American Heart Association Scientific Sessions 2005 WILL Medical Congress Report


【コレステロール吸収阻害剤の新たなエビデンス】
【Late-Breaking Clinical Trials】
【脂質低下療法の新たな知見】
【スタチンの新たなエビデンス】


【コレステロール吸収阻害剤の新たなエビデンス】
コレステロール吸収阻害剤はアポE・eNOSダブルノックアウトマウスの動脈硬化進展を抑制
コレステロール吸収阻害剤とフィブラートの併用は有効かつ安全
コレステロール吸収阻害剤とスタチンの併用でLDL-C低下作用が増強
サテライトシンポジウム:さまざまな患者像における脂質管理を考える

【Late-Breaking Clinical Trials】
スタチンとEPA製剤の併用により日本人での冠動脈イベントを抑制:JELIS
2型糖尿病患者におけるフィブラート製剤の有用性を部分的に示唆:FIELD
心筋梗塞既往患者における積極的LDL-C低下療法は心血管イベントを抑制:IDEAL
日本人における冠動脈イベント1次予防でスタチン10〜20mg/日が著効:MEGA Study

【脂質低下療法の新たな知見】
ABCG8の遺伝子多型により生体内でのコレステロール合成・吸収の割合は異なる
NPC1L1の阻害は動脈硬化病変の進展抑制に寄与する
「LDL-C目標値 70mg/dL未満」を達成するためにはACS患者の86%でコレステロール低下療法が必要
心血管疾患を有する患者ではコレステロール吸収が亢進:Framingham Offspring Study

【スタチンの新たなエビデンス】
積極的LDL-C低下療法は脳卒中を減少させ,男女を問わず心血管イベントを抑制:TNTサブ解析
スタチンの「多面的作用」による心血管イベント抑制効果への寄与は認められず:メタ解析
この情報には一部、本邦未承認の情報が含まれております。


238
Ezetimibe Reduces Arteriosclerosis in Apolipoprotein E Knockout Mice Despite Endothelial Nitric Oxide Synthase Deficiency University of W
üzburg, Germany Rützel Sebastian氏

コレステロール吸収阻害剤はアポE・eNOSダブルノックアウトマウスの動脈硬化進展を抑制

■重度血管内皮障害例でエゼチミブが動脈硬化を抑制する可能性
 同氏らはまず,アポEノックアウト(ApoE-ko)マウスおよびアポE/eNOSダブルノックアウト(eNOS-dko)マウスに10週間コレステロール食を負荷し,動脈硬化形成を誘導した。その後,コレステロール負荷を継続しつつ両マウスをエゼチミブ投与群とコントロール群に分けて8週間観察し,血清脂質ならびに動脈硬化病変面積への影響を検討した。各群では雌雄別の検討も実施した。
 その結果,エゼチミブ投与により総コレステロール値はApoE-koマウス・eNOS-dkoマウスとも有意に低下し,両群間で有意な差は認められなかった。さらに,エゼチミブ投与により,VLDLおよびLDL分画の低下が認められ,この低下はApoE-koマウス・eNOS-dkoマウス間で有意差を認めなかった。
 eNOS-dkoマウスでは,ApoE-ko マウスに比べ病変面積の有意な増大を認め,エゼチミブはこれらを抑制した。エゼチミブは雌性マウスの病変面積を,ApoE-koマウスで23%(p=0.002),eNOS-dkoマウスで27%(p=0.002)低下させた。一方,雄性マウスではエゼチミブはそれぞれApoE-koマウスで47%(p=0.003),eNOS-dkoマウスで34%(p=0.004)抑制した。
 興味深いことに,雄性マウスにおけるエゼチミブの動脈硬化抑制作用は,eNOS-dkoマウスよりもApoE-koマウスで有意(p=0.003)に強力であった。報告者らはこの結果より,「雄性マウスでは雌性マウスに比べ,eNOSを介した抗動脈硬化抑制作用がより寄与している可能性がある」と指摘した。
 本モデルでは動脈硬化病変形成後にエゼチミブ投与が開始されたと考えられるため,Rützel氏らは,「重度の血管内皮障害を有する患者の動脈硬化進展抑制において,エゼチミブは有用であろう」と結論した。
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1086
Safety and Efficacy of Long-Term Coadministration of Fenofibrate and Ezetimibe in Patients with Mixed Hyperlipidemia
National Clinical Research, U. S. A. James M McKenney氏

