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エゼチミブの使用上の注意:糖尿病合併の患者さんにおいては,空腹時血糖の上昇が報告されており,慎重投与となっております。詳細は製品添付文書をご覧下さい。 |
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この情報には一部,本邦未承認の情報が含まれます。また,記載されている薬剤の使用にあたっては,製品添付文書をご参照ください。 |
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1479-P
Ezetimibe, a cholesterol absorption inhibitor, reverses hepatic insulin resistance via a pathway involving bile acid, SHP and SREBP-1c in mice fed a high-fat diet
寺内康夫氏,横浜市立大学
エゼチミブはモデル動物において脂肪肝を改善し,
肝インスリン抵抗性を解除する
■TG密度に有意差なしも,肝重量がエゼチミブで減少
C57BL/6マウスを通常食群と高脂肪食群に分け10週間負荷後,各群をさらにエゼチミブ投与群と対照群に分けて,2週間後,検討を加えた。
その結果,エゼチミブによりLDLコレステロール(LDL-C)が有意に低下したのは高脂肪食群においてのみであった(p<0.05)。通常食群,高脂肪食群を問わず,エゼチミブは体重と脂肪重量に有意な影響を与えなかったが,通常食群と比較して高値であった高脂肪食群の肝重量を,有意に減少させた(p<0.01)。ただし肝トリグリセライド(TG)密度には,高脂肪食群においても,エゼチミブによる有意な影響は認められなかった。一方,高脂肪食群で上昇していた血中GPTは,エゼチミブにより有意に低下していた(p<0.01)。
糖代謝への影響では,空腹時血糖値は通常食群,高脂肪食群を問わず,エゼチミブ群と対照群に有意な差は認められなかった。一方,高脂肪食エゼチミブ群において,糖負荷後の血糖値は高脂肪食対照群と同等ながら,インスリン濃度は有意に低かった(p<0.05)ことから,エゼチミブによるインスリン抵抗性への影響を,hyperinsulinemic-euglycemic clamp法を用いて高脂肪食群で検討した。その結果,血中インスリン消失率(Rd:末梢インスリン抵抗性の指標)は対照群とエゼチミブ群の間に有意差はみられなかったが,肝糖産生率(HGP)はエゼチミブ群で有意に抑制されていた(p<0.05)。
遺伝子発現に及ぼす影響を検討すると,高脂肪食群肝細胞において,エゼチミブによるG6PaseとSREBP1cの発現抑制およびSREBP2,small heterodimer partner(SHP)の発現増加(いずれもp<0.05)が観察された。また高脂肪食群ではエゼチミブによる肝臓内胆汁酸濃度の有意な増加が認められた(p<0.05)。
以上により寺内氏は,エゼチミブによる脂肪肝改善作用の機序を,「肝臓内胆汁酸の増加がSHP発現を増加させ,下流のSREBP1cが抑制された結果,肝におけるTG合成が減少した結果ではないか」と考察した。[検定方法については記載なし]
646-P
Attainment of single and dual treatment levels for LDL-C and non-HDL-C, apoB or hs-CRP in patients with metabolic syndrome: Ezetimibe/simvastatin versus atorvastatin
C. M. Ballantyne氏,Baylor College of Medicine(米国)
メタボリックシンドロームの脂質代謝異常に対する
アトルバスタチン単独とエゼチミブ+シンバスタチン併用の比較
■「LDL-C<70mg/dL」を目標値とすると差はさらに開く
本解析の対象は,メタボリックシンドロームを有する高コレステロール血症患者1,143例である。いずれも動脈硬化性疾患を有する(動脈硬化群,334例),あるいは動脈硬化性疾患は認めないが,中等度〜高度の動脈硬化リスクを有する(中・高リスク群,809例)患者である。
