ACC Annual Scientific Session 2009 WILL Medical Congress Report


スタチンが静脈血栓塞栓症を抑制:JUPITER試験
hsCRPはLDL-Cと独立した脳・心血管リスク:JUPITER試験
末期腎不全に対しては新たな治療戦略が必要:AURORA試験
Debate:高用量スタチン単独によるLDL-C低下療法は有用
Debate:LDL-C低下療法の有用性を最大化するためには併用療法が必要
肥満例におけるより効果的なLDL-C管理とは:
治療目標達成におけるエゼチミブ併用の重要性
植物ステロールの多寡とがんは無関係:SEAS試験
スタチン服用例のLDL-C目標値達成率は,高リスク群では57〜21%と低値
糖尿病患者のスタチン服用率は不十分
食後の脂質代謝異常はステント留置遠隔期のイベント予測因子
スタチン治療下でも低HDL-Cはリスク
メタボリックシンドローム例ではhsCRPが上昇
この情報には一部、本邦未承認の情報が含まれております。



404-6
A randomized trial of rosuvastatin in the prevention of venous thromboembolism: The JUPITER trial
R. J. Glynn氏,Brigham and Women's Hospital(米国)

スタチンが静脈血栓塞栓症を抑制:JUPITER試験

■出血性合併症を増加させることなく静脈血栓塞栓症を抑制
 JUPITER(Justification for the Use of Statins in Prevention: an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin)試験の対象は,現在のガイドラインではスタチンの適応とならないが,高感度C反応性タンパク(hsCRP)濃度が上昇していた(2mg/L以上)17,802例である。被験者はロスバスタチン20mg/日群とプラセボ群に無作為化され,二重盲検法にて追跡された。今回報告されたのは,同試験の「2次評価項目」とされていた静脈血栓塞栓症抑制作用である。
 試験開始時の平均年齢は66歳,LDLコレステロール(LDL-C)108mg/dL,HDLコレステロール(HDL-C)49mg/dL,トリグリセライド118mg/dL(いずれも中央値)であった。試験開始1年後,ロスバスタチン群ではプラセボ群に比べLDL-Cが50%(47mg/dL),hsCRPは37%有意(p<0.001)に低値となっていた。HDL-Cは逆に,ロスバスタチン群で4%有意(p<0.001)に高かった。なお本試験は追跡期間1.9年(中央値)の時点で,ロスバスタチン群の優位性が確定したため早期中止となった。
 さて,静脈血栓塞栓症のハザード比は,ロスバスタチン群で相対的に43%,有意(p=0.007)に低下していた(0.38% vs. 0.67%)。一方,出血性合併症は両群で同等であった(2.90% vs. 3.09%,p=0.45)。サブグループ別に検討しても,ロスバスタチン群でリスクが増加している集団は見当たらず,年齢,性別,人種,肥満度,メタボリックシンドロームや喫煙習慣の有無を問わず,ロスバスタチンは静脈血栓塞栓症抑制に有用と考えられた。さらに,試験開始時の血清脂質やhsCRP濃度の高低にも,有意な影響は受けていなかった。
 加えて,1次評価項目であった「アテローム血栓性イベント+心血管死」と「静脈血栓塞栓症」を併せて比較すると,ロスバスタチン群における相対リスク減少率は44%となった(p<0.00001)。
 以上の結果より,Glynn氏は「アテローム血栓性イベントのみならず静脈血栓塞栓症抑制までを治療ターゲットとすれば,スタチンの有用性はさらに広まる」と結論した。
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413-6
CRP reduction, LDL reduction, and cardiovascular event rates after initiation of rosuvastatin: The JUPITER trial
P. M. Ridker氏,Brigham and Women's Hospital(米国)