コレステロール吸収阻害剤とフィブラートの併用は有効かつ安全

■エゼチミブとフェノフィブラートの併用は各種脂質パラメーターを改善
 本試験の対象は,冠動脈疾患や冠動脈疾患同等リスク(糖尿病を除く)を認めず,10年間の冠動脈イベントリスクが20%超で,LDL-C130〜220mg/dL(糖尿病合併の場合100〜180mg/dL),TG200〜500mg/dLの576例である。
 先行する12週間のパイロット試験に引き続き,全対象患者をフェノフィブラート160mg/日+エゼチミブ10mg/日(エゼチミブ併用群:340例),フェノフィブラート160mg/日(フェノフィブラート単独群:236例)の2群に割り付け, 48週間,二重盲検法で追跡した。
 合計60週間の追跡後,血清脂質は次のような改善を示した。まずLDL-Cはフェノフィブラート単独群で9%の低下であったのに対し,エゼチミブ併用群では22%の低下が認められた(p<0.001)。非HDLコレステロール(HDL-C)も同様に,フェノフィブラート群では19%の低下に留まったが,エゼチミブ併用群では32%低下した(p<0.001)。
 さらに,TGおよびHDL-Cの改善作用もエゼチミブの併用によって増加した。エゼチミブ併用群のTG低下率は46%で,フェノフィブラート単独群の42%より有意(p=0.002)に大きく,HDL-C増加率も21%とフェノフィブラート単独群の18%を有意(p=0.02)に上回った。
 さらにエゼチミブ併用群では,高感度C反応性蛋白(hs-CRP)の低下率も25%と,フェノフィブラート群の21%を上回った。
 安全性に関する結果では,いずれの項目についてもフェノフィブラート単独群とエゼチミブ併用群の間に有意な差はみられなかった。副作用とみなされた有害事象はフェノフィブラート単独群の16.1%に対しエゼチミブ併用群では13.8%であり,筋障害は両群とも1例も認められなかった。
 以上の結果を踏まえ,「エゼチミブとフェノフィブラート併用療法は相補に効果を発揮し,混合型高脂血症に有用であることが確認された」とMcKenney氏らは結論した。

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3788
Further Reduction of Low-Density Lipoprotein Cholesterol and C-Reactive Protein with the Addition of Ezetimibe to Maximum-Dose Rosuvastatin in Patients with Severe Hypercholesterolemia
Metabolic & Atherosclerosis Research Center, U. S. A. Evan A Stein氏

コレステロール吸収阻害剤とスタチンの併用でLDL-C低下作用が増強

■エゼチミブ併用12週間後にLDL-C目標100mg/dLを達成
 本試験の対象となったのは,ロスバスタチン40mg/日を中心とするコレステロール低下治療を1年以上継続しながら,LDL-Cが100mg/dL未満まで低下しなかった109例である。LDL-Cはロスバスタチン投与前291mg/dL,エゼチミブ投与開始時に141mg/dLであった。
 これら109例にオープンラベルでエゼチミブ10mg/日を追加投与したところ,LDL-Cはさらに29%低下し,12週間後には59%(63/107)の症例でLDL-C値は100mg/dLまで低下した。ロスバスタチン投与前と比較した場合,LDL-C低下率は65%で有意な低下を示した。
 CRPはエゼチミブ追加後に24%有意に低下し,ロスバスタチン投与前と比較した場合低下率は54%となった。
 本試験には米国の施設とノルウェーの施設が参加したが,エゼチミブ追加による脂質改善作用とCRP減少作用に両国間で差はみられなかった。
 エゼチミブはロスバスタチンへの追加により,41mg/dL,29%のさらなるLDL-C低下をもたらしたが,筋障害や臨床検査値の異常(クレアチニンキナーゼの上昇)や,肝機能の異常はみられず,忍容性に問題は認められなかった。
 以上の結果を踏まえ,「スタチン単独でLDL-Cの目標値を達成できない患者では,ロスバスタチン40mg/日とエゼチミブ10mg/日の併用が考慮されるべきである」とStein氏らは結論した。
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Symposium
Missed Opportunities in Lipid Management --An Expert Panel Exchange on Case Studies and Clinical Approaches