動脈硬化群,中・高リスク群(334例/809例)をそれぞれ,アトルバスタチン10mg/日群(68例/161例),20mg/日群(61例/168例),40mg/日群(67例/161例),エゼチミブ10mg/日+シンバスタチン20mg/日群(73例/156例),エゼチミブ10mg/日+シンバスタチン40mg/日群(65例/163例)に無作為化し,6週間,二重盲検法で追跡した。
試験開始時の中・高リスク群(809例)の平均年齢は58歳,LDLコレステロール(LDL-C)139.7mg/dL,非HDLコレステロール(HDL-C)179.2mg/dLで,58.7%が糖尿病を合併していた。一方,動脈硬化群(334例)の平均年齢は62歳,LDL-C135.8mg/dL,非HDL-177.3mg/dLであった。
6週後,中・高リスク群におけるLDL-C<100mg/dL達成率を比較すると,アトルバスタチン10mg/日群,20mg/日群とも80%に満たなかったのに対し,エゼチミブ+シンバスタチン20mg/日群では80%を超えていた。またエゼチミブ+シンバスタチン40mg/日群の達成率はおよそ90%で,非HDL-Cでも同様のパターンがみられた。
次に動脈硬化群におけるLDL-C<70mg/dL達成率をみると,アトルバスタチン10mg/日,20mg/日群ではいずれも40%,40mg/日群でも50%弱にとどまったが,エゼチミブ+シンバスタチン20mg/日群では70%弱,エゼチミブ+シンバスタチン40mg/日群では80%近い達成率が観察された。非HDL-Cも同様であった。
以上の結果を踏まえ「カーディオ・メタボリックリスクを有する患者に,エゼチミブ+スタチン併用は有用である可能性が高い」とBallantyne氏は結んだ。
669-P
Ezetimibe added to atorvastatin compared with titration of atorvastatin in patients at high-risk of coronary heart disease with diabetes mellitus or metabolic syndrome
S. Conard氏,University of Texas Southwestern Medical School(米国)
高リスク群ではメタボリックシンドローム・糖尿病の
有無を問わず脂質代謝改善にエゼチミブ追加が有用
■アトルバスタチン80mg/日と同40mg/日+エゼチミブ併用を比較
対象は,米国脂質管理ガイドラインNCEP ATP IIIにおいて高リスク(冠動脈イベント10年以内発生リスク>20%)ないし冠動脈疾患(同等リスク)を有する579例である。アトルバスタチン40mg/日+エゼチミブ10mg/日併用群(288例)とアトルバスタチン80mg/日単独群(291例)に無作為化し,6週間,二重盲検法で追跡した。両群とも2型糖尿病・メタボリックシンドロームいずれもなし,メタボリックシンドローム単独(2型糖尿病なし),2型糖尿病(±メタボリックシンドローム)の3群に事前に層別化されていた。試験開始時のLDLコレステロール(LDL-C)平均値は,いずれもなし群(127例)で90.6mg/dL,メタボリックシンドローム単独群(135例)で89.9mg/dL,2型糖尿病群(294例)で88.2mg/dLであった。
6週間後のLDL-C低下率は,アトルバスタチン80mg/日単独群がメタボリックシンドローム・糖尿病合併状況のいずれにおいても10〜15%であったのに対し,エゼチミブ併用群では25%を超えていた。非HDLコレステロール(HDL-C)の変化率を比較しても同様であった。
またLDL-C<70mg/dL達成率を比較すると,いずれもなし群ではアトルバスタチン80mg/日単独群が35%弱であったのに対しエゼチミブ併用群は約70%,メタボリックシンドローム単独群ではアトルバスタチン単独群で25%弱,エゼチミブ併用群80%,2型糖尿病群ではアトルバスタチン単独群35%弱でエゼチミブ併用群70%超となっていた。
一方,安全性に関しては,薬剤の有害事象による服薬中止が,2型糖尿病群において,アトルバスタチン単独群で2例,エゼチミブ併用群で1例に認められたのみであった。