hsCRPはLDL-Cと独立した脳・心血管リスク:JUPITER試験

■脂質代謝をアポB濃度,アポB/アポA比で評価しても同様の結果
 今回の解析では,JUPITER試験に参加した17,802例中87.3%にあたる15,548例のデータを用い,スタチン群における到達LDLコレステロール(LDL-C)値および高感度C反応性タンパク(hsCRP)値別に,1次評価項目(アテローム血栓性イベントと心血管死)減少率を比較した。
 まず,到達値,変化率のいずれで評価しても,LDL-CとhsCRPの間に相関はないことが,少なくとも本試験では確認された。
 次にスタチン群におけるLDL-C低下を「到達値70mg/dL」の上下,あるいは「低下率50%」の上下で2群に分け,1次評価項目のリスクを比較した。その結果,いずれも「より低下した群」でリスクの有意な減少が認められた(いずれもp<0.001)。hsCRPでも同様の検討を行ったが,「より低下した群」になるほどリスクは低下していた。
 そこでスタチン群で「LDL-C<70mg/dL」と「hsCRP<2mg/L」の双方を達成していた群とそうでない群(いずれか一方を達成,あるいは両方とも未達成)の1次評価項目発生率を比較した。その結果,両群ともにプラセボ群に比べ有意に低値(p<0.001)となっていたが,「LDL-C<70mg/dL」と「hsCRP<2mg/L」の双方を達成していた群では未達成群に比べ,有意なリスク低下が認められた(対プラセボ群ハザード比:0.35 vs. 0.64,p<0.0001)。この結果は,hsCRPの到達値を1.0mg/Lに変更,あるいはLDL-Cの代わりに「アポB濃度」や「アポB/アポA比」を用いて検討しても影響を受けず,また試験開始時の背景因子で調整後も維持された。
 以上を踏まえ,Ridker氏は「JUPITER試験で観察されたスタチン群におけるアテローム血栓性イベントと心血管死の著明な減少には,LDL-C低下のみならずhsCRP低下も関与している」と結論した。
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413-12
Effect of rosuvastatin versus placebo on cardiovascular outcomes in patients with end-stage renal disease on hemodialysis: Results of the AURORA study
B. C. Fellström氏,University Hospital, Uppsala(スウェーデン)

末期腎不全に対しては新たな治療戦略が必要:AURORA試験

■脂質代謝と炎症を改善するもイベントに変化なし
 AURORA(A study to evaluate the Use of Rosuvastatin in subjects On Regular haemodialysis: an Assessment of survival and cardiovascular events)試験の対象は,透析導入から3カ月以上経過した末期腎不全患者2,773例である。直近6カ月間にスタチン服用歴がある患者は除外されている。これら2,773例はロスバスタチン10mg/日群(1,389例)とプラセボ群(1,384例)に無作為割り付けされ,二重盲検法で追跡された。
 試験開始時のLDLコレステロール(LDL-C)は約100mg/dL,HDLコレステロール(HDL-C)45mg/dL,トリグリセライド(TG)は約155mg/dLであった。また高感度C反応性タンパク(hsCRP)濃度(中央値)はロスバスタチン群4.8mg/L,プラセボ群5.2mg/Lと高値であった。試験開始後の推移をみると,ロスバスタチン群でLDL-Cは43%,TGは16.2%,いずれもプラセボ群に比べて有意(p<0.0001)に低下し,HDL-Cは 2.9%有意(p=0.045)に上昇した。またhsCRPも11.5%,ロスバスタチン群で有意(p<0.0001)な低下を認めた。
 しかしながら,平均3.1年間の追跡期間後,1次評価項目である「アテローム血栓性イベントないし心血管死」の発生率に両群間で有意差はみられず,ロスバスタチン群で有意なイベントの減少がみられるサブグループも存在しなかった。安全性については,両群で同等であった。
 以上の結果を踏まえて,Fellström氏は「透析患者の脳・心血管イベント抑制には新たな戦略が必要である」と結んだ。
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101-8
Maximizing statin therapy to reduce LDL as prevention strategy
A. M. Gotto氏, Weill Cornell Medical College(米国)