サテライトシンポジウム:さまざまな患者像における脂質管理を考える

David Geffen School of Medicine at UCLA, U. S. A. Benjamin J Ansell氏
■Framinghamリスクスコアのみへの依存による予後予測の危険性
 Framinghamリスクスコアが採用している古典的な危険因子に加え,現在ではCRP,ホモシステイン,LP(a),冠動脈石灰化,メタボリックシンドロームなど,多くの新たな危険因子が示されている。したがってFraminghamリスクスコアによる10年冠動脈イベントリスクが低くとも,これら新たな危険因子を有すると思われる症例では,それらの危険因子に関するエビデンスに基づいて,改めてリスクを算出する必要がある。
 具体的にAnsell氏が提示したのは,Framinghamによる10年間冠動脈イベントリスク2%および冠動脈石灰化スコア110という女性症例である。石灰化スコアを考慮して,患者の10年間冠動脈イベントリスクを再計算すると5〜10%となり,積極的な脂質改善治療が必要であることが明らかになった。

Loyola University, U. S. A. Alan S Brown氏
■LDL-C値上昇を伴わない心筋梗塞後患者の脂質管理
 Loyola University(米国)のAlan S. Brown氏は,喫煙歴あり,急性心筋梗塞後,総コレステロール (TC)180mg/dL,LDLコレステロール(LDL-C) 99mg/dL,HDLコレステロール(HDL-C)30mg/dL,トリグリセリド(TG)255mg/dL,空腹時血糖値110mg/dL,肥満を有する59歳男性について,その脂質管理をどのようにすればよいかを検討した。
 Brown氏は「LDL-Cは治療前の値にかかわらず低下させれば心血管イベントは減少する」というHPSのエビデンス,および「高リスク例ではLDL-C 70mg/dL未満までの低下に伴い,冠動脈イベントは減少する」ことを示したPROVE-ITのエビデンスを基礎に,HDL-Cが低く,TGと空腹時血糖値が高く,さらに肥満を有するこの男性は,冠動脈疾患にメタボリックシンドロームを合併した高リスク症例と考えられるとし,LDL-Cは70mg/dL未満まで低下させるべきであるとした。
 Brown氏は,LDL-Cを70mg/dL未満まで低下させるべき高リスクの冠動脈疾患患者とは,「急性冠症候群」,「糖尿病」,「メタボリックシンドローム」,「高血圧や喫煙などコントロールされていない危険因子」を併せ持つ患者であると定義した。またHPSの結果から,「LDL-C値にかかわらず他のリスクや糖尿病あるいは動脈硬化を認める患者の全例に,脂質低下薬を投与すべきである」と結論した。

Baylor College of Medicine, U. S. A. Christie M Ballantyne氏
■スタチン単独療法ではなく他剤との併用療法の有用性
 積極的なLDL-C低下療法の有用性は明らかだが,現実には目標値に到達していないのが問題である。
 スタチンへの追加薬としては従来よりレジンが用いられてきた。両薬剤の併用は確かにLDL-C低下とHDL-C増加には有用であるが,スタチンのTG低下作用が相殺されるという問題点があった。一方,新規コレステロール吸収阻害剤であるエゼチミブは,スタチンとの併用によりLDL-C低下作用およびHDL-C増加作用を増強するだけでなく,TG低下作用も増強することがVYVA試験によって明らかにされた。
 また同試験では,エゼチミブ10mg/日+シンバスタチンによりLDL-C目標値70mg/dL未満の達成率が,シンバスタチンと同用量のアトルバスタチン単独に比べて概ね2倍以上となることも明らかになっている。
 以上の成績より,積極的なLDL-C低下療法において,スタチン+エゼチミブの併用が有用であるとChristie M Ballantyne氏は結論した。

University of Texas, U.S.A.  Margo A Denke氏
■2型糖尿病を合併した高脂血症患者の脂質管理
 同氏の提示した症例は,急性膵炎の既往を有する52歳女性で,未治療時TG値が1,700〜2,000mg/dLというきわめて重篤な高TG血症合併例である。まず,急性期治療としては厳格な食事指導,インスリンを用いた血糖管理,ホルモン補充療法を試みる。
 急性期を乗り切った後は,身体活動の増加と体重減少を基礎に,薬物治療を併用する。薬物治療の候補としては,「スタチン+エゼチミブ」,「フィブラート」,「ナイアシン」,「魚油」,「メトホルミン」と「グリタゾン系薬剤」があるが,Margo A Denke氏の基本的な治療戦略として,「まず体重減少ありき」で血糖管理とともにLDL-C,TG低下効果が望める薬剤が有用であると述べた。
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Plenary Sessions 03: Late-Breaking Clinical Trials II
Effects of Eicosapentaenoic Acid (EPA) on Major Cardiovascular Events in Hypercholesterolemic Patients: the Japan EPA Lipid Intervention Study (JELIS)
神戸大学 横山光宏氏