以上の結果より「アトルバスタチンを倍量に増やすのであれば,エゼチミブを併用したほうが有用である」とConard氏は結論した。
エゼチミブの使用上の注意:糖尿病合併の患者さんにおいては,空腹時血糖の上昇が報告されており,慎重投与となっております。詳細は製品添付文書をご覧下さい。
671-P
Ezetimibe/simvastatin versus atorvastatin in metabolic syndrome patients with hypercholesterolemia: the VYMET Study
J. G. Robinson氏,University of Iowa(米国)
メタボリックシンドロームではリスクの高低を問わず,
アトルバスタチン単独よりもエゼチミブ+シンバスタチン併用で
脂質代謝はより改善
■メタボリックシンドローム合併高コレステロール血症例をリスクの高低で検討
対象となったのは,メタボリックシンドロームを合併する高コレステロール血症患者1,083例で,いずれも冠動脈疾患に相当する高リスク(10年以内冠動脈イベント発生リスク>20%)ないし中等度リスク(10年以内冠動脈イベント発生リスク10〜20%)を有する患者である。これら1,083例を,アトルバスタチン単独(10mg/日,20mg/日,40mg/日)群またはエゼチミブ10mg/日+シンバスタチン(20mg/日,40mg/日)群のいずれかに無作為化し,6週間,二重盲検法で追跡した。冠動脈疾患(相当リスク)患者のLDLコレステロール(LDL-C)目標値は70mg/dL未満,中等度リスク患者では100mg/dL未満とした。これらの患者群は,リスク別に事前に層別化されていた。
試験開始時のLDL-C平均値は138.3mg/dL,非HDLコレステロール(HDL-C)平均値は178.4mg/dLであった。
6週間後,LDL-C低下率はアトルバスタチン10mg/日群の36.5%,20mg/日群の39.4%に対し,エゼチミブ+シンバスタチン20mg/日群は49.6%と有意(いずれもp<0.001,ANOVA)に高値であった。同様にアトルバスタチン40mg/日群のLDL-C低下率46.0%に比べ,エゼチミブ+シンバスタチン40mg/日群は53.9%と有意(p<0.001,ANOVA)に高値であった。非HDL-C低下率も同様に,アトルバスタチン単独群に比べエゼチミブ併用群で有意な改善が認められた(p<0.001,ANOVA)。
また,高リスク群におけるLDL-C<70mg/dL達成率は,エゼチミブ+シンバスタチン20mg/日群で64.8%と,アトルバスタチン10mg/日群の39.1%,20mg/日群39.0%のいずれよりも有意(p<0.001,ロジスティック回帰分析)に高値であった。同様にエゼチミブ+シンバスタチン40mg/日群の達成率は78.7%と,アトルバスタチン40mg/日群の46.0%よりも有意(p<0.001,ロジスティック回帰分析)に高値であった。有害事象発現に有意な差はみられなかった。
以上を踏まえ,「メタボリックシンドロームを伴う高コレステロール血症患者において,エゼチミブ+シンバスタチン併用による脂質低下療法は有用である」とRobinson氏は結論した。
920-P
Combination therapy of ezetimibe and statin rather than ezetimibe monotherapy reduces urinary albumin excretion rate in moderate-to-high risk subjects
津田真一氏,金沢医科大学
エゼチミブ併用は脂質代謝改善とは異なる機序で
腎機能を改善する可能性
■3カ月間でアルブミン尿改善度に有意差
対象は,3カ月間の生活習慣改善にもかかわらず薬物治療の適応となった,脂質異常症57例。すでにスタチンを服用していた16例にはエゼチミブ10mg/日を追加(併用群),脂質低下薬を服用していなかった41例にはエゼチミブ10mg/日を単剤投与(単独群)した。