Debate:高用量スタチン単独によるLDL-C低下療法は有用

■LDL-C低下作用だけでなくCRP低下によるイベント抑制も期待できる
 Gotto氏はまず,スタチンを用いた14の無作為化試験を対象としたメタ解析から,LDLコレステロール(LDL-C)の39mg/dL低下ごとに,脳出血を除く脳・心血管イベントが有意(p<0.0001)に減少することを示した(脳出血は不変)。LDL-Cの目標値は低いほど良好な成績が得られており,例えば,冠動脈疾患患者を対象としたTNT試験では到達LDL-Cが 101mg/dLであった通常用量スタチン群に比べ,77mg/dLまで低下した高用量スタチン群では,主要脳・心血管イベントが有意(p<0.0002)に22%減少した。さらに急性期患者を対象としたPROVE IT試験の後解析では,LDL-Cが40mg/dL未満まで低下した群で主要脳・心血管イベントの減少率が最も大きいとの結果であった。
 またスタチンによる高感度C反応性タンパク(hsCRP)低下が脳・心血管イベントを抑制する可能性も,AFCAPS/TexCAPS試験(LDL-C正常例での1次予防)ならびに前出PROVE IT試験から示唆されている。この可能性は,現状ではスタチンの適応がない高hsCRP患者を対象としたJUPITER試験において,スタチン群における著明かつ有意なイベント減少(p<0.00001)が示されたことによりさらに補強されたといえる。
 JUPITER試験でGotto氏が特に注目したのは,NNT(Number Needed to Treat)の少なさに示される治療効率の高さである。主要脳・心血管イベントNNT(5年間)の「25例」という数字は,脂質異常症にスタチンを用いた試験で得られた「40〜60例」に比べても格段に少ない。またJUPITER試験ではスタチン群のLDL-Cが55mg/dL(中央値)まで低下したにもかかわらず,有害事象の発現率はプラセボ群と同等であった。スタチンを用いたLDL-C積極的低下療法の安全性を示すデータだとGotto氏は指摘するとともに,「LDL-C低下だけでなくhsCRPを介してイベントを減少させることから,高用量スタチンの単剤使用は有用である」と結論した。
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101-9
Combination therapy to reduce LDL as prevention strategy
M. H. Davidson氏, University of Chicago(米国)

Debate:LDL-C低下療法の有用性を最大化するためには
併用療法が必要

■有害事象によるスタチン服用中止は少なくない
 Davidson氏は冒頭,19の無作為化試験のメタ解析結果を示し,スタチン使用の有無にかかわらず,冠動脈イベント減少率はLDLコレステロール(LDL-C)低下率と有意な相関を示した点を指摘。冠動脈イベント抑制効果はもっぱらLDL-C低下に依存していると考えられるとし,「スタチンによる多面的作用」を否定した。
 続いて,プラセボを対照とした23の無作為化試験のメタ解析結果が示され,スタチン80mg/日群では他の低用量スタチン群よりも高感度C反応性タンパク(hsCRP)低下率が有意に大きかったが,「スタチン+エゼチミブ併用」群の低下率と同等であった。この結果より,「LDL-C低下率が大きいほどhsCRP低下率も大きいということだ」とDavidson氏は解説し,hsCRP低下作用はスタチンの多面的作用によるものではなく,LDL-C低下作用に依存していることを指摘した。
 次にDavidson氏は,「高用量スタチンでは有害事象が懸念され,服薬継続率にも影響を及ぼす」点を挙げた。JUPITER試験のように1.9年間(中央値)という短期間の検討は別として,例えば4.8年間(中央値),高用量スタチンと通常用量スタチンを比較したIDEAL試験では,「有害事象による服薬中止」の発生率が,通常用量群の4.2%に比べ高用量群では9.6%と,有意(p<0.001)に高かった。
 同試験では,通常用量群でも,有害事象により服薬を中止せざるを得なかった症例が少なくなかった点も注目される。Davidson氏が示した大手薬局チェーンの2008年のデータでは,スタチン服用例のおよそ6割が1年後には薬剤を購入しなくなっていることが明らかになっている。また有害事象では「筋痛」が33%と最も多かった。
 Davidson氏は,「スタチンによる有害事象発現を避けつつも積極的なLDL-C低下を図るために,低用量スタチンとエゼチミブの併用は今でも重要である」と結論した。
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Industry-Expert Theater
Evaluating LDL-C goal attainment: Case studies in management of hyperlipidemia
A. S. Brown氏,Midwest Heart Disease Prevention Center(米国)

肥満例におけるより効果的なLDL-C管理とは:
治療目標達成におけるエゼチミブ併用の重要性

■最も大切なのはカロリー制限。併用薬にも注意を
 Brown氏は米国における2型糖尿病の増加について,「ひとえに肥満の増加が原因である」と指摘した。そこで糖尿病患者やメタボリックシンドローム例では何よりも体重減少が必要となるが,この点に関しては大きな誤解があるという。減量において最も重要なのは運動ではなく「カロリー制限」で,減量の90%はカロリー制限に依存すること,また運動が最も有用なのは体重維持に対してであることを指摘した。また一部の薬剤,例えば糖尿病治療薬ではインスリンやSU剤,チアゾリジンジオン系薬剤は体重を増加させるため,より体重増加の少ないメトホルミンやアカルボースへの変更を考慮すべきである。一部の向精神薬,ステロイドホルモンや抗ヒスタミン薬も同様であり,肥満およびそのおそれがある患者では,そういった薬剤は避けるべきだと述べた。