スタチンとEPA製剤の併用により日本人での冠動脈イベントを抑制:JELIS

■イベントが有意に減少する一方,有害事象は有意に増加
 JELISでは,高脂血症患者(総コレステロール [TC] 平均:275mg/dL,LDLコレステロール [LDL-C] 平均:約180mg/dL)18,645例全例にスタチン(プラバスタチン10mg/dLまたはシンバスタチン5mg/日)を投与した上で,EPA製剤(1,800mg/日)併用群(9,326例)と対照群(9,319例)に無作為化し,PROBE法で追跡・評価した。追跡期間は最長で5年間とした。
 この結果,EPA製剤併用群では1次評価項目である「主要冠動脈イベント」の相対リスクが19%,有意(p=0.011)に減少した。主要冠動脈イベントの内訳は「心臓突然死」,「致死性・非致死性心筋梗塞」「不安定狭心症」と「冠血行再建術施行」であるが,このうち有意な減少が認められたのは不安定狭心症のみであった(相対リスク-24%,p=0.014)。
 1次予防(14,981例)・2次予防(3,664例)別に検討すると,1次予防ではEPA製剤併用群で主要冠動脈イベントの発生が18%減少したものの,有意差には至らなかった(p=0.132)。一方,2次予防では19%の有意(p=0.048)な減少が認められた。
 EPA製剤によるこれらイベントの抑制効果は,脂質代謝改善作用に依存しない独立した作用機序による可能性が示唆された。すなわち,試験期間中,両群間で血清脂質の変動に差は認められず,同等のLDL-C低下率ながらEPA製剤併用群で主要冠動脈イベントの発生率が低かったからである。
 有害事象では「関節痛,腰痛,筋痛」,「消化器症状」と「発疹,かゆみ,皮疹,湿疹」がEPA製剤併用群で有意に多かった。
 「スタチンへのEPA製剤の追加により,主として脂質代謝改善とは異なる機序を介し,冠動脈イベント抑制を図り得る」と横山氏は結論した。
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Plenary Sessions 03: Late-Breaking Clinical Trials II
The Effect of Fenofibrate on Major Coronary Heart Disease (CHD) Events in People With Type 2 Diabetes: the Fenofibrate Intervention and Event Lowering in Diabetes (FIELD) Study
University of Sydney, Australia Anthony Keech氏

2型糖尿病患者におけるフィブラート製剤の有用性を部分的に示唆:FIELD

■フィブラート製剤は非致死性心筋梗塞・冠血管再建術を有意に抑制
 FIELDでは,「総コレステロール(TC)が116〜251mg/dL」かつ,「TC/HDLコレステロール(HDL-C)比4以上」または「トリグリセリド88.5mg/dL超」を満たす2型糖尿病患者9,795例を対象とし,フェノフィブラート(200mg/日)群(4,895例)およびプラセボ群(4,900例)に無作為に割り付け,二重盲検法で追跡した。
 対象患者の平均年齢は62歳,糖尿病罹患期間は5年(中央値),心血管イベントの既往は22%に認められた。
 約5年間にわたる観察の結果,1次評価項目である「冠動脈イベント(冠動脈疾患死+非致死性心筋梗塞)」は,フェノフィブラート群で11%の減少を認めたが,プラセボとの差は有意ではなかった(p=0.16)。また,2次評価項目である心血管イベントでは,フェノフィブラート群で11%の有意(p=0.035)な減少が認められたが,これは主に非致死性心筋梗塞(相対リスク-24%,p=0.010)と冠血行再建術施行(相対リスク-21%,p=0.003)の減少によるものであった。
 安全性に関する成績では,非心血管死は両群で同等であり,また発癌率や肝機能障害,筋障害,腎障害の発現も同等であった。
 本試験では試験期間中のスタチン処方がコントロールされていなかったため,プラセボ群でスタチン開始例が有意に多く,その結果,フェノフィブラート群における有用性が相殺された可能性もある。スタチン服用で補正した結果では,1次評価項目の冠動脈イベントは,フェノフィブラート群で19%有意(p=0.01)に減少した。今後,さらなる解析が期待される。
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Plenary Sessions 07: Late-Breaking Clinical Trials III
The Incremental Decrease in Clinical Endpoints through Aggressive Lipid Lowering (IDEAL) Trial
Ulleval University Hospital, Norway Terje R Pedersen氏