追跡開始時の背景因子は,平均年齢62歳,肥満47%,糖尿病21%,メタボリックシンドローム28%で,併用群と単独群の間に有意差はみられなかった。血清脂質の平均値は,LDLコレステロール(LDL-C)155mg/dL,HDLコレステロール(HDL-C)54mg/dL,トリグリセライド(TG)158mg/dLで,いずれも両群間に有意差はなかった。
服用開始3カ月後,両群ともLDL-Cは有意に低下,HDL-Cは有意に増加し(それぞれp<0.001,p<0.05,paired t検定),群間に差はみられなかった。またTGはいずれの群でも,有意な低下は認められなかった。
一方,腎機能の指標は,血清クレアチニン(Cr)値,推算糸球体濾過率(GFR)の変化では両群間に有意差はみられなかったが,尿中アルブミン/Cr比で評価した尿中アルブミン排泄は,単独群では低下傾向にとどまったのに対し,併用群では有意な低下を認めた(19.6mg/gCr→9.8mg/gCr,p=0.001,paired t検定)。なお,追跡開始時の尿中アルブミン/Cr比に群間で有意差はなかった。
以上の結果から「スタチンに対するエゼチミブ併用は,脂質代謝改善だけでなく,腎機能をも改善する可能性がある。エゼチミブによる腎保護作用は,脂質代謝改善作用以外の機序を介している可能性が高い」と津田氏は結論した。
503-P
Effects of rosuvastatin and colestimide on metabolic parameters, adipokines and oxidative stress in type 2 diabetic patients complicated by hyperlipidemia
竹林晃三氏,獨協医科大学越谷病院
コレスチミドはスタチンに比べ,
腎障害抑制作用が強力である可能性
■ロスバスタチンとコレスチミドで比較 脂質異常症を伴う2型糖尿病,連続39例を,ロスバスタチン2.5mg/日群(19例)とコレスチミド3.0g/日群(20例)に無作為化し,12週間追跡した。年齢,糖尿病罹患期間,BMI,糖・脂質代謝に群間で有意差はみられなかった。インスリン使用,経口血糖低下薬の使用にも両群間に有意差はなかった。
投与前と投与開始12週後で比較すると,LDLコレステロールは両群とも有意に低下した(それぞれp<0.0001,p=0.0118)。
一方,脂質代謝以外に対する作用としては,HbA1cはコレスチミド群でのみ有意(p<0.0001)に低下(ロスバスタチン群,p=0.4471),腎障害マーカーの1つである尿中MCP-1濃度もコレスチミド群では有意(p=0.0276)に低下したが,ロスバスタチン群では逆に有意(p=0.0429)な増加がみられた。酸化ストレスマーカーの8-iso-PGF2αも有意(p=0.0258)な低下を認めたのはコレスチミド群のみであり,ロスバスタチン群では増加傾向を認めた。
以上の結果より「スタチンとコレスチミドでは糖尿病合併脂質異常症患者に対する臓器保護作用が異なる。したがって糖尿病性合併症抑制の観点からは,併用が勧められる」と竹林氏は結論した。[検定方法については記載なし]
729-P
Statins improve vascular endothelial function in hypercholesterolemic patients with type2 diabetes mellitus
平間記子氏,獨協医科大学
内皮機能保護の作用と機序でスタチン間に差異
■FMDと酸化ストレスマーカーを検討
対象となったのは,糖尿病を合併する高コレステロール血症患者30例である。15例ずつ,脂溶性のフルバスタチン30mg/日群と水溶性のロスバスタチン2.5mg/日群に割り付け,3カ月間投与を継続した。
投与前後のLDLコレステロール(LDL-C)の変化では,フルバスタチン群で152mg/dLから120mg/dLへの低下であったのに対し,ロスバスタチン群では153mg/dLから92mg/dLまで低下し,群間差は有意であった(p<0.05)。
このようにLDL-C低下作用に差がありながらも,血管内皮機能の改善作用の検討のため,上腕動脈における血流依存性血管拡張反応(FMD)を投与前後で比較したところ,フルバスタチン群,ロスバスタチン群で同等の改善がみられ,両群間に有意差はなかった。