■肥満例においてLDL-C低下作用が良好なエゼチミブ
 肥満例への減量指導が失敗した場合には薬物治療への移行となるが,高LDLコレステロール(LDL-C)値が認められれば,まずLDL-Cに介入する。その際,ストロング・スタチンとならんでLDL-C低下作用を期待できるのがシンバスタチン+エゼチミブの併用である。肥満例において,シンバスタチン20mg/日+エゼチミブ10mg/日併用は,ロスバスタチン10mg/日に比べ「LDL-C<100mg/dL」の達成率が有意(p<0.001)に高いことが報告されている。
 さて,肥満例に限らずLDL-C目標値が達成されている患者の割合は少ない。米国における冠動脈疾患患者あるいは糖尿病患者で,LDL-Cが目標の100mg/dL未満まで低下している割合は2006年で41%,70mg/dL未満の目標値に対しては11%という達成率であった。
 このような達成率の低さの一因は,スタチンの増量に頼りすぎることにあると考えられる。知られる通り,スタチンは倍量へ増量しても,そのことによって得られる追加のLDL-C低下率は6%程度である。このような場合,エゼチミブの併用により,さらに強力なLDL-C低下が可能となる。実際に,アトルバスタチン40mg/日服用患者において,投与量を80mg/日に増量してもLDL-Cは10mg/dL低下するのみであったが,エゼチミブ10mg/日併用群では24mg/dLの低下が得られた成績が報告されている(群間差:p<0.001)。
 最後にBrown氏は「LDL-C目標値に到達していない患者のコントロールには,エゼチミブが不可欠である」と講演を締めくくった。
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1021-89
Effect of baseline phytosterol levels and the aortic valve and ischemic cardiovascular events and the incidence and mortality of cancer in the patients with aortic valve stenosis: The SEAS trial
Y. A. Kesaniemi氏,University of Oulu(フィンランド)

植物ステロールの多寡とがんは無関係:SEAS試験

■試験開始時植物ステロールとイベントの相関を検討
 Kesaniemi氏はSEAS(Simvastatin and Ezetimibe in Aortic Stenosis)試験に登録された患者から1,619例について,植物ステロールとして開始時の血中シトステロール,カンペステロール濃度と,がん発症,がん死などとの関係を求めた。試験開始時のシトステロールとカンペステロール濃度はそれぞれ,284.6μg/dLと444.7μg/dL。シトステロール/コレステロール比は1.29,カンペステロール/コレステロール比は2.01であった。
 Cox回帰分析を行った結果,シトステロール濃度,カンペステロール濃度,シトステロール/コレステロール比,カンペステロール/コレステロール比のいずれも,大動脈弁イベント,虚血性脳・心血管イベント,がん発症,がん死のリスクに有意な影響を及ぼす要因ではなかった。具体的には,シトステロール濃度の大動脈弁イベントに対するハザード比は1.00(95%信頼区間:0.92 - 1.09),虚血性脳・心血管イベントのハザード比は1.11(95%信頼区間:1.00 - 1.24),がん発症0.90(95%信頼区間:0.75 - 1.07),がん死は0.88(0.65 - 1.21)と,有意な関係を認めなかった。カンペステロール濃度,またコレステロールとの比で検討しても同様であった。
 以上を踏まえて,Kesaniemi氏は「試験開始時の植物ステロールと血管イベント,がん発症,がん死に有意な相関は認められなかった」と結論した。
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1010-26
High prevalence of persistent lipid abnormalities in high-risk patients treated with statins in Europe and Canada: Results of the dyslipidemia international study
A. K. Gitt氏,Universität Heidelberg(ドイツ)