心筋梗塞既往患者における積極的LDL-C低下療法は心血管イベントを抑制:IDEAL

■安定した冠動脈疾患既往患者でもLDL-Cは低いほうがよい
 IDEALでは,平均LDL-C値122mg/dLの心筋梗塞既往患者8,888例を,シンバスタチン20〜40mg/dL群(4,449例)とアトルバスタチン80mg/日群(4,439例)に無作為に割り付け,約5年間,PROBE法で追跡・評価した。
 血清脂質の変化は,平均LDL-C値がシンバスタチン群で104mg/dL,アトルバスタチン群で81mg/dLまで低下した。
 にもかかわらず,1次評価項目の「主要冠動脈イベント(冠動脈疾患死,非致死性心筋梗塞,蘇生できた心停止)はアトルバスタチン群において減少傾向(11%のリスク低下)を認めるのみで,有意差には至らなかった(p=0.07)。しかし内訳を見ると,「非致死性心筋梗塞」はアトルバスタチン群で相対リスクが17%有意に低下し(p=0.02),「冠血行再建術施行」もアトルバスタチン群で23%の有意(p<0.0001)な低下が認められた。主要冠動脈イベントに「脳卒中」を加えて比較した場合にも,アトルバスタチン群では13%の有意(p=0.02)なリスク低下が認められた。
 総死亡,心血管死,非心血管死のいずれもアトルバスタチン群で減少傾向を示し,非心血管死のなかでは,「癌死」と「自殺・事故死」がアトルバスタチン群で減少傾向を認めた。
 重篤な有害事象による脱落もシンバスタチン群0.9%,アトルバスタチン群1.1%で同等であった。また,肝機能検査値異常はアトルバスタチン群で有意に高かったものの,筋障害,横紋筋融解症の発現はいずれもアトルバスチン群で低い傾向を認めた。
 IDEALの対象となった,安定した冠動脈疾患既往患者においても「LDL-Cは低いほうがよい」とPedersen氏は結論した。
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Plenary Sessions 11: Late-Breaking Clinical Trials IV
Management of Elevated Cholesterol in the Primary Prevention Group of Adult Japanese (MEGA) Study
三越厚生事業団 中村治雄氏

日本人における冠動脈イベント1次予防でスタチン10〜20mg/日が著効:MEGA Study

■低リスクの日本人患者でもLDL-C低下により1次予防効果が得られる
 MEGA Studyはわが国における冠動脈イベント1次予防試験である。明らかな冠動脈疾患の既往・所見を認めず,総コレステロール(TC)が220〜270mg/dLの男性(40〜70歳)と女性(閉経後〜70歳),計7,832例を「食事療法+プラセボ」(プラセボ群:3,966例)と「食事療法+プラバスタチン10〜20mg/日」(プラバスタチン群:3,866例)に無作為に割り付け,PROBE法で追跡・評価した。平均追跡期間は平均5.3年であった。対象患者の平均年齢は58歳,68%が女性で,42%に高血圧,21%に糖尿病の合併が認められた。
 試験開始時の血清脂質は,両群ともTC平均値243mg/dL,LDLコレステロール(LDL-C)平均値157mg/dL,HDLコレステロール(HDL-C)値58mg/dL,トリグリセリド(TG)中央値127mg/dLであった。TCとLDL-Cの値は欧米の試験とさほど違いはないが,HDL-Cは高く,TGはかなり低値である。
 追跡期間中,プラバスタチン群での血清脂質の変動は,TCは11.5%,LDL-Cは18.0%,TGは3.1%低下し,HDL-Cは5.8%増加した。LDL-Cの低下率は,英国においてプラバスタチンの1次予防効果を検討した大規模試験WOSCOPS(26%)の半分以下であった。
 1次評価項目である「冠動脈イベント」(致死性・非致死性心筋梗塞,狭心症,心臓突然死,血行再建術施行)は,プラバスタチン群においてプラセボ群に比べ33%有意(p=0.01)に減少した。性別,年齢などで分けたサブグループ毎の解析でも,プラバスタチン群で冠動脈イベントが増加傾向を示す集団はなかった。さらに「致死性・非致死性心筋梗塞」のみで比較しても,プラバスタチン群では48%の有意(p=0.03)な減少が認められた.同様に「冠動脈疾患+脳梗塞」で動脈硬化性疾患の発生率を比較すると,プラバスタチン群で30%有意(p=0.005)に減少した。また,癌の発生率を含め有害事象および臨床検査値異常は両群で同等であった。
 これらの結果を踏まえ,「HDL-Cが高く,冠動脈イベントリスクが低い患者の1次予防には,さほど強力なコレステロール低下療法でなくとも,イベント抑制は十分可能である」と中村氏は結論した。
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1217
ATP-Binding Cassette Transporter G8 M429V Polymorphism as a Novel Genetic Marker of Higher Cholesterol Absorption in Hypercholesterolemic Japanese Subjects
金沢大学 三輪健二氏