酸化ストレスマーカーである尿中イソプロスタン濃度を両群で比較したところ,フルバスタチン群でのみ有意(p<0.05)な減少が認められた。またフルバスタチン群では,尿中イソプロスタン減少率が大きいほど,FMD改善率が高くなる有意(p=0.0333)な相関が認められた。このことからフルバスタチンによるFMD改善の一部は,抗酸化作用を介していることが推測された。
以上の結果を踏まえて「糖尿病患者において,フルバスタチンは直接的な血管内皮機能保護作用を有する可能性がある」と平間氏は結論した。[検定方法については記載なし]
1056-P
Two years follow-up of lifestyle intervention for Japanese subject with pre-metabolic syndrome (Tabaruzaka study)
山城武司氏,熊本大学
メタボリックシンドロームに対する生活習慣改善指導の
有用性は限定的
■強化指導でメタボリックシンドローム構成因子の数は減少
本研究の対象は,熊本県植木市に住み,農協による健康診断を受診した30歳から69歳までの2,986例中,メタボリックシンドローム,またはメタボリックシンドローム予備群とされた143例である。標準指導群(53例),強化指導群(51例),指導のない対照群(39例)に無作為化された。
標準指導ではメタボリックシンドロームと循環器疾患に関する説明,ならびに食事と運動に関する指導を含む講義を行った。講義は2週間に1回,4カ月間に計7回行われた。一方,強化指導では標準指導終了後,さらに6カ月間,水中歩行や有酸素運動の実地指導を行った。本研究は強化指導終了後2年間追跡した結果である(標準指導群は指導終了後2年と6カ月)。
BMI,収縮期血圧(SBP),HDLコレステロール(HDL-C),空腹時血糖値(FPG),HbA1cは,標準,強化いずれの群でも指導終了時には試験開始前に比べて有意に改善された(いずれもp<0.05,paired t検定)。しかしトリグリセライド(TG)および拡張期血圧(DBP)は,強化指導群でのみ改善が認められた。また,試験終了時,対照群と比較したメタボリックシンドローム構成因子保有数は,両指導群とも著明かつ有意に少なかった(p<0.05,ANOVA)。
なお,強化指導終了時(標準指導終了6カ月後)のデータでは,経口糖負荷後の血糖値とインスリン濃度の増加が両指導群とも試験前に比べ有意に低下していた。(いずれもp<0.05,paired t検定)
以上を踏まえ,「生活習慣改善指導はメタボリックシンドロームの抑制に有用だが,さらに効果的な手法を探る必要がある」と山城氏は結論した。
2128-PO
Atherosclerotic cardiovascular disease in patients with metabolic syndrome
L. Diaconu氏,Victor Babes University of Medicine and Pharmacy(ルーマニア)
メタボリックシンドロームにおける動脈硬化促進性の根源は何か
■メタボリックシンドローム242例をHOMA-IR四分位数で分けて検討
今回の検討に用いられたのは,20歳以上のメタボリックシンドロームを有する242例とメタボリックシンドロームのない対照212例である。メタボリックシンドロームの定義はIDF(国際糖尿病連合)に従った。
まず,動脈硬化性疾患の有症率をメタボリックシンドローム群と対照群間で比較したところ,メタボリックシンドローム群の虚血性心疾患有症率は13.2%で,対照群の3倍,脳卒中有症率は5.4%で,対照群の4倍であった。
次にメタボリックシンドローム群内で検討したところ,インスリン抵抗性が強くなるほど,虚血性心疾患,脳卒中の有症率は増加,これをHOMA-IRの四分位数でみると,最低群(3.9以下)から最高群(6.3以上)に向かい虚血性心疾患の有症率は順に,4.9%,8.2%,16.7%,23.3%と有意な増加傾向が認められた(p<0.001,ANOVA)。同様に脳卒中有症率も,1.6%,3.3%,6.7%,10.0%と増加する有意(p<0.001,ANOVA)な傾向が認められた。
HOMA-IRの増加は,各種危険因子の悪化とも相関していた。年齢,腹囲径,血中レプチン濃度,血中TNF-α濃度,血中IL-6濃度はいずれも,HOMA-IRと正相関し,血中アディポネクチン濃度は逆相関していた。