スタチン服用例のLDL-C目標値達成率は,
高リスク群では57〜21%と低値

■高リスク患者のLDL-C目標値達成率は60%未満
 DYSIS(Dyslipidemia International Study)の対象は,スタチン服用中で45歳以上の外来患者,22,063例である。今回はこのうち,スタチン服用開始3カ月後以降の血清脂質プロファイルが得られた19,196例の脂質管理目標値の達成率を,米国脂質管理ガイドラインNCEP ATP IIIに照らして評価した。リスクの内訳は,「冠動脈疾患既往ないし同等リスク」が70.3%(13,503例),「複数の危険因子」18.3%(3,522例),そして「危険因子1つ以下」は11.3%(2,171例)となっていた。
 各群のLDLコレステロール(LDL-C)目標値達成率は,「冠動脈疾患既往ないし同等リスク」群(目標値<100mg/dL)で56.6%,「複数の危険因子」群(目標値<130mg/dL)では64.3%,「危険因子1つ以下」群(目標値<160mg/dL)で83.3%であった。「冠動脈疾患既往ないし同等リスク」群のLDL-C目標値を70mg/dL未満とすると,達成率は20.9%という低値となった。
 米国NCEP ATP IIIがもう1つの治療目標値として提示している非HDLコレステロールで検討すると達成率はさらに低下する。「冠動脈疾患既往ないし同等リスク」群では28.9%(目標値<130mg/dL),「複数の危険因子」群43.2%(同<160mg/dL),「危険因子1つ以下」群(同<160mg/dL)で64.2%という結果であった。
 Gitt氏は「スタチン服用にもかかわらず,多くの患者ではLDL-C目標値が達成されていない」と指摘し「より強力かつ包括的な脂質管理が必要である」と結論した。
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1012-89
Statin treatment is insufficient in diabetes patients receiving glucose-lowering treatment: A nationwide study
H. Dominguez氏,Copenhagen University(デンマーク)

糖尿病患者のスタチン服用率は不十分

■5年間の服用で約半数が1カ月の服薬中断
 本検討は,行政に対する薬剤費払い戻し請求の記録簿を調査し,血糖低下薬服用例におけるスタチン使用の実態を調査したものである。デンマークにおいて1997年から2006年の間に血糖低下薬を処方された,30歳以上の128,106例が対象となった。期間が長期にわたるため,1997〜99年,2000〜02年,2003〜05年,2006年の4期に分けて検討された。
 まずスタチン使用率だが,血糖低下薬服用開始1年後の時点で見てみると,1990年代は7.0%,2000〜02年では19.7%であったが,それ以降増加し,2003〜05年では46.6%,2006年には51.2%となっていた。追跡期間終了時におけるスタチン使用率は62%だが,Dominguez氏はこの数字を「不十分」と見ている。
 一方,スタチン治療を開始させる因子としては心筋梗塞既往が最も大きく(オッズ比:4.51,95%信頼区間:4.31 - 4.71),逆にインスリン治療で血糖低下療法を開始するとスタチン使用率が有意に低下していた(オッズ比:0.54,95%信頼区間:0.51 - 0.57)。
 本調査からは,スタチン使用の継続性についても情報が得られている。スタチンは使用開始半年以内に服薬率が激減するが,経時的には回復し,翌年ではおおむね80%以上が服用を継続している。しかし,服薬中断期間の出現を調べると経時的な増加が認められ,服用5年間後にはおよそ半数で30日間の服薬中断を認めた。90日間の服薬中断も同様の傾向にある。
 以上を踏まえ,「デンマークにおける血糖低下療法受療患者のスタチン服用は不十分である」とDominguez氏は結論した。
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1030-67
Postprandial hypertriglyceridemia and glucose spike predict late adverse outcome after coronary stent implantation
石綿 清雄氏,虎の門病院