ABCG8の遺伝子多型により生体内でのコレステロール合成・吸収の割合は異なる

■日本人の高コレステロール血症患者の8%がコレステロール吸収が亢進したMV型である可能性
 三輪氏らは原発性高コレステロール血症患者100例を対象に,ABCG5およびABCG8の遺伝子多型,ならびにそれに伴う生体内でのコレステロール吸収・合成のバランスを検討した。遺伝子解析により,同氏らはこれまでに報告されている多型(1810C/G [Q604E], 161G/A [C54Y], 1199C/A [T400K], 1895C/T [A632V] )に加えて,ABCG5の859T/C [C287R],ABCG8の1285A/G [M429V]という新たな多型を認めた。
 このうちABCG8のM429V多型では,100例中8例が相当したMV型を認める患者において,コレステロール吸収が亢進していると考えられた。MV型では一般的なMM型に比べコレステロール吸収の指標となるシトステロール値が有意に高く(2.6μg/mL vs 3.7μg/mL),また総コレステロール値に占めるシトステロールの割合も有意に高い(1.0μg/mg vs 1.5μg/mg)ためである。
 一方,総コレステロール,LDLコレステール,HDLコレステールやトリグリセリド値は,MM型とMV型の間で差はみられなかった。
 また,上記の遺伝子多型より6通りのハプロタイプが得られるが,1810C,161G,1199C,1285Gの組み合わせにおいてコレステロール吸収が最も亢進しており,シトステロール値,コレステール中シトステロール比率のいずれも,他のハプロタイプよりも有意に高かった。
 「ABCG8 M429V多型は,コレステロール吸収の増加と相関しており,この多形は日本人の原発性高コレステロール血症の8%に存在すると推定される」と三輪氏は結論した。個々の患者の遺伝子多型により適切なコレステロール低下療法が異なるか否かは今後の検討課題だという。
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1306
Deficiency of Niemann-Pick C1 Like 1 (NPC1L1) Prevents Atherosclerosis in Apo E Knockout Mice
Schering- Plough Research Institute, U. S. A. Harry R Davis Jr.氏

NPC1L1の阻害は動脈硬化病変の進展抑制に寄与する

■NPC1L1を阻害するエゼチミブも動脈硬化病変を同様に抑制
 Davis Jr.氏らはアポEノックアウト(ApoE-ko)マウスとアポEならびにNPC1L1の双方をノックアウトさせたダブルノックアウト(dko)マウスを作製し,通常食を6か月間負荷した。動脈硬化病変の進展はそれぞれApoE-koマウスでは32.9%,dkoマウスでは0.03%であり,dkoマウスで99%の抑制効果が認められた。胸部大動脈においてもdkoマウスでは病変が完全に抑制されていた。
 血清脂質を比較すると,dkoマウスではApoE-koマウスに比べ,カイロミクロンレムナント/VLDL,またLDL分画に著明な減少を認め,またHDL分画では増加が認められた。
 次に,同様のモデルを雌性マウスで作製し,通常食またはコレステロール食を6か月負荷した。いずれの食事負荷の場合にもApoE-koマウスでは大動脈洞と腕頭動脈に著明な動脈硬化病変を認めたが,dkoマウスでは抑制され,コレステロール食負荷時には両部位において97%抑制されていた。
 血清脂質を比較すると,dkoマウスではカイロミクロンレムナント/VLDL分画,LDL分画で減少が認められた。
 NPC1L1の阻害作用を有するエゼチミブを用いても同様の結果が得られた。ApoE-ko雄性マウスにコレステロール食とともにエゼチミブを6か月間投与したところ,大動脈洞における動脈硬化病変面積は無投与群に比べ78%,腕頭動脈では88%抑制された。dkoマウスにおける抑制率は,それぞれ96%と95%であった。
 その際の血清脂質の比較では,NPC1L1ノックアウトマウスと同様に,カイロミクロンレムナント/VLDL分画,LDL分画で減少が認められた。
 なお,通常食負荷でも同様の結果は得られた。
 今回の検討で,NPC1L1のノックアウトによる動脈硬化病変の抑制は,通常食およびコレステロール食のいずれを負荷した場合にも示された。通常食の場合には胆汁性コレステロールの吸収抑制を介し,またコレステロール食負荷時は,食事由来を併せたコレステロールの吸収阻害が動脈硬化病変の進展抑制に寄与したのであろうとDavis Jr.氏は考察し,「エゼチミブによるNPC1L1阻害は,臨床的に動脈硬化の進展抑制をもたらすと考えられる」と結論した。
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1599
Implication of the New LDL Goals in Dyslipidemia Management in Acute Coronary Syndrome Patients
Virginia Commonwealth University Medical Center, U. S. A. Michael C Kontos氏