以上の結果より,「メタボリックシンドロームがある場合,TNF-αやIL-6,レプチンなどの炎症性サイトカイン,またアディポネクチンのような抗炎症性サイトカインの分泌変化により,インスリン抵抗性や動脈硬化性疾患が惹起されるのではないか」とDiaconu氏は考察した。
2376-PO
Association of liver fat and carotid intima media thickness is mediated by C-reactive protein in men with the metabolic syndrome and/or uncomplicated type2 diabetes
M. H. A. Muskiet氏(オランダ)
肝脂肪,CRPと動脈硬化生成の関係が示唆される
■肝脂肪とIMTの相関はCRP補正で消失
対象となったのは,血管合併症を認めない2型糖尿病群(16例)またはメタボリックシンドローム群(21例),ならびにこれら37例と年齢を揃えた健康対照群で,全例男性であった。
プロトン核磁気共鳴分光法を用いて肝脂肪量を測定し,またエコーを用いて頸動脈内膜・中膜複合体厚(IMT)を測定した。
肝脂肪量を3群の中央値で比較した場合,糖尿病群17.8%,メタボリックシンドローム群9.2%,健康対照群5.6%であった(傾向p<0.001)。次にメタボリックシンドローム構成因子数別に肝脂肪量を比較すると,構成因子保有数3以上の群が10.8%,2が9.6%,1が6.2%,なしが3.1%であった(傾向p=0.005)。
次に肝脂肪量とIMTの関係を調べたところ,有意な(p=0.039)正の相関(r=0.253)が認められ,また肝脂肪量と血中C反応性タンパク(CRP)濃度の間にも有意な(p<0.001)正の相関(r=0.425)がみられたが,肝脂肪量とIMTの相関は,CRPで補正すると消失した。IMTはCRP濃度との相関もみられ,この相関は年齢,BMI,腹囲径,血圧やHbA1c,空腹時血糖値,あるいはトリグリセライド濃度で補正後も消失しなかった。
以上の結果より,「肝脂肪量はIMTと正の相関を示し,この相関には,肝臓で産生されるCRPが関与しているものと思われる」とMuskiet氏は結論した。[検定方法については記載なし]
666-P
Evaluation of adiponectin as a potential component of the criteria for the metabolic syndrome
N. A. Abdella氏,Kuwait University(クウェート)
メタボリックシンドローム検出における
血中アディポネクチン濃度の意義
■ROC曲線をTG,HDL-Cと比較
解析対象となったのは,2型糖尿病の家族歴を有するものの血糖値が正常である423例(家族歴群)と,糖尿病家族歴を持たない健康な53例(対照群)で,アディポネクチン濃度がメタボリックシンドロームのマーカーになり得るか否かを検討した。
その結果,まず,家族歴群,対照群を問わずアディポネクチン濃度は,HOMA-IR,腹囲径とそれぞれ負の相関を示し,HDLコレステロール(HDL-C)値と正の相関を示した。さらにメタボリックシンドローム構成因子(IDF基準)の保有数が増えると,アディポネクチン濃度は低下した。
次にアディポネクチン濃度によるメタボリックシンドローム判定の可能性を探るべくROC曲線を描いたところ,7.5μg/mLをカットオフ値とすると,感度90%,特異度70%でメタボリックシンドロームを検出できることが明らかになった。単一の検査値でメタボリックシンドローム検出を試みる場合,トリグリセライド(TG)をマーカーとすると感度42%,特異度95%,HDL-Cでもそれぞれ80%,54%であった。またアディポネクチン濃度を用いた場合のROC曲線AUCは0.859で,HDL-Cの0.745,TGの0.823よりも高値であった。
以上の結果を踏まえ,「メタボリックシンドローム検出に血中アディポネクチン濃度測定は有用である」とAbdella氏は結論した。
1210-P