食後の脂質代謝異常はステント留置遠隔期のイベント予測因子

■ステント留置例を4年以上追跡
 対象となったのは待機的ステント留置に成功した217例。全例,ベアメタルステントが用いられた。ステント留置の翌朝,試験食を摂食させ,食前,食事1時間後,2時間後と6時間後に血液サンプルを採取した。試験食には炭水化物75.0g,脂質28.5g,タンパク質8.0gが含まれ,熱量は592kcalであった。この後平均49カ月間の追跡を行い,食後の代謝が転帰に及ぼす影響を検討した。
 ステント留置時の平均年齢は68.6歳,88.9%が男性,BMIは24.2kg/m2であった。糖尿病治療を受けていたのは28.6%,高血圧が49.3%,脂質異常症が34.1%,喫煙62.7%,家族歴陽性16.1%,肥満(BMI>26kg/m2)は25.8%であった。また48%はレニン・アンジオテンシン系抑制薬,59%がスタチンを服用していた。
 平均49カ月間の追跡期間中,ステント内再狭窄は40例(18.4%)に認められた。再狭窄例では非再狭窄例に比べ,空腹時血糖値ならびに摂食2時間後と6時間後の血糖値が有意(それぞれp=0.003,0.02,0.01)に高値であった。また摂食6時間後のトリグリセライド(TG)値も有意(p=0.03)に高かった。しかし多変量解析を行ったところ,ステント内再狭窄の有意なリスクは「低HDLコレステロール(HDL-C)」(p=0.004)のみで,血糖,TGとLDLコレステロールはリスクでなかった。また28例で施行された新規病変に対する経皮的冠血行再建術(PCI)については,追跡開始時の各指標に有意なリスクとなっていた因子はなかった。10例で発症した心筋梗塞については,「摂食6時間後のTG増加」と「低HDL-C」が有意(それぞれp=0.017,0.045)なリスクとなっていた。
 以上の成績を踏まえ,石綿氏は「試験食を用いたメタボリック・ストレス試験は,冠動脈疾患患者の長期予後予測に有用である」と結論した。
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1048-70
High-density lipoprotein cholesterol levels contribute significantly to residual coronary heart disease risk in statin-treated patients
H. Jafri氏,Tufts Medical Center(米国)

スタチン治療下でも低HDL-Cはリスク

■治療中のLDL-C値で補正後も低HDL-Cは有意なリスク
 Jafri氏がメタ解析の対象としたのは,1,000例・年の規模を有し,スタチンによる心筋梗塞抑制効果を検討したプラセボ対照無作為化試験である。治療中のLDLコレステロール(LDL-C)値とHDLコレステロール(HDL-C)値が明らかでない試験は除外された。その結果,16試験から476,917例・年が解析対象となり,7,157例が心筋梗塞を発症した。
 メタ回帰分析の結果,スタチン群では治療中のHDL-C値と心筋梗塞発生率の間に,有意(p<0.001)な負の相関が認められ,HDL-C値10mg/dL低下による心筋梗塞リスクの増加は6.9倍であった(95%信頼区間:3.1 - 10.5)。一方,プラセボ群でも同様の有意な負の相関が認められ,低HDL-Cが心筋梗塞発生に与えるリスクは,スタチン群とプラセボ群で差はみられなかった(p=0.31)。また両群とも,低HDL-Cと心筋梗塞発生の相関は,治療中のLDL-C値と年齢で補正後も有意であった(p<0.001)。
 以上の結果を踏まえ,Jafri氏は「スタチン服用患者に残存している冠動脈イベントリスクは,相当部分が低HDL-C血症に由来している」と結論した。
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1048-83
Increased high-sensitivity C-reactive protein levels preceding the occurrence of metabolic syndrome
富永 なおみ氏,大阪府警察(大阪府警察職員互助会診療所)

メタボリックシンドローム例ではhsCRPが上昇

■メタボリックシンドローム該当前年よりhsCRPは高値
 富永氏は2006年と2007年に職場健診を受けた男性14,122例(平均年齢39.3歳)のデータを用い,2006年時のhsCRP濃度とメタボリックシンドローム出現の関係を検討した。メタボリックシンドロームの定義には,わが国の基準が用いられ, 該当例は2006年時に19.3%(2,722例)であったが,2007年では17.6%(2,492例)に減少していた(p<0.001)。
 そこで2回の健診ともメタボリックシンドロームに該当しなかったA群(10,499例)と,2007年のみメタボリックシンドロームであったB群(901例),逆に2006年のみメタボリックシンドロームのC群(1,129例),いずれの健診でもメタボリックシンドロームとされたD群(1,593例)に分け,2006年時の血中高感度C反応性タンパク(hsCRP)濃度を比較した。
 各群の2006年時の背景因子を見ると,A群は他群に比べ有意に若く,腹囲,BMI,血圧,血糖と総コレステロールのいずれも有意に低値で,HDLコレステロールは有意に高かった(いずれもp<0.001)。hsCRP濃度は,2年ともメタボリックシンドロームに該当しなかったA群でのみ有意な低値を示した(p<0.001)。
 富永氏は2006年時にメタボリックシンドロームに該当しなかったB群においてhsCRP濃度がすでにA群よりも有意に高値(p=0.033)を示している点に着目し,「hsCRP高値は将来のメタボリックシンドロームの予測因子となりうる」と考察した。
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