「LDL-C目標値 70mg/dL未満」を達成するためにはACS患者の86%でコレステロール低下療法が必要

■LDL-C低下率50%を超す強力なコレステロール低下療法が求められる
 Kontos氏らは1998年1月から2002年12月までに心筋梗塞の疑いで搬送され,搬送後24時間以内の脂質検査値が得られたACS患者,連続1,349例のLDL-C値を調べた。LDL-C値をFriewaldの計算式で求めた患者では,トリグリセリド値400mg/dL超の患者は除外されている。
 その結果,1,349例の平均年齢は63歳,男性59%,LDL-C平均値は111mg/dLとなった。このうちLDL-C値が100mg/dL未満であった患者は全体の43%,70mg/dL未満は15%であった。
 目標値を達成するために必要とされるLDL-C低下率について,LDL-C目標値を「100mg/dL未満」とした場合と「70mg/dL未満」とした場合で比較した。目標値を「100mg/dL未満」とした場合,全体の2.5%の患者が目標達成のために「50%を超えるLDL-C低下率」を必要としたのに対し,「70mg/dLm未満」を目標値とした場合には23%(9.2倍)の患者が「50%を超えるLDL-C低下率」を必要とした。
 同様に,「40〜49%のLDL-C低下率」が必要となる患者の割合も,目標値「100mg/dL未満」とした場合には8.7%だが,「70mg/dL未満」を目標値とすると17%となった。
 「70mg/dL未満」をLDL-C目標値とするならば,ACS患者の86%がコレステロール低下療法を要する計算となる。「スタチン単剤では達成が困難と考えられる「50%を超えるLDL-C低下率」を必要とする患者の数は,LDL-C目標値が70mg/dLに引き下がれば9.2倍に増加する」とKontos氏らは結論し,ACS患者に対するより強力なLDL-C低下療法の重要性を強調した。
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3782
Increased Cholesterol Absorption and Decreased Cholesterol Synthesis Characterize Framingham Offspring Study Participants with Coronary Heart Disease
Tufts University, U. S. A. Nirupa R Matthan

心血管疾患を有する患者ではコレステロール吸収が亢進:Framingham Offspring Study

■コレステロール吸収マーカーの増加は心血管疾患の増加と有意に相関
 コレステロールは,吸収,合成,排出のバランスなどさまざまな調整機構によってホメオスターシスが維持され,その過剰蓄積が回避されているが,調整機構のいずれかが失調するとそのバランスが崩れて疾患がもたらされる。一方,心血管疾患を有する高リスク例において,コレステロールのホメオスターシスに関する知見は少ない。
 Matthan氏らはFramingham Offspring Studyのコホートより,心血管疾患(冠動脈疾患・心筋梗塞・脳卒中の既往,あるいは頸動脈50%以上の狭窄)を有する症例122例(症候群)と,年齢,性別,BMI,血圧および喫煙状況をマッチさせた対照301例(対照群)の間で,コレステロール合成と吸収の割合を検討した。
 その結果,症候群では男女とも,単位量当たりのコレステロールに含まれるカンペステロールおよびβシトステロール(コレステロール吸収マーカー)値が対照群に比べて有意に高く,逆に合成マーカーであるラソステロール値は有意に低かった。吸収に対する合成の割合(「ラソステロール/カンペステロール比」,「ラソステロール/βシトステロール比」)も男女ともに症例群では対照群に比べ有意に低かった。
 さらに,年齢,性別,BMI,血圧,LDL-C,HDL-C,トリグリセリド,喫煙,糖尿病および降圧薬服用状態で補正後の検討では,「ラソステロール」(0.41 [0.27 -0.62])および「ラソステロール/カンペステロール比」(0.18 [0.10 - 0.34]),「ラソステロール/βシトステロール比」(0.22 [0.12 - 0.40])が増加すると心血管疾患は有意に減少し,逆に,カンペステロール(2.99 [1.95 - 4.59]),βシトステロール(2.10 [1.49 - 2.96])が増加すると心血管疾患が有意に増加していることが明らかになった(カッコ内はオッズ比と95%信頼区間)。
 以上の成績を踏まえ,Matthan氏らは「心血管疾患を有する患者では,コレステロール吸収が亢進し,合成は抑制されている」とし「血清脂質値よりもコレステロールの合成・吸収・バランスが心血管イベントの予測因子となり得る」と結論した。
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2019
Effects of Intensive Lipid Lowering with Atorvastatin on Cerebrovascular Events in Patients with Stable Coronary Disease: A Treating to New Targets (TNT) Substudy
San Francisco General Hospital, U. S. A. David D Waters氏