Multifactorial intervention to improve modifiable risk factors in a real-world setting
J. M. Gamble 氏,University of Alberta(カナダ)
Steno-2は実践できる可能性大
■HbA1cだけでなくTC,TG,血圧に目標値を設定
2型糖尿病に対する積極的な多面的介入による短期・長期の有用性を示したのは大規模試験Steno-2である。そこで実臨床において,Steno-2積極治療群の目標値がどれほど達成されているか,その実態を調査した。
解析対象は,高血圧ないしアルブミン尿をともなう17歳以上の糖尿病435例である。カナダ,ならびにアラバマ州北部の診療所において,2004年1月から2007年6月までに記録されたデータから抽出した。
初診時の背景因子は,平均年齢が62歳,46%が女性で,33%に心血管疾患の既往が認められた。糖尿病の罹患期間は平均11年,92%が2型糖尿病であった。
全例,最低1年間は追跡されているため,治療開始時と1年後の各種リスクファクター目標値達成率を調べた。目標値は原則としてSteno-2試験積極治療群に従うが,HbA1cのみ2008年カナダガイドラインに従い7.0%未満を目標値とした。
その結果,総コレステロール値<175mg/dL,トリグリセライド値<150mg/dL,収縮期血圧値<130mmHg,拡張期血圧値<80mmHgの達成率は1年後,いずれも有意に増加していた(それぞれp<0.001,p=0.01,p=0.002,p=0.03,χ2検定)。一方,HbA1c≦7.0%の達成率だけは,増加傾向(p=0.11,χ2検定)にとどまった。
以上の結果を踏まえてGamble氏は,「臨床的に有意なリスク管理は実臨床において決して不可能ではない」としながらも,目標値達成率の改善が最も大きかったのは総コレステロール値であったことから,「多くの努力がコレステロール低下に向けられているのかもしれない」と考察した。
709-P
Non-HDL-cholesterol is a simple and useful predictor of cardiovascular complications in Japanese patients with type2 diabetes. The Japan Diabetes Complications Study (JDCS)
曽根博仁氏,筑波大学
非HDL-Cは糖尿病患者のイベント予知因子:JDCS
■日本の2型糖尿病2,000例余を追跡
日本全国レベルでの2型糖尿病追跡研究であるJapan Diabetes Complicaitons Study(JDCS)は,1996年時点ですでに2型糖尿病と診断されていた40〜70歳の男女で,HbA1cが6.5%を超えていた2,033例を追跡している。
今回は8年間の追跡期間中に発生した脳・心血管イベントと,追跡開始時の各種脂質代謝マーカーの関係について検討が加えられた。
その結果,単変量解析では脳・心血管イベントのハザード比が,それぞれ10mg/dL上昇毎にLDLコレステロール(LDL-C)で1.07(95%信頼区間:1.02-1.12),HDLコレステロール(HDL-C)で0.86(0.78-0.95),トリグリセライド(TG)で1.00(1.00-1.00),非HDL-Cで1.09(1.05-1.14)となっていた。次に脂質パラメータとしてLDL-CとHDL-C,TGを用いた多変量解析を行うと,有意な因子として残ったのはLDL-C(ハザード比:1.10,95%信頼区間:1.04 - 1.16)とTG(1.04, 1.02 - 1.07)のみであった。一方,脂質パラメータとしてTGと非HDL-Cをピックアップして多変量解析を実施したところ,脳・心血管イベントの有意な予知因子は非HDL-Cのみであった(1.11, 1.06 - 1.16)。また,総コレステロール/HDL-C比とTGを脂質パラメータとすると,総コレステロール/HDL-C比のみが脳・心血管イベントの独立した危険因子であった。
そこで,TG,非HDL-Cと総コレステロール/HDL-C比が心血管イベントリスクに及ぼす影響をみると,非HDL-CはLDL-C,総コレステロール/HDL-C同様,10mg/dL上昇毎に,脳・心血管イベント(1.11,1.06 - 1.16)と冠動脈イベント(1.16,1.10 - 1.22)のハザード比を上昇させていた。
