられなかったが,野生型マウスに比べ血中からのクリアランスが早まる傾向が認められた。さらに,糞中の標識遊離ステロールは,エゼチミブ群で対照群に比べ146%,有意(p<0.005)に増加していた。血中のCETPはエゼチミブ群と対照群で同等であったため,エゼチミブによりCETPの活性が上昇し,その結果,コレステロール逆転送が促進された可能性が示唆された。
2373
Diet plus pravastatin treatment reduces the risk of cardiovascular disease and total mortality in patients with metabolic syndrome: Sub-analysis from a large-scale primary prevention trial with pravastatin (MEGA study)
松島 照彦, 筑波記念病院
脂質低下療法は日本人メタボリックシンドロームにおける
心血管イベントと総死亡を有意に抑制:MEGA studyサブ解析
■MEGA Studyに含まれたメタボリックシンドローム2,636例で検討
松島氏らは日本人におけるメタボリックシンドロームと心血管イベントの関係を解析すべくMEGA Studyのデータを再解析した。メタボリックシンドロームの定義は米国脂質管理ガイドラインNCEP ATP IIIにならったが,MEGA Studyでは腹部周囲径を測定していないため「BMI≧25kg/m2」を「高腹部周囲径」の代替条件とした。
その結果,MEGA Study参加7,832例中2,636例(男性973例)がメタボリックシンドロームに該当した。
メタボリックシンドローム例のイベント発生リスクを非メタボリックシンドローム例と比べると,冠動脈疾患,脳卒中,心血管イベントのいずれも約2倍で,有意(p<0.05)に高頻度であった。リスク増加は男性よりも女性で著明であった。
またLDLコレステロール(LDL-C)156.9mg/dLの上下で2群に分け,上記イベント発生リスクを比較したところ,LDL-C値の高低を問わず,メタボリックシンドローム例では非メタボリックシンドローム例に比べリスク増加傾向を認めた。
このようにメタボリックシンドローム例におけるリスク増加はLDL-C値と相関しないにもかかわらず,プラバスタチン群では心血管イベントと総死亡は対照群に比べ有意に減少した。プラバスタチン群におけるこのイベント抑制作用は,非メタボリックシンドローム例よりもメタボリックシンドローム例でより著明であった。また,試験開始時LDL-C「156.9mg/dL以上」の群でイベント抑制作用が増強される傾向もみられた。
以上の結果から,「日本人においてメタボリックシンドロームは心血管リスクを増加させるが,食事療法+プラバスタチンによりリスクを減少させることは可能である」と松島氏は結論した。
Satellite symposium
Reaching lipid targets - Tougher goals for greater benefits
脂質目標の達成:積極的LDL-C低下療法の重要性
より良き転帰のための治療目標とは
■患者のリスクを過小評価せず,QOLを損なわない形で積極的LDL-C低下治療を
Rush University Medical CenterのM.H. Davidson氏(米国)は,LDLコレステロール(LDL-C)目標値達成のコツを示した。最重要点は「LDL-C低下を治療の第一目標とする」ことであるが,「LDL-C目標値達成のためにスタチンを2倍に増量しても,5〜7%しかLDL-Cが低下しない」ことが盲点となっている。さらに,最大用量のスタチンは有害事象発現を考慮するとリスクが大きくなるため,機序の異なるLDL-C低下薬の併用が望ましいとして,スタチンとの併用でLDL-C低下作用が最も優れている薬剤としてエゼチミブのデータを紹介した。
Vanderbilt University Medical CenterのS. Fazio氏(米国)は,いかなる場合にLDL-C以外の脂質代謝に介入すべきかについて論じた。米国糖尿病学会のガイドラインでは,糖尿病患者が混合型高脂血症を合併する場合,血糖コントロールに加え,「高用量スタチン」,「スタチン+フィブラート」,「スタチン+ナイアシン」を推奨している。しかし,ナイアシンは,HDLコレステロール(HDL-C)上昇作用はスタチンよりも大きいが顔面潮紅という有害事象があり,高尿酸血症を増悪させるおそれもある。一方,フィブラートはナイアシンより忍容性が良好で,単独でも有用であるとするエビデンスも多くあるが,それらのエビデンスを詳細に検討すると,明らかな有用性が認められているのは高トリグリセリド血症例に限られる。スタチンとナイアシン,フィブラート併用のイベント抑制作用は,現在進行中の臨床試験の結果を待つ必要があるとFazio氏は指摘した。
高コレステロール血症に対して,現状以上の積極治療が必要であると主張したのはHarvard Medical SchoolのP. Ganz氏(米国)である。スタチンの有用性を対照で比較したこれまでの臨床試験において,相対リスク減少率が25〜40%程度でしかない点を指摘し,スタチン服用にもかかわらずイベントを来した患者を救うには,さらにLDL-Cを低下させる以外にないと主張した。LDL-Cを70mg/dL未満まで低下させる臨床的有用性は明らかになりつつあり,あと確立が必要なのはそのレベルまでLDL-Cを低下させる方法であるとGanz氏は述べた。 Weill Cornell Medical CollegeのA.M. Gotto氏はリスクを有する患者の特定について論じた。最も誤解されやすいのはガイドラインにおける「低リスク」群である。これらの層は,あくまでも「高リスク」との対比で「低リスク」とされているのであり,リスクが増加していることに変わりはない。また,冠動脈イベントリスクはLDL-Cに限らず,低HDL-Cや肥満,C反応性タンパク(CRP)などに対する介入も今後検討される必要がある。いずれにせよ,冠動脈イベントのリスクは「低」から「高」へ連続しており,リスクのない患者群はない点を明記すべきであるとGotto氏は結んだ。
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