3791
Effect of 80 mg Versus 10 mg of Atorvastatin in Women and Men With Stable Coronary Heart Disease
Emory University, U.S.A. Nanette K Wenger氏

積極的LDL-C低下療法は脳卒中を減少させ,男女を問わず心血管イベントを抑制:TNTサブ解析

■「治療開始3か月後のLDL-C値」は脳血管障害の予測因子
 TNT試験では「致死性または非致死性の脳卒中」は1次評価項目の1つであった。そこで今回,高用量群と低用量群間における脳卒中抑制効果を比較したところ,「致死性・非致死性脳卒中」の発生率はアトルバスタチン10mg/日群の3.1%に比べ80mg/日群では2.3%であり,25%有意(p=0.021)な低下が認められた。一過性脳虚血発作を加えた「脳血管障害」のリスクで比較しても同様に,80mg/日群で23%のリスク低下が認められた(5.0% vs 3.9%,p=0.007)。
 さらに脳出血を含めた脳血管障害の病型別比較においても,80mg/日群で発生増加の傾向を認めたイベントはなかった。
 多変量解析により,脳血管障害の予測因子について検討したところ,脳血管障害既往や糖尿病,高血圧,心不全,高齢とならんで「治療開始3か月後のLDL-C値」が相当し,LDL-C 1mg/dLの低下により脳卒中リスクは0.6%低下するとの結果であった。
 一方,Emory University(米国)のNanette K Wenger氏らは,積極的LDL-C低下療法が性別を問わず有用であることを報告している。TNTでは男女が事前に層別化されていたため,性別の検討が可能であった。LDL-Cおよびトリグリセリドの低下率は男女を問わずアトルバスタチン80mg/日群で大きかった。
 その結果,1次評価項目の主要心血管イベント(冠動脈疾患死,非致死性心筋梗塞 [インターベンションが原因となったものを除く] ,致死性・非致死性脳卒中)は,男女とも80mg/日群において有意に減少し,男性で21%(p=0.001),女性で27%(p=0.0049)のリスク低下が認められた。
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3784
Do Statins Have Clinically Important“Pleiotropic” Effects?
University of Iowa, U. S. A. Jennifer G Robinson氏

スタチンの「多面的作用」による心血管イベント抑制効果への寄与は認められず:メタ解析

■LDL-C低下から予測される以上のリスク低下は認められない
 Robinson氏らが行ったメタ解析に組み込まれた臨床試験は,プラセボを対照とした無作為盲検試験のうち,観察期間3年以上で,LDL-C低下群を含み,非致死性心筋梗塞,冠動脈疾患死,または致死性・非致死性脳梗塞を1次または2次評価項目とするものである。
 その結果,スタチンを用いた10試験,食事療法の5試験,レジン製剤の3試験,外科手術の1試験から81,859例が対象となった。
 解析結果から,スタチン服用の有無にかかわらず,LDL-Cが低下すれば冠動脈イベントが減少することが明らかになった。5年間にわたる非致死性心筋梗塞・冠動脈疾患死のリスク低下率とLDL-C低下率は正の相関を示した(傾き=1)。70歳以上(平均73歳)を対象としたPROSPER試験を除いてスタチンを服用した試験とそれ以外の試験において,いずれの相対リスク低下率も,上記相関を示す回帰直線の95%信頼区間内に収まっていた。
 また,スタチンを用いた試験のみで,LDL-C低下率と冠動脈イベントおよび脳梗塞のリスク低下率の相関を検討したところ,回帰直線はスタチン投与試験を含む全体から導かれるものと有意に異なることはなかった。
 「LDL-C低下率から予測される以上の心血管イベントリスク低下がスタチンで認められたとは言えず,スタチンの多面的作用がLDL-C低下によるイベント抑制にさらなる効果を与えるとのエビデンスは得られなかった」とRobinson氏らは結論した。
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