以上の結果から,「非HDL-Cは日本の2型糖尿病患者におけるイベントリスク評価に有用である可能性がある」と曽根氏は結論した。
929-P
High triglycerides, low HDL cholesterol, and small LDL particle size predict incident type2 diabetes
C. H. Saely氏,Vorarlberg Institute for Vascular Investigation and Treatment(オーストリア)
LDL粒子径が糖尿病発症予知因子
■非糖尿病例を8年間追跡
対象は,冠動脈造影を施行した非糖尿病連続507例である。238例は耐糖能異常をまったく認めず,268例は境界型であった。
平均年齢は62歳,68%が男性であった。BMI平均値は27.1kg/m2,腹囲径平均値は94cm,58.1%に冠動脈狭窄を認め,56.7%が喫煙者であった。血清脂質は総コレステロール値が220mg/dL,トリグリセライド(TG)値156mg/dL,HDLコレステロール(HDL-C)値が50mg/dLであった。
8年間の追跡期間中,21.1%(107例)が糖尿病を発症した。糖尿病発症例の背景因子を調べると,追跡開始時に境界型であった例が有意に多く(p<0.001),境界型による糖尿病発症リスクは1.99(vs. 耐糖能異常なし,95%信頼区間:1.55 - 2.54,年齢,性別,BMIと喫煙で補正後)であった。同様に,糖尿病発症群では非発症群に比べ,血中TG値は有意に高く,HDL-C値が有意に低かった。さらにLDL粒子径も有意に低値となっていた(すべてp<0.001)。これらの因子が2型糖尿病発症に与える影響を調べると,TG値(1.38,1.10 - 1.72),HDL-C値(0.66,0.47 - 0.90),LDL粒子径(0.61,0.47 - 0.80)はいずれも糖尿病発症に有意な影響を与えていた(カッコ内オッズ比と95%信頼区間。年齢,性別,BMI,高血圧,喫煙と空腹時血糖値で補正後)。
以上より「境界型糖尿病は糖尿病発症リスクだが,それ以外にも高TG,低HDL-CとLDL粒子小径のいずれかを認める患者では糖尿病発症リスクが増加している」とSaely氏は結論した。[検定方法については記載なし]
1319-P
Atorvastatin affects insulin signal transduction by inhibiting Rho GTPase in 3T3L1 adipocytes
佐藤久美氏,北海道薬科大学
アトルバスタチンはRhoA活性阻害により
インスリン情報伝達系に影響を与える
■アトルバスタチンにより脂肪細胞膜上のRhoAが細胞内へ移行
培養脂肪細胞(3T3L1)を用い,アトルバスタチンが糖取り込みに及ぼす影響を検討した本研究では,通常,インスリン刺激によって増加する脂肪細胞の糖取り込みを,アトルバスタチンは有意に抑制し(p<0.05),同時に, GLUT4発現のアトルバスタチン用量依存性の有意な減弱が認められた(p<0.05)。アトルバスタチンは脂肪細胞インスリン受容体発現には影響を与えないため,GLUT4発現に影響を与えていると考えられる。
情報伝達系の上流に位置する,Akt,IRS発現の減弱がアトルバスタチン用量依存性に認められたことから,GLUT4発現減弱の機序を探るため,さらに上流に位置するRhoAをみたところ,アトルバスタチン刺激により細胞膜から細胞質への移行増加が観察された。
以上より佐藤氏は,「アトルバスタチンはHMG-CoA還元酵素阻害作用が強力であるため,ゲラニルゲラニルピロリン酸の減少も著しく,その結果,RhoAのイソプレニル化が抑制される。そうなるとRhoA細胞膜局在量が減少(細胞質内移行)し,下流に位置するAkt ,IRSのチロシンリン酸化が阻害される結果,GLUT4発現が抑制されているのではないか」と考察した。[検定方法については記載なし]
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